こんにちは。えたばりゅです。
今回はスミロドン(サーベルタイガー)について新たな発見があったようなのでそちらの方をご紹介したいと思います。
サーベルタイガーといえば、生きた時代は違えど、ティラノサウルスレックスに匹敵するといっても過言ではないほどの超絶人気古代生物。
どのような発見があったのか、これはかなり興味がありますよね。
ではでは、早速新たな発見に迫っていきたいと思います。
スミロドン(サーベルタイガー)の狩場がついに判明!?実は狩場は森林ではなかった可能性が浮上
まず、スミロドンという動物を簡単にご紹介させていただくと、剣歯虎、いわゆるサーベルタイガーの仲間の一種で、今から約250万年前から1万年前の南北アメリカ大陸に生息していたネコ科動物で体長は大型の亜種で、約2mほどにまで成長しました。
現在のトラやライオンなどとほぼ同じ大きさだったといえそうですね。ただ、その体重は約400kgと、現生ネコ科動物最大であるオスのアムールトラよりも重かったことが示唆され、トラやライオンよりも上半身を中心にかなりガッシリとした体格であったと考えられているんです。
そして、サーベルタイガーといえば、よく勘違いされていることがあるんです。
よく勘違いされるサーベルタイガーの定義
サーベルタイガーっていうネームバリューがあまりに強烈な為、トラやライオンのようにサーベルタイガーっていう種類の動物が古代に生息していたと思われがちなんですが、実はサーベルタイガーというのは種名ではなく、スミロドンをはじめとするマカイロドゥス亜科に分類されるネコ科動物の総称のことなんですね。
ですので、一口にサーベルタイガーといっても、様々な種類のサーベルタイガーが暮らしていたことが分かっており、現時点ではサーベルタイガーの仲間は大きく分けて3つのグループに分類されています。
また、「タイガー」そして「犬歯虎」という名前、そして復元イメージからトラやライオンなど現在のヒョウ属の近縁種、または始祖的位置にいる印象を持ってしまいがちですが、これらの現生ネコ科動物たちとは早い段階で分岐しており、別系統のネコ科動物であると考えられております。
そして、今回ご紹介しているスミロドンはサーベルタイガーの仲間の中では、地球上に生息した最後のサーベルタイガーとしても知られています。
サーベルタイガーの象徴巨大な犬歯の意外な弱点
サーベルタイガーの仲間といえば、なんといってもそのフォルムを一層カッコよくしているあの巨大な犬歯が一番に思い浮かびますよね。いかにも頑丈そうな犬歯ですが、実は強度はあまり高いとは言えず、獲物に食らい付いた際、獲物の骨に当たってしまうと、折れてしまう可能性があったと考えられているんです。
いかにもあの巨大な犬歯を獲物の体に深々と食い込ませ、咬みついて狩りをしていたイメージがありますが、あの巨大な犬歯は扱いに繊細さが必要だったようで、獲物に食らい付くというよりは、頑丈で力強く進化した前脚でガッチリ獲物を抑え込み、獲物の頸部など太い動脈が通った場所に突き立てて血管や神経を断裂させ、獲物を失血死させていたと考えられております。
またスミロドンをはじめとするサーベルタイガーの仲間はこのような狩りの手法を行っていたことで、前脚は非常に力強く進化したのですが、それに比べると後ろ脚が短く、あまり速く走ることはできなかったみたいですね。
では、いよいよ最近の研究で分かりつつあるスミロドンの新たな生態に迫っていきましょう。
スミロドンの生態に新たな発見!狩りは森林で行われていた可能性が浮上!
