こんにちは。えたばりゅです(^^)
少し前の記事 ペット 犬猫混合ワクチン で、犬や猫の混合ワクチンについてご紹介したと思います。この混合ワクチンについては、犬・猫共に接種は飼い主様のご意向という事になり、特に法律で定められているものではありません。
ですが、ペットにおいて法令によって接種が義務化されているワクチンが一つあります。私えたばりゅがこういうワクチン系の話題では必ずぶち込む、ご存知狂犬病ワクチン。
今回は、その狂犬病ワクチンについて少し掘り下げてみようと思います。今回も最後までお付き合いいただけましたら幸いです。
狂犬病
まず、恐ろしげな名前がついている狂犬病が一体どのようなものなのかについて、ご紹介したいと思います。
狂犬病は狂犬病ウィルスというウィルスが元になり、発症します。ウィルスというと・・・そうなんです。やはり、狂犬病にも抗生剤は効きません。狂犬病という名前ですが、ヒトにも感染します。人に感染する経緯は、感染した動物に咬まれる、ひっかかれるなどして、出来た傷口からウィルスが侵入して感染します。ひっかかれて感染するのは、感染動物が自身の前足をなめるなどして唾液が付着していたりするためです。
狂犬病は治療可能か
万が一感染してしまった場合、有効な治療法はありません。ほぼ確実な死が待っています。非常にまれな例で、狂犬病を発症したのち回復した例はあるそうですが、狂犬病が認知されるようになりずいぶん経ちますが、確かな記録が残っているのが、たった6例程度。
毎年50,000人以上の方が狂犬病で死亡していることや、一世紀前以前は50,000では収まらなかったであろうことを考えると、非常に助かる望みは薄いと言えますね。
感染する動物(感染源となる動物)
この致死性は人のみにあらず、感染動物も同じで、ニホンオオカミの絶滅の一員になったという説もあります。
感染する動物はすべての哺乳類。および一部の鳥類
感染した動物の症状はその種により様々で、イヌ科の場合ですとふらつき、意識の混濁、凶暴性増大、よだれが途切れない、目がうつろになる。などの症状が表れます。牛科などに感染した場合は、麻痺性が強く出る傾向もあります。また、感染動物によっては、ほとんど無症状な場合もあります。
しかし、現代でも毎年これだけの方が亡くなってしまっているにもかかわらず、日本ではあまり狂犬病の話が持ち上がることはないですよね。その理由として、日本国内では昭和31年を最後に狂犬病の発症はありません。もちろん、人・動物共に。もちろん日本のほかにも現在狂犬病が全く発症していない国はあります。
現在狂犬病の発症例がない国
その国は
- ニュージーランド
- オーストラリア
- ハワイ
- フィジー諸島共和国
- グァム島
- 台湾
- イギリス
- アイルランド
- ノルウェー
- スウェーデン
- アイスランド
そして日本・・・以上。世界193か国(国際連盟加盟国)という数字を考えるとやはり少ないですよね。上記以外の国はまだ狂犬病ウィルスの脅威にさらされています。
日本では、さほど気にされていない狂犬病ですが、世界的に見ると発症がないこと自体が珍しいと言えます。
でも、ここでふとした疑問に行き着くのではないでしょうか。なぜ、半世紀以上も発生例がない日本においていまだに狂犬病ワクチンが義務化されているの??と思わないでしょうか。
それと、素朴かつ重大な疑問。なぜに法令摂取義務は犬のみ??牛は??豚は??猫は??そして、人間は???
