こんにちは。えたばりゅです。
今回は近年の温暖化の影響で日本近海にも進出しているヒョウモンダコというタコの仲間をご紹介したいと思います。この「日本の危険生物カテゴリ」の記事では、そんなヒョウモンダコはじめ、日本の危険生物たちを紹介し、接触をできる限り避けるにはどのようにすれば良いのか、万一刺されたり咬まれたりしたときの対処法などをご紹介させていただきたいと思います。
中には、対処が遅れると命に危険が及ぶような、猛毒を持つ動物たちも日本には生息しております。このコーナーではそういった危険で警戒すべき動物たちにスポットを当ててご紹介させていただき、動物、人、お互いの安全のために極力遭遇を防ぐための方法などをご紹介したいと思います。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
ヒョウモンダコ 小っちゃくて可愛いけど触るのは厳禁!フグと同じ猛毒を持つタコ!
ヒョウモンダコは英語名を「Blue-ringed Octopus」。学名を「Hapalochlaena」という、マダコ科ヒョウモンダコ属に属するタコの仲間で、体長は約10cmほどと、私たちがよく知っているイイダコほどの大きさです。
日本名を漢字にすると、豹紋蛸という漢字で、その名のごとく、興奮すると体表にはヒョウの模様のようなリング状の模様が現れます。以前では日本では小笠原諸島や沖縄などの一部の海域のみで注意が必要なタコでしたが、近年の温暖化に付随する海水温の上昇に伴い、その海域よりも北部でも遭遇するようになり、大阪湾などの内湾海域はもちろん、日本海側でもその姿が目撃されております。
実は複数いるヒョウモンダコの仲間
ヒョウモンダコという和名は実は総称で、実はヒョウモンダコの仲間は現在3種いることが確認されていて、現在確認中の種も合わせると4種いることが分かっているんですね。現在和名がついているのは総称ともなっているヒョウモンダコ(Hapalochlaena fasciata)の他、
- オオマルモンダコ:英名:Greater Blue-ringed Octopus、学名:Hapalochlaena lunulata
- コマルモンダコ:英名:Lesser Blue-ringed Octopus、学名:Hapalochlaena maculosa
の2種。現在分類確認中とされているヒョウモンダコの仲間(Hapalochlaena nierstraszi)は、まだ確認事例が極端に少なく、標準和名はもちろん、英名もついておりません。
特徴としては、その名前がついている通り、警戒時に現れる青いリング状の紋様がオオマルモンダコが一番大きく、コマルモンダコが一番小さいのですが、その体長としては、その名前とは裏腹にコマルモンダコが約20cmと、3種の中では一番大きく成長するんです。
可愛いけど超強烈なヒョウモンダコの毒
ヒョウモンダコは、一見するとイイダコほどの大きさということに加え、見た目的にも可愛らしく、ブルーのリングを浮かび上がらせることで、物珍しさからついつい触ってしまいそうになるのですが、これが危険なんですね。ヒョウモンダコの体表にブルーのリングが体表に現れたということは、ヒョウモンダコがこちらを警戒しているという合図であり、ヒョウモンダコが興奮していることを意味します。
その性格も比較的攻撃的で、このような状態で近づいたり手を触れようものならば噛みつかれるケースがありますので、非常に注意が必要になります。ただ噛みつかれるだけならば、体の大きさも小さいのでさほど気にすることもありませんが、問題はその毒。
ヒョウモンダコは毒を有しており、興奮時に顕著になる青いリングはヒョウモンダコの相手に対する警戒色※といえます。
※警戒色とは毒を有する動物が捕食相手になりうる存在に対し、自身が毒を有していることを指し示している色のことでこのような色は多くの場合、カラフルな色をしていることが多いです。具体例を挙げると、ヤドクガエルや毛虫の類がこれに当たります。
そして、ヒョウモンダコの毒は、あのトラフグと同じ、悪名高きテトロドトキシン。ちょうどいい機会なのでテトロドトキシンがどのような毒なのかをご紹介しようと思います。
自然界の猛毒テトロドトキシンとは?
