こんにちは。えたばりゅです。
今回は、他の種の毒を取り込んで、それを自らの体内に蓄積し、捕食者から身を守る防御手段に変える驚異の動物たちをご紹介したいと思います。
有毒物質を体内に取り込めば、私たち人間含め、もちろんのことながら自らの健康状態に異常をきたし、時には命にかかわることもあるのですが、自然界にはそんな毒をも自らの自衛手段に変える動物たちがいるんです。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
驚愕!他の生き物の毒を体内に取り込んで、自らを有毒化する動物たち
毒を持つ生き物といえば、やはりヘビやサソリ、そしてハチやクモなどを思い浮かべますよね。
これらの生き物たちは自らの体内で毒を作り出すことにより、効率よく獲物を捕食する手段として用いたり、また他の敵から身を守る自衛手段に用いたりします。
しかしながら、自然界には自らは毒を作り出すことはできないものの、有毒生物を捕食することにより、その体内に毒を蓄積し、自らを有毒化して他の捕食者などから身を守る自衛の手段に用いる動物たちもいるんです。
では、早速そんな驚愕の生態を持ち合わせた動物たちをご紹介していきましょう。
他の生物を捕食して、その毒を自らに体内に蓄積しする有毒生物1.フグ
まずトップバッターは、フグの仲間。
フグは無毒な種類もいるものの、その多くは毒を持っており、その毒はテトロドトキシンという猛毒。
テトロドトキシンは一般的にフグ毒とも言われ、この毒は血清がない事でも有名で、一旦私たちの体内に入ってしまうと、対処療法を施しながら、自然に分解されるのを待つしかないのですが、その過程で命を落としてしまうことも多く、助かるかどうかは天に運を任せるところとなってしまいます。
このようにフグの毒はかなり危険なものとして認知されておりますが、実はフグの毒はフグの体内で自然に作られているものではないんですね。
テトロドトキシンは元々細菌が作り出したものなのですが、それを貝類や平虫の仲間が取り込み、その貝などをフグが食べることによって、段々とフグの体に蓄積、濃縮されていくんですね。
フグはこのテトロドトキシンに強い耐性を持ち合わせているので、平気でいられるというわけなんです。
フグの他にもいる、テトロドトキシンを取り込んで自らを有毒化する動物たち
テトロドトキシンといえばフグ。
という程、その関連性はよく知られておりますが、他にもこれを取り込んで、自らの防御手段に変えている動物たちがいるんです。
テトロドトキシンを持っている有毒生物を少し例に挙げると
- ヒョウモンダコ
- アカハライモリ
- シリケンイモリ
- スベスベマンジュウガニ
- マルオカブトガニ
など。
マルオカブトガニは東南アジアが主な生息域なので、私たち日本人は出会う機会は少ないですが、他の上記で挙げた動物たちは日本にも生息している、または近年頻繁にみられるので、注意が必要です。
シガテラ毒を持つ海洋生物たち
海洋生物たちはこのような食物連鎖による、生物濃縮によって毒を保有している種が多くおりまして、どの種すべてではないものの、生息地域によってはシガテラ毒という毒を持っている種もいるんですね。
シガテラ毒を持っている可能性がある動物たちは
- ブリ
- ヒラマサ
- カンパチ
- シイラ
- オニカマス(バラクーダ)
- カマス
- ウツボ(ドクウツボ)
- イシガキダイ
- クエなどのハタ科の魚類
などなど。聞いたことがある、もっと言えば食べたことがある魚たちもけっこういるでしょ。
シガテラ毒も毒の強さで言えば強い部類に入る毒で、日本ではまだ死亡例はありませんが、海外ではシガテラ毒による中毒死もあります。また、シガテラ毒もフグ毒(テトロドトキシン)と同じく、熱によって分解されないので、加熱したからといってシガテラ毒を含んだ個体を食べてしまうと、中毒を起こす危険性があります。
ただ、ブリ全てが、あるいはシイラ全てがシガテラ毒を持っているわけではなく、シガテラ毒を持っている個体はその生息地域によって、持っている、持っていないに違いがあります。
ですので、ブリを食べたからといって必ずシガテラ中毒を引き起こすものではありませんが、シガテラを作り出すプランクトンが多い、特に熱帯海域で漁獲されたものについては注意が必要といえます。
