動物雑学

クマと人間の橋渡しをする職業犬 ベアドッグ

こんにちは。えたばりゅです。
今回はクマを守る仕事に携わっている犬のご紹介をさせていただこうと思います。

クマと人間の共存へ向けて頑張るベアドッグ

ベアドッグは、一言でいえばその名前から連想される通り、クマの番をしてくれる番犬なんです。といってもクマを狩猟するための猟犬、いわゆるマタギ犬(熊犬)ではありません。その仕事内容は人里近い森のパトロール。そして、万が一人里にクマが下りてきたなら、その特殊な訓練成果で再び山へと追い払うための仕事をしてくれています。

ただ、クマを追い払うので、一見クマがかわいそうな気もしますよね。でもクマが人の居住地へと降りてきたといったニュースが度々報道されるのはお目にかかったことがあるかと思います。あのような場合、クマは人にとって脅威になりますのでクマが人里に下りてきてしまうと、猟銃などで殺されることがほとんどです。

そのようなことを考えると、クマを傷つけることなく再び山に返し、人とのすみわけを考えるこの方法は、ベストではないとはいえ、クマを殺してしまったりするよりもよほどいいのではないかと思う次第です。

このベアドッグなのですが、やはり仕事内容が仕事内容。相手が相手ですので、どのような犬種でもベアドッグになることができるかというとやはりそうもいきません。

ベアドッグに適している犬種

現状はいない。

というより、途上分野なので、現在調査中というところでしょうか。

適正度は高い犬種は存在するのですが、目下のところあくまで期待値であり、まだまだ世界的に見てもベアドッグとして活躍している犬がほかの番犬(使役犬)に比べると、圧倒的に数が少なく、この犬種が適している。という確証(実例)は現在発展途上というところなんです。

ではベアドッグとしての適性が高いといわれる犬種の候補として、挙げられている犬種をご紹介していきましょう。

ベアドッグの候補となる犬種

ベアドッグ候補犬1.カリレアンベアドッグ

あまり馴染みのない犬種ではありますが、この犬種は元々、熊専門の猟犬として活躍しているイギリスのカリレア地方が原産の犬種です。

現在日本唯一のベアドッグとして活躍しているベアドッグもこの犬種なんですね。熊専門ということもあり、熊にも怖じず果敢に吠え立て向かっていくことから、筆頭候補とされています。

ただ、猟犬とベアドッグの違いは猟をする(殺す)のが目的でなく、あくまで追い払うことが仕事内容となります。カリレアンベアドッグは本来クマ猟を支援するために交配された犬種ですので、猟の折必要ならば熊に咬みつき、猟師が来るまでクマを足止めすることもあります。

しかし、ベアドッグの仕事は足止めではなく追い払い。いわば真逆ですよね。そのようなことから、現在最も適している。とは言われているものの、このような本来の能力を発揮する懸念も同時にあるとされています。

ベアドッグ候補犬2.ジャーマンシェパード・ドッグ

番犬(使役犬)のエキスパート。ですよね。人の案内役からガード、そして密輸などの犯罪防止。あらゆる場面でも適正犬として、ベスト3に入っているような人との連係プレーのスペシャリストです。

もちろん、ベアドッグも人との連携は必要な仕事内容であり、そのような面では、このジャーマンシェパード・ドッグも筆頭候補の一つと言えます。

問題は、相手が野生動物であるということ。ジャーマンシェパード・ドッグは、ヒツジやヤギなどの家畜動物を追い立て・管理する家畜追い犬、いわゆるハーディングドッグとしても長い歴史を持ち合わせていますが、ハーディングドッグのタイプも2種類あります。

オオカミやクマなど肉食動物から家畜をまもる護羊犬タイプと管理者と連携のもとヒツジやヤギの追い立てを主な仕事とする牧羊犬タイプの2種類があり、ジャーマンシェパード・ドッグはどちらかといえば、後者よりになります。

このように人との連携で、対象物(人物・家畜動物)に対して、仕事を行うのに特化してきたジャーマンシェパード・ドッグが、野生動物の追い払いという仕事に接したとき、やはり予測不可能な事態も起こりうると考えられています。

ベアドッグ候補犬3.ウルフドッグ

その名の通り、オオカミの血筋がある犬のことです。野生のオオカミはクマたちにとっても、脅威な存在とされ、自然界でもしばしばお互いに遭遇しあったりしますのでクマのあしらい方も心得ております。そのようなオオカミの血を受け継ぐウルフドッグならば、ベアドッグとして、活躍してくれるということで、ウルフドッグをベアドッグ(・・・ややこしいw)として、育てる試みも行われているようです。

ただ、特定犬種として指定されているとおり、その性格は非常に気難しく、自立心が旺盛です。よって、よほどの信頼関係を組み立てないとクマを追い払う際、ヒトの指示を無視する可能性あることが懸念材料としてあります。

