こんにちは。えたばりゅです。
今回は、キョクアジサシという鳥の仲間をご紹介したいと思います。一見何の変哲もない海鳥の仲間なんですが、実は私たち人間が想像もつかないようなことをやってのけるスーパーアスリートなんですね。
ではでは、早速キョクアジサシの驚異に迫っていきましょう。
キョクアジサシ 小っちゃい体に隠された壮大すぎる2つのヒミツとは
キョクアジサシ、普段はあまり聞きなれない名前ですよね。キョクアジサシは英名を「Arctic Tern」、学名を「Sterna paradisaea」というカモメ科のアジサシ属に属する鳥類で、体長は約30~35cmほどと、私たちがよく知っているハトくらいの大きさですね。
食性は肉食で、低空で海上付近を飛び、その名前の通り器用にアジなどの小魚を捕えて食べます。また、小魚の他、少し高い場所で飛んでいる昆虫などを空中でとらえて食べることがあります。
いかがです。結構シュッとした体型ですが、特にこれといった特徴もなさそうですよね。でも、このキョクアジサシ、こんな小っちゃい体からは想像もつかないような壮大すぎるヒミツがあるんです。
キョクアジサシの壮大な秘密1.壮大すぎる繁殖地
まずは1つ目はキョクアジサシが繁殖を行う場所。キョクアジサシの繁殖地はかなり広い範囲にわたっており、カナダ、アラスカを経てロシア、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、アイスランド、グリーンランドと北極圏地域一帯にわたっているですね。
キョクアジサシはこの北極圏一体地域という、広大すぎる場所を存分に利用し夏の間に繁殖期を迎え、子孫を増やしていっているんです。
キョクアジサシの壮大すぎるヒミツ2.壮大すぎる移動距離
キョクアジサシは、繁殖地と非繁殖地を違う地域で過ごす、いわゆる渡り鳥になるのですが、その渡っている距離がハンパな距離ではなく、なんと繁殖地から目指す距離は、その真逆にある南極圏。
繁殖を終え、北極の短い夏が終わり、秋になるにつれ、キョクアジサシたちは遥か1万6000km離れた南極圏を目指して旅立ちます。ですので、一年の移動距離は単純計算でも3万2000kmということになります。
もうお気づきだと思いますが、キョクアジサシの「キョク」は極地のことを表していて、北極、南極共にいる鳥なので「北」も「南」もつかない、キョクの文字のみを冠しているんですね。ちなみに漢字で書くと「極鯵刺」になります。まさにフィジカルの極み。
・・・
なんといいますか、この「極」という文字が地球の両極を表していることはご想像の通りなんですが、僭越ながら私個人としては様々な意味として生きてくる気がしてしまいます。
キョクアジサシは太陽を目指す鳥
このように北極で夏を過ごし、秋口になると今度は南極の夏(南半球では北半球の冬の時期が夏)を目指して旅をするキョクアジサシ。ご存知の通り、極地では南極も北極も夏場は日が沈まない白夜と呼ばれる日が続きますので、キョクアジサシは「太陽を目指す鳥」なんていう風に形容されたりもします。
なんか、カッコいいですよね。
もしかしたら、地球の生き物の中で、一番太陽の光を浴びている鳥かもですね。
キョクアジサシの主な移動ルート
先ほどご紹介したように、北極圏の広い範囲を繁殖地としているキョクアジサシなのですが、南極への移動ルートは海鳥の仲間だけあり、おもに大陸は横断せず、アメリカ大陸、アフリカ大陸沿いの太平洋と大西洋を南北に縦断する形を取っております。
ですので、キョクアジサシは約30年という寿命の大半を旅に費やしているんですね。そう考えると、キョクアジサシの生涯通しての移動距離は単純計算でも、
・・・
96万kmってことになります。
キョクアジサシは30cmほどの体で、地球から月を1往復以上、場合によっては1往復半してるのと同じって考えると、もはや壮大としか言いようがないですよね。
そんな壮大過ぎトラベラーなキョクアジサシ、日本は残念ながら渡りのルートから外れているので、めったに見ることはできないんですが、極稀に渡りの途中で、ルートを少し外れた迷鳥が小笠原諸島などで目撃されることはあります。
日本でよく見られるのはアジサシという別の鳥
え・・・でも、結構見るよ?
って思われたかもしれませんね。しかしながら日本で比較的よく見ることができるのは、キョクアジサシによく似ていて、近縁種でもあるアジサシ。
アジサシもキョクアジサシほどではないですが、ユーラシア大陸からオーストラリアにかけて旅する渡り鳥。そして、アジサシの渡りのルートには日本が入っているんですね。
ですので、秋や春に渡りの途中で羽を休めて休憩しているアジサシが北海道から沖縄にかけての広い範囲で見ることができるんです。ただ、最近単に休憩場所っていうわけではなく、東京や富山など一部の地域では、繁殖しているアジサシもいたりするようですね。
実はキョクアジサシの他に世界一候補の渡り鳥がもう一種いる
このように北極から南極という壮大すぎる往復を繰り返しているキョクアジサシ、そんなキョクアジサシに勝るとも劣らないようなトラベラーがもう一種いるんですね。
その名はハシボソミズナギドリという鳥類。
こちらはキョクアジサシのように北極と南極を旅しているわけではないのですが、繁殖地であるオーストラリアやタスマニア島から、エサを追いながら時には北極圏にまでその渡りルートが伸びることもあり、その総距離はキョクアジサシとほぼほぼ同じ距離になります。
ですので、ハシボソミズナギドリもキョクアジサシと並んで世界一長い距離を移動する鳥類といえます。
そして、このハシボソミズナギドリはキョクアジサシとは違って日本でも通年を通してみることができます。
最後に
いかがだったでしょう。今回は最強のトラベルアスリート、キョクアジサシの壮大すぎるヒミツをご紹介させていただきました。
いや~・・・太陽を目指して、その生涯の大部分を旅に費やすなんてカッコよすぎですよね。
ワシやタカとはまた違ったカッコよさを持つ鳥といえます。
チョット気温が下がったら寒い寒いとブルブル震えている私め、キョクアジサシを見習って気合を入れなおさなければです。ではでは今回はこの辺りで。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
参考、出典:世界動物大図鑑