スミロドンは広い草原でライオンのように群れを作り、巨大なマンモスやウマなどを狩っていたとされていたのですが、歯の成分からそういった獲物ではなく、シカやバクなどどちらかというと、森に生息する動物を獲物としていた可能性がある事が分かってきたんですね。
ですので、獲物として標的に据える動物としては現在のジャガーと似ていたのかもしれません。
これは非常に理にかなっている選択といえて、スミロドンは先ほどご紹介したような狩りの手法を用いるので、その体格や体の構造上、草原で獲物を追い掛け回すというよりは、待ち伏せをして獲物が射程距離に入ったら爆発的瞬発力で一気に仕留めるように進化したので、隠れる場所が草原よりもたくさんある森林のほうが狩りの成功率は向上したでしょう。
そして、草原には当時ダイアウルフという巨大なオオカミが生息していたので、これらの競合相手と上手く共存するためにも、森林を狩場に選んだのではないかとされております。
ただ、そうすると現代のトラやライオンの上半身をムッキムキにしたような前肢の発達に矛盾が出てくる感じがしますよね。というのも、この前肢の発達はバイソンやマンモスといった大型草食獣を押さえつけやすいよう進化したと考えられているからなんです。
バイソンやマンモスはそのイメージとしては、森林よりも開けた草原にいるイメージがありますもんね。しかしながら、スミロドンが生きた時代には森林に適応したバイソンもいたようで、もしかしたらすばしっこいシカなどよりも、こういった森林性の大型獣に的を絞っていたのかもしれませんね。
いくら折れやすいとはいえ、こんな巨大な牙を持った猛獣が森林の陰からいきなりこんな風に飛び出して来たら、もう恐怖以外の何物でもありませんよね。
またスミロドンのある化石から、けがを負って狩りができなくなった個体が餓死することなく、その傷が治癒ししばらく存命していたことを思わせる証拠が出土しているんですね。このことから現在のライオンのように群れを形成していた形跡が残っており、また傷を負っていたり、病で狩りができない個体を群れが支えていた可能性がある事が分かっています。
ライオンのように、群れを作りながら草原ではなく、森林で狩りをするネコ科動物は現在には生息していないので、そこもまたスミロドンの大きな魅力といえそうですね。
このように古代に栄華を極めたサーベルタイガーの仲間ですが、獲物となる大型草食動物たちが姿を消していくにつれ、それに対応していくことができず、残念ながら姿を消してしまいました。
もし現在にもスミロドンのようなサーベルタイガーの子孫がいたとしたら、また違った生態系が出来上がっていたかもしれませんね。
明らかになりつつある、サーベルタイガーのその姿
そしてもう一つ。古代生物にロマンを掻き立てられるのは、やはりその姿。恐竜たち含め、古代生物たちは一体どういった姿をしていたのか、ある程度の肉付きなどは骨格から復元できるものの、どのような体の色をしていたのか、こういった辺りは、現状化石、すなわち骨から復元することは難しく、体の色やそのフォルムなどは現生のある程度近縁の動物、または似た生態を持つ動物たちから想像するしかないんですが、最近サーベルタイガーの幼獣のミイラが永久凍土から出土したんですね。
長い時を経て、毛色などは変色してしまっている可能性が高いものの、骨だけでなく、その体毛や肉付きなどが分かるほど保存状態が良いミイラとのこと。
成長し、立派な成獣になることなく、なぜに命を落としてしまったのかは、当時の大地の実が知るところではありますが、この発見でサーベルタイガーがどのような姿をしていたのか、その研究が一気に進む可能性もあり、このあたりは本当にロマンですよね。
NATIONALGEOGRAPHIC 日本版 サーベルタイガーのミイラを発見、ついにその本当の姿が明らかに
最後に
いかがだったでしょう。今回はT-レックスと並ぶ、超絶人気古代生物、サーベルタイガーの仲間、スミロドンについて分かってきつつある彼らの生態をご紹介させていただきました。
現在もお互い均衡した地位にいる捕食者たちができる限りすみわけを行い、共存にしている例はよくありますが、古代においてもやはりそれは実践されていたんですね。
とはいえ、スミロドンがいた時代にはすでにジャガーも生存していたことが分かっており、このジャガーとの競合はどのように行われていたのか、そのあたりが気になるところですよね。
また何か新しいことが分かれば追記させていただきますね。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。