テトロドトキシンは一般的に生物が生成する毒で、いわずと知れたトラフグや今回ご紹介しているヒョウモンダコ、そして日本の田園地帯ではおなじみのアカハライモリ、そしてカニ界のホープ、スベスベマンジュウガニなどが保有しております。テトロドトキシンの毒性は麻痺性の神経毒で、相手の体内に侵入すると、伝達神経を遮断するので、体のあらゆるところがマヒしてしまいます。
こちらはスベスベマンジュウガニ。見た目も丸っこくて、名前もかなり愛着がある名前のため、見つけると思わず手を出してしまいそうですがこちらの御仁もテトロドトキシンを有しております。
テトロドトキシンが体内に入り込むと、まず指先の痺れや舌の痺れなどから始まり、時間の経過と共に脳からの呼吸指令も遮断され、死に至ります。毒は時間の経過と共に私たちの体内で中和されますが、その中和される間に呼吸器系などへの脳からの指令も遮られてしまいますので、多くの場合中毒を起こすと致命的なのが恐ろしいところですね。
そしてさらに厄介なことに、このテトロドトキシン。いまだに有効な血清などもなく、このテトロドトキシンを有する動物に噛まれてしまうと、回復するか否かは、運を天に任せる状態となってしまいます。
ですので、ヒョウモンダコなど、これらの毒をもつ動物を見つけても絶対に触らないようにしていただければと思います。ちなみにフグはこのテトロドトキシンを持つ動物の代表格ですが、少なくともトラフグに関しては、例え噛まれても、その毒が体内に入ることがありません。(←実体験です。)ただし、私も「咬まれてみた」的な感じに故意に噛まれたのではなく、あくまで恥ずかしながら不可抗力でして。毒の注入はされませんが死ぬほど痛いので絶対にまねしないようにお願いします・・・w
ヒョウモンダコに万が一噛まれた時
迷わず病院へと直行しましょう。救急車レベルと言っても過言ではない事態です。動くと毒が回りやすくなりますので、安静にした上で救急車を呼んだほうがよいかもしれません。厄介なのは噛まれた時に気づきにくいこと。もし何かしら手先が痺れるようなことがあり、尚且つそれが広がってくるようでしたらすぐに診察を受けてください。
もしヒョウモンダコに噛まれた時は早急に出来るだけ毒を吸出すること。しかしながら例のごとく、口で吸い出すのは厳禁です。万一に備えて吸引器を用意しておくとよいでしょう。そして難しいかもしれませんが、出来る限り平静を保つことが重要です。パニックになるとそれだけ鼓動も早くなり、毒の周りが早くなります。
ヒョウモンダコに注意が必要なシチュエーション
- 海水浴(特に岩場が多い場所)
- 潮溜まりでの磯遊び(小さなお子様がいらっしゃる場合は絶対に保護者様の同伴を・・・)
- 釣り
- シュノーケリング含むダイビング など
ヒョウモンダコ もちろん絶対に食べてはいけない
テトロドトキシンという猛毒があるため、あまり食べようとする方はおられないと思いますが、トラフグは同じ猛毒を持ちながらも可食部分があるのが事実。ヒョウモンダコに関しても、テトロドトキシンを有するのは唾液腺のみとされてきたんですが、筋肉部分にもテトロドトキシンを含んでいることが最近の研究で分かっており、食べることでもその毒が体内に入ってしまうので、絶対に食べないようにしましょう。
最後に
いかがだったでしょう。ヒョウモンダコ。大阪湾で発見されたとなると、もはや日本の海では多くの海域で生息が可能と言えるかもしれません。イイダコと決定的に違う点は平静時であってもヒョウモンダコの体表には細いブルーのリングがあることが多いので、そこで見分けていただければと思います。いや・・・必要に迫られない限りは、イイダコサイズのタコは軽々しく触らないほうが無難かと思います。
必要に迫られることはないと思いますので触らないようにしていただくのが一番の接触事故を防ぐ手立てといえそうですね。
これから海水浴シーズンになり、より一層海に入ることが多くなるこれからの時期、特に注意したいものですよね。しかしながら、海も彼らの貴重な住処。入る際は出来るだけ注意を払い、また出来るだけ生息地を汚さないように私たちも注意していかなければと思います。
そして自然での遊びの際はそこに生息している可能性がある危険動物たちのことも予備知識として頭に入れておいていただくとよいかと思います。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
あ、そうそう。やはり誰もが知る海水浴スポットより穴場的な場所のほうが彼らに遭遇する可能性は高くなります。そういった場所にお出かけになる際は十分に準備を整えてお出かけくださいね。特にヒョウモンダコは岩礁部分でよく目撃されております。潮溜まりなどにも注意が必要です。そのような場所に行く際は特に注意を払っていただけましたらと思います。