ベアドッグ候補犬4.ロットワイラー

軍用犬や警察犬としてのイメージが強い方もおられるのではないでしょうか。でも、その出目はハーディングドッグなんです。意外ですよね。ローマ時代はハーディングドッグとして最高の仕事をこなしていたようです。

ハーディングドッグといえば、、、そう2タイプいましたよね。このロットワイラーはその容姿の通り、護羊犬。クマやオオカミから家畜をガードするのが主な仕事内容でしたよね。

体つき、性格、そしてその歴史。ロットワイラーがベアドッグとして十分すぎるほどの資質を備えていることは間違いないですよね。

じゃ、このロットワイラーで決まりでしょ♪

と思われると思いますが、残念ながらそうもいかないんです。クマって大体北の方にいるイメージがないでしょうか。北の国は寒い地域が多いですよね。であれば寒さに強い犬種の必要があるわけですよ。ちなみにロットワイラーね。短毛なんです。ですので、クマの中でも特にヒグマ系の生息するような極寒の地で暮らすのには不向きといえますよね。

このように、資質を備えた候補となる犬種はいるのですが、それぞれ懸念すべき点もあり、この犬種が最も適正であるというのがなかなか難しい状況なんです。後は、前述のとおり、まだ歴史の浅い部分も適正な犬種が明確にはまだわからない理由の一つかもしれません。

クマ守ベアドッグが抱える問題

冒頭で、ベアドッグにクマを山へと帰す手伝いをしてもらう方法を必ずしも、ベストでないと申し上げましたが、やはりベアドッグにも解決しなければならない門外があったりするんですね。

問題1.適正な犬種が定まっていない。

なぜ、これがその理由になるかというと、これだけの犬種が存在する中で、このまま定まらないことが続くと、適正候補の犬種同士を”交配し適正犬種を作り出す” という動きが出てくるという可能性です。

現在純血種と呼ばれる犬種には、その犬種特有のかかりやすい病気というものが存在します。これは、その犬種を作り出すために近親交配なども繰り返された歴史もあり、そういった行いがその犬種特有の病気というものを生み出した一因とされております。

もし、ベアドッグを新たに生み出そうとした場合、同じようなことが繰り返される可能性があり、その病気に苦しむ個体が必ず現れるから。というところです。そのような事が、起こらないことを祈りつつ・・・

問題2.戦闘力は相手の方が上

単純にクマと犬。どちらが強いと思います?

ですよね。それぞれの強さを比較した場合。当然クマだと思います。

銀牙 流れ星 銀 のリキ(知らない方、申し訳ございません)のように驚異的な神技をもって、ただ1頭のみでクマと対峙できる(場合によっては、リキ1頭で複数のごろつきクマを追い払っていました)ようなスーパーワンコは残念ながら、いないと思った方がいいでしょう。この方法はクマの命。犬の命。人の命。3方が全て保障された方法ではないですし、場合によっては犬がクマの反撃に遭い、命を落とす可能性もあります。

クマが下りてくる可能性を少しでも減らすため

やはり、私たち人間がクマに対して、出来ることはクマができる限り人里に下りてこなくてもいいようにすることだと思うんです。そのためにはクマがなぜ、人里に下りてくるかを考える必要がありますよね。

クマが人里に下りてくる理由、その一番はやはり食べ物です。クマは野生動物なので、嗅覚は非常にすぐれております。ただでさえ、エサが見つかりにくくなっている状況で、美味しそうな匂いが漂ってくれば、その匂いのする方へ引き寄せられるのは、至極当然のこと。その美味しそうな匂いの元は、人間の食べ残しなどの生ごみです。

生ごみを減らすために

この生ごみを減らすためには

  • 食べ物を粗末にしない
  • のこさず食べる
  • 必要な分だけを購入する など

これを普段から心がけるだけでも、生ごみというものは大分減るのではないでしょうか。どうしても美味しそうなものを見てしまうとオラオラ購入(注文)してしまいがちですが、ぐぐぐっと我慢をしてゴミ減少にも気を付けたいですよね(^^)

また、クマとの接触を避けるためにも不用意に生息地に踏み込んだり、キャンプなどは行わないようにしましょう。

最後に

まだ、その活躍は部分的とはいえ、ひいてはクマの命を守るのにも貢献してくれているベアドッグたち。私たち人間をクマから守ってくれる共にクマの命も同時に守ってくれる素晴らしい番犬ですよね。

最後に現在長野の軽井沢で活躍中のベアドッグがニュースになっていたのでそちらのリンクを貼り付けておきます。よかったら覗いてください(^^)
人とクマの共存図る=軽井沢で「ベアドッグ」活躍-住宅地への接近防ぐ・長野
yahooニュース掲載 時事通信 1月10日(火)配信記事より

今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます(^^)

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