こんにちは。えたばりゅです。
今回は、タガメの習性である子(卵)殺しについてスポットを当てて、なぜタガメがそのようなことをするのか。その理由をご紹介したいと思います。ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
タイトルでお分かりかと思いますが、今回はちょっとデリケートな内容を含んでおります。苦手な方はご注意くださいね。
子殺しをする唯一の昆虫タガメ 非情な行いに隠れる切実な理由とは
タガメは現在非常に絶滅が心配されている水棲昆虫の仲間で、その攻撃的なフォルムと物おじせず、時にはマムシのような非常に危険で大きな獲物にも果敢に襲い掛かるその習性から、水田の王者として人気があり、古来より親しまれてきました。
そんな勇猛果敢なタガメなんですが、もう一つ。私たち人間から見ると衝撃的な習性がありまして、それは昆虫の中で唯一子殺し(卵殺し)を行うんです。
自然界でよく起きる子殺しとは
この子殺し。人間の感情からしてみると、どうしても残酷に思えてきてしまいますよね。子殺しとはその名前の通り、幼獣が何らかの理由により、成獣に殺害されてしまうことを言うのですが、実は自然界では結構あるんです。子殺しを行うのはライオンやトラなどの肉食動物、クマや一部の霊長類などの雑食動物が知られています。
なぜ、子殺しに及ぶか、それについてはその種によっては子殺しを行う意図が未だ解明されていない部分もあるのですが、ライオンなどは自らの遺伝子を遺すために子殺しを行っていると考えられています。
というのも、ライオンはネコ科動物では非常に珍しく群れを作って生活しており、1頭から数頭のオスと血縁関係から成る十頭ほどのメスで形成されているんですが、メスは生涯同じ群れで生活するものの、オスは定期的により強いオスに入れ替わるんですね。
いわゆる群れの乗っ取りなんですが、群れを乗っ取った際に以前のオスの幼獣がいると、その幼獣が育つまで、メスは発情しなくなるんですね。なので、場合によってはそのオスは自らの子孫を遺すことなく、別のオスにまた群れを乗っ取られてしまう可能性があるので、以前いた雄の幼獣を殺害して、メスの発情を促すことが分かっているんです。
ただ、この時オスは殺害はするものの、ほとんどの場合捕食に及ぶことはありません。今回はライオンを例に挙げましたが、自然界にて子殺しが発生しうる時はライオンに限らず、多くの場合、これが理由とされております。
実はタガメの子殺し(卵殺し)もライオンの子殺しと同じような理由からなんです。ただ、タガメの場合、子殺しを行うのはオスではなくメスなんです。
タガメが子殺しを行うのは、オスではなくメスその理由とは
実はタガメはその攻撃的な性格ばかりが先行しがちなんですが、実は卵が無事孵るまでその卵を守るといった、子煩悩な一面もあるんです。ただ、この時卵を守るのはメスではなく、オス。
タガメの世界では、卵を守るのはオスの役割なんですね。
では、なぜタガメのメスが子殺しを行うかというと、やはりライオンと同じく自らの遺伝子を遺すため。
というのも、タガメの雌雄比はほぼ同じことが分かっていて、オスが卵を守っている間は交尾が可能なオスの数が必然的に不足するんです。またそれに加えて、現在タガメは絶滅の危険性があるというのは、先ほどお伝えさせていただいた通りなのですが、元々タガメは食物連鎖の上位に位置する昆虫なので、元々の絶対数も少ないんです。このようなことから、メスの中には自らの子孫を遺せないまま、繁殖期が終わってしまうことがあるんですね。
如何な水田の王者といえど、やはりタガメにもサギやコウノトリなど天敵がいて、もしかしたら次の繁殖期までに自分が捕食されてしまう可能性があるんです。
なので、卵を見つけるとメスは自らの子孫を遺すために、卵を守っているオスを見つけると、追い払って卵を潰してしまうんです。オスももちろん抵抗しますが、ただ、タガメはオスよりもメスのほうが大きいので、抵抗むなしくオスが力負けしてしまうことが多く、卵が一定数以上潰されてしまうと、オスはまた繁殖モードに切り替わるんです。
ライオンの場合は幼獣がいる場合、メス同士が結託して、時にはオスに加勢して乗っ取りに来たオスを追い払うことがありますが、タガメの場合は群れのチカラがないので、卵を守れるか否かは、卵を守っているオスにかかっているんですが、純粋な力がモノを言う厳しい世界ですので、メスに見つかると、その卵が守られる可能性は低くなってしまいます。
一見残酷なようですが、やはり自らの遺伝子を子々孫々まで伝えていくというのは、自然の真理。厳しい自然界において、それを全うすためには時には非情な決断も必要なのですね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、タガメの習性である子殺しというところにスポットを当てて、なぜタガメがそのような行為に及ぶのか、その理由などをご紹介させていただきました。
何と言いますか、超絶弱肉強食ですよね。子煩悩なところがあるというのは、タガメの意外ともいえる一面ですが、子殺しを行ってでも、自らの遺伝子を遺すという人間からすると非常ともいえる選択肢をするというのは、ある意味厳しい世界に生きるタガメらしい選択かなと思いますよね。
いや~・・・紹介しておいてアレですが、本当に自然界は厳しいものです。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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