というところではないでしょうか。
では、以下ではこの2つの疑問点について考えてみたいと思います。
日本においていまだ狂犬病ワクチンが義務摂取なわけ
日本においては、先ほど申しあげたとおり、昭和31年以来狂犬病が国内で発症した記録はありません。ですが、以後半世紀以上経過した現在でも飼い犬への狂犬病ワクチン接種は年に1度の摂取が義務付けられています。
その理由として、外国船。国際線。密入国。もちろん耳にしたことはおありかと思います。これが理由なんですね。これらは、異国の存在が日本へと移入してくるほんの一部の例です。
狂犬病はすべての哺乳類に感染すると申し上げました。特に貨物船などの外国からの貨物輸送では、哺乳類が紛れ込み、隠れる場所は多々あります。さすがに様子のおかしい牛や豚などが紛れ込んでいてもすぐに発見できるとおもいます。では、様子のおかしいネズミはどうでしょう。様子のおかしいコウモリはどうでしょう。(コウモリは空を飛ぶ生き物ですが、れっきとした哺乳類です)様子がおかしい事はわかるかもしれませんが、紛れ込んでいるのを発見することは難しいですよね。
また、様子がおかしいというのが、あからさまに出ていればいいのですが、感染哺乳類のなかでは、感染していてもほぼ無症状なこともあり、感染の有無を調べるのはほぼ不可能です。
もしそのような、感染してしまった動物がそのまま日本に到着し、そのまま人知れず国内に入ってきたとしたなら、貨物輸送内部でも発見が難しいものを見つけることは不可能ですよね。
もちろん、これだけ諸外国で狂犬病が猛威を振るっているのにも関わらず、日本で半世紀以上も発症が確認されていない背景には、日本の素晴らしい検疫システムがあるからだと思うのですが、それも100%今後も確実に。というのは、なかなか難しいと思います。
ですので、犬たちが万が一これら感染してしまった動物たちに咬まれて体内にウィルスが侵入しても、発症することなくこれを駆逐できるよう、犬たちの狂犬病ウィルスは義務化されているというわけです。
それでは、次に狂犬病ワクチン接種がなぜ、飼い犬にのみ法令義務化されているのかを考えてみたいと思います。
狂犬病ワクチン接種はなぜ飼い犬のみ摂取義務があるのか
哺乳類全般において、この狂犬病が感染するのならば、犬だけでなくペットはもちろん、哺乳類であるヒトにおいても法令で定められてもおかしくないですよね。にもかかわらず、現在犬にだけ摂取義務が生じている。この理由はおそらく、一番人に近しい場所で暮らしており、ペットの中で人を咬む可能性が一番高い動物。それが犬であるから。
では、猫は?猫も犬同様に人間のそばで暮らしており、猫については野良猫の数は野良犬たちよりも圧倒的に数が多いですよね。では、猫に咬まれた。という言葉はどうでしょうか。犬に咬まれた。よりあんまり聞かないのではないでしょうか。
猫に引っかかれた。というのはよく聞きます。しかし、冒頭で申し上げた通り、人間に感染しうるリスクで考えれば、咬まれたことによる唾液からの感染。引っかかれて発症する際は、その爪に唾液が付着していた時になります。これも冒頭で申し上げた通り。その爪からウィルスが滴っているわけではありません。ひっかかれたときの感染リスクは、やはり咬まれたときよりも低くなるというわけです。
もう一つの理由
もう一つ考えられるのは、日本の財政事情。犬と共に暮らしておられる方は、もちろんご存知だと思うのですが、狂犬病ワクチンを接種すると、接種した証明として、鑑札を発行してくれますよね。
そして、犬と共に暮らすと飼い犬登録を行う必要がありますよね。これは、犬の数を行政が管理しているという事であり、他のペットにも接種を義務化を施すとなると、やはり犬同様このような管理を行う必要が出てきます。
管理を行わないと、法令義務化の意味がなくなりますよね。それをするとなると、やはりそれだけ国家予算が必要という事になります。現在飼い猫として飼育されている猫の数は、約1000万頭に及ぶと言われております。
猫だけでもこの数。それに加え、ハムスターなどの哺乳類ペットたちも管理するとなると、もはやどれほどの国家予算が追加必要になるかは想像できませんよね。そして、現在の犬のみへのワクチン接種の義務化と、日本へと搬入される動物たちへの検疫の徹底により、狂犬病が半世紀以上日本で発症していないことから、他のペットたちへの摂取義務が生じない大きな理由ではないかと思います。
では、ヒトのワクチン接種義務は??
実はこの狂犬病、人から人への感染はほぼないという事があり、万が一感染者が日本で出たとしても、人から人へと感染するリスクが非常に少ないことから、いわゆるパンデミックも起こりにくいという理由で、摂取義務はないのだと思います。
この飼い犬のみにワクチン接種が義務化されている理由については、私えたばりゅの個人的な意見もかなり含んでいますのでご参考程度に^^;
狂犬病ワクチン接種を行ってほしい理由
これだけ半世紀以上発症がなく、検疫システムもしっかりしているなら別に狂犬病ワクチン打たなくてもいいのでは??という意見もおありかと思います。現にこのグローバルな社会情勢の中、半世紀以上も狂犬病を発症していない確固たる事実があります。
他の諸外国(近隣国含め)が今だ狂犬病の脅威にさらされており、そのような国からも毎日輸送船やらが日本に入国しているにも関わらず。です。これは本当に日本が誇るべきところですよね。
では、接種を口酸っぱく酸っぱく酸っぱく申し上げるのは・・・
100%確実っていうのは、ないと思っているからなんです。え?ある??そうでしょうか??では、先ほどの密入国。これ、たまにニュースで報道されますよね。密入国者である人は日本の優秀かつ素晴らしい警備システムにより確保されています。では、その密入国に使ったハコ(船など)に小さな動物が紛れ込んでいない保証は??