また、シガテラ毒ではありませんが、食べて中毒を引き起こすものでは、貝毒も有名ですよね。貝毒はアサリやホタテ、牡蠣など、二枚貝っていうイメージが強いですが、条件によってはバイ貝やツブ貝(エゾバイ貝)などの巻貝も有毒化することがあるので、この辺りも注意が必要です。
とはいえ、普通にスーパーなどで手に入るものについては、こういった検査は行っておりますし、貝毒が発生した海域では、貝毒発生が収まるまで採取が禁じられたりしますので、過度に心配する必要はないかと思います。
他の生物を捕食して、その毒を自らに体内に蓄積しする有毒生物2.ヤドクガエル
ヤドクガエルの仲間は、主に南米のアマゾンなどに生息しており、めちゃくちゃ派手な色をしていることでも有名です。最近は多くの水族館などでも会えることができるので、ひょっとしたらご存知かもしれませんね。
私、毒持ってます。的な体の色に恥じぬ猛毒の持ち主で、その種によってはちょっと触ることさえ危険なものもおります。
このヤドクガエルの毒も実はヤドクガエル自らが作り出したものではなく、ヤドクガエルの餌となる昆虫類などから取り込んで体内で蓄積したものなんですね。
他の生物を捕食して、その毒を自らに体内に蓄積しする有毒生物3.毒を持つ鳥たち
爬虫類や両生類には毒が有る種類がいるっていっても何の違和感もないですが、鳥と毒っていうのはあんまり結びつかないイメージがありますよね。
しかしながら世界には毒を持っている鳥たちも少数ながらおりましてですね。その中には、かなり危険な毒を持っているものもいて、わずかな量で人間も死に至らしめる強力な毒を持っている鳥もいるんです。
毒を持つ鳥は
- インドネシアやパプアニューギニアに生息するピトフーイ属に属する鳥の仲間
- ヨーロッパの他、アジア圏にも生息しているヨーロッパウズラ
- アフリカなどに生息するツメバガンというカモの仲間
などがおります。幸い、といってはアレですが、これらの鳥たちは日本には生息していないので、そのあたりについてはご安心いただきたいのですが、鳥の仲間にも毒を持つ種類がいるとはオドロキですよね。
他の生物を捕食して、その毒を自らに体内に蓄積しする有毒生物4.ヤマカガシ
ヤマカガシといえば、長年無毒であるとされていたものの、近年になって有毒であることが発覚し、しかも日本に生息するウミヘビ以外のヘビの中では、最強の毒を持っていることが分かった日本固有のヘビなのですが、このヤマカガシは自ら作り出す毒と、獲物から取り込む毒の2つの毒を兼ね備えている珍しいヘビなんですね。
獲物から取りこんで蓄積されたものは、皮膚(頸部)から分泌され、この辺りを圧迫するとこの毒が飛び散る仕組みとなっているんですね。他の捕食者から狙われやすい頸部から分泌させることで、この毒を自衛手段に用いていると考えられてるんです。
ちなみにこの毒は、ヒキガエルを食べることにより、ヤマカガシの体内に蓄積されていく仕組みとなっております。
最後に
いかがだったでしょう。今回は他の生物が持つ有毒物質を自らの体内に取り込んで、蓄積することにより、自らを有毒化し、身を守る術を手に入れた驚異の動物ウたちをご紹介させていただきました。
他の種から摂取することにより、その体内に毒を蓄積するということは、それを摂取しなければ毒性が極端に弱まる、あるいは無毒化するっていうのも、こういった動物たちの面白い特徴で、同じ種であってもその生息地域によって毒の強さが違うなんてこともよくあるんですね。
それにしても、猛毒に耐性を持った体なんて、私たち人間からしてみれば、喉から手が出るほど羨ましいシステムと思って思いますが、蓄積するしないは別として、実はこれは人間もあったりするんです。
そのいい例が玉ねぎやニンニクなどのネギ類に含まれる成分やアボカドに含まれる成分。
これらに含まれる成分は他の動物たち(特に哺乳類)にとっては多くの場合有毒で、命にかかわることも多いですが、私たち人間には貴重な栄養源となります。このように一方の種には全く害がないのに、一方にとっては毒であるってことはよくある事で、本当に体の仕組みは奥が深いものですよね。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。