日本の危険動物

実は有毒!?ウツボの武器は鋭い歯だけではなかった!

こんにちは。えたばりゅです。

今回は鋭い歯と長い体を持って、タコのような柔らかく掴みにくい生き物も、一瞬でその餌食にしてしまう、ウツボをご紹介したいと思います。ウツボはその鋭い歯から、時々釣り人やダイバーも咬まれてしまい、深手を負うことがあるんですね。

この「日本の危険生物カテゴリ」の記事では、そんなウツボたちをはじめ、日本の危険生物たちを紹介し、お互いののために、接触をできる限り避けるにはどのようにすれば良いのか、万一刺されたり咬まれたりした時にはどうすればいいのか、などの対処法をご紹介させていただきたいと思います。

中には、対処が遅れると命に危険が及ぶような、猛毒を持つ動物たちや、人のチカラなど到底及ばないようなパワーを持っている動物たちも日本には生息しております。このコーナーではそういった危険で警戒すべき動物たちにスポットを当ててご紹介させていただき、動物、人、お互いの安全のために極力遭遇を防ぐための方法などをご紹介したいと思います。

ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。

ウツボは毒を持つ種類もいる!?鋭い歯だけではないウツボの隠された防衛策とは!?

ウツボは、英名を「Moray (Eel)」、学名を「Muraenidae」という、ウナギ目ウツボ科に属する種で、暖かい海の岩礁地帯の穴場を好んで生活の場としております。世界中に様々な種類のウツボが暮らしており、その大きさも様々。数十cmのものから、大きなものでは4m近くに成長する種まで様々です。日本では、本州中部から南の海域がウツボの主な生息地で、沖縄近海に多くの種が暮らしております。その性格は荒いことで有名で、普段は住処の岩場で動かずじっとしていることが多いですが、時には獲物を求めて磯場の潮だまりに上がってくるなど、活発な一面を備えております。自分に向かってくるものに対してはその大きな口をガンガン開けて、「自慢じゃないけど強いんだぜ」アピールをし、それでも相手が引き下がらないときはその鋭い牙を相手に突き立ててきます。

食用にもなること(高知では盛んに食されています。)やその引きが強いことから、釣りの対象としても人気がありますが、時折釣り上げたときにその牙の餌食に遭い、病院送りにされる釣り人もしばしば。その種によっては毒を持ち合わせていることもありますが、その鋭い牙に咬まれてしまうとやはり深手になることが多く、噛まれた場合はできるだけ早く治療を受けないと傷口から感染症を発症するリスクもあります。

では、日本で主にみられるウツボで比較的生息範囲も広く、遭遇する確率も高い2種のウツボをご紹介したいと思います。

日本の代表的なウツボ1.ウツボ

英名を「Kidako moray」、学名を「Gymnothorax kidako」という、日本では最も一般的な種で、薄い黄色に黒のまだら模様が特徴的なウツボになります。英名や学名の種小名で使われている、「kidako」は気猛という気の荒いことを表す地方名が由来になっております。ホンウツボ、もしくはマウツボとも呼ばれることもありますが、単にウツボと呼称されることがほとんどで、本州から南の海域が主な生息地となります。体長は約1mほどで、ウツボという種としては大体中間くらいの大きさですね。

日本の代表的なウツボ2.トラウツボ

トラウツボは英名を「Leopard moray eel」、学名を「Enchelycore pardalis」というウツボで外観的には和名のトラよりも、英名の「Leopard(ヒョウ)」の方がふさわしい外観をしており、赤茶色の体表に白い斑点模様が特徴的なウツボです。先ほどご紹介したウツボよりもさらに激しい顔つきをしており、両顎が猛禽類のクチバシように湾曲し、その口は完全に閉じることができず、常にその鋭い牙がむき出しの状態になっています。生息地はウツボと同じく、本州中部より南側の海が主な住処ですね。

これらが日本の近海で比較的よく見られる代表的なウツボなんですが、前述した通り、中には巨体に加え、更に毒まで有しているウツボも存在しているんですね。

パワーと毒を兼ね備えたドクウツボ

それはドクウツボというウツボの仲間。ドクウツボは、英名を「Giant Moray」、学名を「Gymnothorax javanicus」といい、英名の通り ウツボとしては最大クラスに成長する種で、3mほどにまで成長します。温かい海を中心に広く分布しており、日本では沖縄近海で見られるウツボです。その名の通り、毒を持っているウツボなのですが、その毒はエサから摂取し、蓄積されるタイプの毒で、いわばフグと同じようなものなんですね。なので、フグと同じく、食べ物として摂取することによって、中毒症状をもたらすものになります。

ですので、万が一このドクウツボに咬まれても、ウミヘビのように牙から毒を注入されることはありません。しかしながら、毒が注入されないとはいえ、歯は他のウツボと同じく、非常に鋭利で、かつ、3mもの巨体から繰り出される咬みつきは非常に力が強く、かなりの深手を負う危険性が高いので、もちろんドクウツボに関しても、注意が必要な種といえます。

ドクウツボはその生息環境によって主に摂取しているエサがまちまちなことから、すべてのドクウツボが毒を有しているわけではなく、毒の有無は通常摂取しているエサに大きく左右されます。

ドクウツボの毒性

気になるドクウツボの毒なのですが、シガテラ毒といわれる生物由来の毒で、熱帯地方のプランクトンによって生成されます。そのプランクトンを摂取した小魚を中型魚が、中型魚やその死骸を摂取した甲殻類を摂取した大型魚が。といった具合に魚の体内に蓄積されていくもので、全てではないですが食物連鎖のピラミッドの上の種になるほど濃度が濃くなる傾向があります。このドクウツボも他のウツボと同じく、その生息場所では食物連鎖の頂点にいることが多く、もし有毒であった場合、その体内で蓄積されている毒は高濃度の可能性があります。

このシガテラ毒は、ウナギの血中に含まれる毒のように熱で中和されることがなく、加熱調理によって毒性が失われることがありません。摂取した時に発症する症状としては、吐き気や下痢、血圧低下、そして麻痺などの症状を伴い、日本での死亡例は今のところないとされていますが、海外ではその毒を摂取することによって、死亡した例も存在します。その中毒症状も、軽微なものから死亡例までさまざまであり、現在のところなく、その中毒症状を伴う症状は長ければ数年を要することもあります。

またシガテラ毒の特性上、この毒を有するのはドクウツボのみならず、私たちがよく知っており比較的摂取する機会が多い種も有している可能性があります。代表的なところでは、イシガキダイ、ヒラマサ、ブリなど。やはり、その地域での食物連鎖の頂点。あるいはその付近の種が多いですよね。ただ、こちらは自然のものを摂取している、いわゆる天然物においての可能性であり、養殖された個体は決まったエサを摂取しているためその危険性は低いといえます。

一番の予防法はやはり食さないことというところでしょうか。

最後に

いかがだったでしょう。ウツボ。そのイメージはゴリゴリのパワータイプといったところですが、意外とその種によってはパワーと毒性、両方を兼ね備えた、新たなタイプといえるのかもしれませんね。生息地域が主に岩礁地帯になりますので、海水浴で遭遇することはあまりないかもしれませんが、ダイビングや磯場でのシュノーケリング、潮だまりなどでの磯遊びでは遭遇する可能性がありますのでご注意いただけましたらと思います。

ただ、海は彼らの貴重な住処。お互いのために、接触を避けるためにも、入る際は出来るだけ注意を払い、また出来るだけ生息地を汚さないように私たちも注意していかなければですよね。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

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