窮鼠、猫を咬みますよね。猫を咬むという事は、犬も咬む可能性は大いにあると思います。もちろんこれは格言で、モノの例えという事ですが、実際に起こりえないとも限りません。もちろん確率としては限りなく低いでしょう。
しかし、それでもここまで摂取してほしい理由。→鳥インフルエンザ発生時、感染リスクのある鳥たちはどうなったか。
という事なんです。鳥インフルエンザと狂犬病ウィルスの感染力やウィルスの強靭性にも違いがありますが、鳥インフルエンザウィルスを人が吸い込んだ場合、その発症は極めて稀。人から人への感染もほぼなし。(ただし、ウィルスが変異し人から人へと移るタイプへと変異した際は非常に危険)
対する、狂犬病は咬まれてしまい、それを放置するとほぼ100%発症。そしてその致死性も極めて高い。以上のことから推測出来ることは・・・
そう、ペットを含めた哺乳類の大量粛清。
まぁ、極論ですけどね。人から人への感染が今のところないので、パンデミックが起こる可能性としても低いですし。
そして、この狂犬病。致死性が極めて高いことは、ご存知の方が多いと思うのですが、感染から発症するまでに適切な処置を行いさえすれば、発症を防ぐことができることはあまり知られていません。
暴露後ワクチンという存在
暴露後ワクチンというのは、感染の疑いがある動物にかまれたり、比較的新しい傷口をなめられたりした場合、摂取するワクチンのことで、複数回摂取する必要があります。スパンは、接種日を0日として、それ以降、3日目、7日目、14日目、30日目、90日目という感じです。
もし上記のようなことがあった場合、できるだけ早くに接種を開始する必要がありますが、咬まれると即発症するようなものではく、この狂犬病ウィルスにもほかの感染症同様、潜伏期間が存在します。
狂犬病ウィルスの潜伏期間
その潜伏期間は、通常であれば約1か月から2か月。最短で、1週間程度で発症することもありますが、長ければ数年という例もあります。なぜ、こんなにも差があるかというと、ウィルスが侵入した場所によって左右されるからです。
狂犬病は狂犬病ウィルスが各神経系を経由し、脳神経に到達した時点で発病しますので、例えば咬まれた場所が顔であるのと、足であるのではその潜伏期間に大きな差があるというわけです。
このように、もし咬まれるなどしてしまっても、適切な対応をすることによって発症は防ぐことができます。
また、狂犬病ウィルス自体、そんなに屈強性があるウィルスではなく、咬まれた後、すぐに石鹸水などで洗浄し、アルコールやエタノールなどで消毒すればそのほとんどを滅することができます。
狂犬病は、発症してしまうとほぼ100%。死が訪れる非常に恐ろしい病気ですが、暴露後ワクチン接種や応急処置法さえ知っていれば、絶望に打ちひしがれることもなくなるのではないでしょうか。
もちろん、暴露後という名称がついているということは、その反対の暴露前ワクチンも存在します。これは、飼い犬の予防接種同様狂犬病に感染するのを未然に防ぐためのものです。海外旅行など、上記11か国以外の国に渡航される際は、暴露前ワクチン接種をしっかりと打っておきましょう。
ただ、暴露前ワクチンを接種しても、海外で動物に咬まれてしまってその動物に感染疑いがあるのならば、暴露後ワクチンも摂取する必要があります。
海外の様々な狂犬病予防策
日本では、感染源での一番脅威である哺乳類が犬であるために、犬が注視されておりますが、海外では少し事情が違うようです。野生動物が感染源となりうる国もあり、例えばスイスなどでは、ワクチン入りのえさをまいてキツネなどの野生動物たちワクチン接種を施している国もあり、そのような感染動物が牛などの家畜小屋に入って、家畜を咬んでも発症しないように、牛などにもワクチン接種を行っている国もあるようです。
最後に
いかがだったでしょう。狂犬病。日本では、今のところ発症を完全に封じ込めておりますので、狂犬病ワクチンは打つ必要がない。などという意見もあるようですが、日本の検疫システムとて万全ではありません。そして、残念ながら海外の珍しい動物たちの密輸というのは現状の日本でも行われており、検疫すら受けていない動物たちも入国しているのが現状。そして、先ほどの人間の密入国の例。
そのようなことを考えると、やはり狂犬病接種というのは必要なのではないかと思う次第なんでございます。万が一の時、もちろん接種で飼い犬の命も守ることが出来ます。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます(^^)