魅惑の野生動物たち

深海の王者マッコウクジラ ダイオウイカを仕留める超捕食者に隠された意外なヒミツとは

こんにちは。えたばりゅです。

今回は生ける潜水艦にして、世界最大のハクジラ、マッコウクジラにスポットを当てて、その魅力をご紹介したいと思います。マッコウクジラといえば、やはり有名なのが、深海の巨大イカ、ダイオウイカとの死闘がやはり有名ですが、そもそもなんで、マッコウクジラは沢山の生き物が暮らしている海の上層部からあまり生物のいない深海へと狩場を移したのか。

そのあたりも含めて、マッコウクジラの生態に迫っていきましょう。

マッコウクジラ 巨大イカをも仕留める深海の王者の意外で少し悲しいそのヒミツとは!?

マッコウクジラは英語名を「Sperm Whale」、学名を「Physeter macrocephalus」という、偶蹄目マッコウクジラ科マッコウクジラ属に属するクジラの一種で、いわゆるハクジラに分類されるクジラの仲間でハクジラの中では、世界最大種でございます。クジラは主に大別すると、ヒゲクジラとハクジラに分けることができ、読んで字のごとく歯(ヒゲクジラは厳密にいうと歯ではなく鯨髭というもの)の形状が、ブラシ上になっているクジラがヒゲクジラ。文字通り歯を持っているものがハクジラと呼ばれております。

ヒゲクジラの代表的な種としては

ハクジラの代表的な種としては

マッコウクジラは、このハクジラ亜目の中では世界最大で、約50歳を迎えるころまで成長を続け、その寿命は約70年ほどと考えられております。体長はオスは約16m。メスは約13mほどに成長し、その中でもオスは最大で20mを超える個体もおり、オスとメスの体長差がクジラの中では一番差が出るクジラとしても知られています。また、その生息地域は熱帯、寒帯問わずほぼ海域ならば、全世界に分布しており、生息地域もかなり広い種といえます。

マッコウクジラの驚異の潜水能力

マッコウクジラ食性はもちろん他のハクジラの仲間と同じく肉食、マグロやサメなどの大きな魚類などを捕食していると考えられておりますが、とりわけその中でもダイオウイカや深海性のイカを好んで食べていることが分かっております。そのためマッコウクジラはかなりの潜水能力を誇っており、一生のうちのなんと半分以上を深海で暮らしているんですね。そしてマッコウクジラの潜水能力は2000mを軽く凌駕するといわれており、時には3000m以上もの深海まで潜水を行ったことが記録に残っています。

そして、深海に潜むダイオウイカと死闘を繰り広げ、ダイオウイカの触手についた鋭い鉤爪の激しい抵抗をものともせず、平らげてしまうというわけです。真っ暗な深海でマッコウクジラがどのようにダイオウイカを探しているかというと、その巨大な頭の中に詰まった感覚器官を用いて音波を飛ばし、対象物にあたって跳ね返ってきた音波を再度掴んで獲物や障害物の位置を正確に測っているんですね。

こちらは、深海においてのダイオウイカとマッコウクジラの戦いにおける想像動画。深淵の世界では巨大生物たちがこのようにしのぎを削っているのかもしれませんね。

また、深海は宇宙空間に飛び出す技術がある昨今ですら、探索・研究が難しい環境下にある場所というのが実情。

マッコウクジラとダイオウイカの死闘がカメラに収められるのはもう少し先になりそうですね。

しかしなぜ、そのような深海まで潜る必要があったのでしょうか。エサを取るのであれば、沿岸部の方が様々な種の海生生物たちが暮らしており、深海に潜るというリスクも回避することができますし、様々な獲物を獲得できるような気がしますよね。その理由には実はマッコウクジラの悲しい過去がそうせざるを得なかったということが言われております。

マッコウクジラは深海をメインとする生活を選んだ少し悲しい背景

その理由として、マッコウクジラの祖先に当たるクジラが、太古の昔、ほかのハクジラ類や大型のサメなどとの生存競争に破れてしまい、徐々に深海へと生活の場を移したという説が有力なんですね。やはり、野生の世界は強者台頭が顕著に表れるもので、その場所で生存競争に敗れたものはだんだんと別の場所へと追いやられることはよくあり、それが原因で絶滅した種も多く存在します。

かの有名なメガロドンの絶滅もこの競合相手たちとの生存競争に敗れたことが原因という説もあるんですね。

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しかしながら、マッコウクジラには運が味方していたようで、深海の世界は、思ったほど獲物が少ないというわけでなく、むしろ中にはダイオウイカのような大きな生物も暮らしており、深海にて安息の地を手に入れたということになります。追い込まれた先が文字通りのブルーオーシャンだったというところでしょうか。

長寿ゆえに

このマッコウクジラ、寿命が約70年とは前述のとおりですが、このように長寿な動物にありがちな発情期のスパンの長さ。マッコウクジラもその例にもれず、出産は5年に一度、約一頭の幼獣を出産するのみなんですね。

ですので、成熟を待たず、天敵のシャチに捕食されたり、病気で命を落とすケースもあります。それは自然のサイクルなので、それが数を減らしている要因ではなく、生息数が減少している原因はやはり人間。鯨油や摂食目的で人間に捕鯨されてしまい、それが大きな原因となり、現在は絶滅が危惧されているんです。IUCN(国際自然保護連合)が定めるレッドリストでは、マッコウクジラをVU(絶滅危惧 Ⅱ類)にランクして、その危急性を訴えております。

私たちもしっかりと保全状況を把握し、種の保全に向けて取り組む必要があるといえますね。

最後に

いかがだったでしょう。マッコウクジラ。ハクジラというと何か、獰猛そうなイメージがありますが、人を好んで捕食するということは今まで記録がありません。しかしながら、ほかのクジラの例にもれず、仲間意識がやはりかなり強く、仲間を助けるために捕鯨船を沈めた記録が残っています。このマッコウクジラ、日本でも見ることができますが、ホエールウォッチングを楽しむ際はプロの方にご同行いただき、遠くから楽しむのが賢明といえそうですね。

そうそう、最後になりましたが下記に日本でホエールウォッチングを楽しめるスポットをご紹介しておきますので、この近辺にご旅行に行かれる予定などおありな方は、一度大海原に足を伸ばしてみてはいかがでしょうか。では、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

クジラとあえるスポットとクジラの種類

北海道 知床(通年)
マッコウクジラ・ミンククジラ・シャチ・イルカなど

北海道 室蘭(5~8月ごろ)
ミンククジラ・シャチ・イルカ・ゴンドウクジラなど

東京都 小笠原諸島近海(通年)
マッコウクジラ・ザトウクジラ・シャチ・イルカ・ナガスクジラ・シロナガスクジラなど(ナガスクジラ・シロナガスクジラは確率はかなり低いようです^^;)

和歌山県 那智勝浦(3月~9月ごろ)
マッコウクジラ・ザトウクジラ・ミンククジラ・シャチ・イルカ・ゴンドウクジラなど

高知県室戸岬 土佐(4月~11月ごろ)
マッコウクジラ・ザトウクジラ・シャチ・イルカ・ゴンドウクジラなど

また、千葉県銚子・鹿児島県奄美大島・沖縄県各所なども行っているようですが、これらの地域でクジラが見られるのは大体冬場のようです。また、そのスポットによってはその地域独特の珍しい海生動物たちに出会える可能性もあるようですので、それらも楽しみのひとつといえそうですね。

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