こんにちは。えたばりゅです。
今回はバショウカジキというカジキの仲間にスポットを当てて、バショウカジキの泳ぐスピードに迫っていきたいと思います。バショウカジキは言わずと知れた、世界最速を誇るスイマーで、空のハヤブサ、そして陸のチーター、そして海のバショウカジキといったように、陸・海・空と、その生息環境における最速保持者として有名なんですが、実はその地位に暗雲が立ち込め始めているんです。
え?じゃあ、バショウカジキよりも速く泳ぐ生き物が発見されたの!?
って思ってしまうかもしれませんが、まぁ・・・アレなんです。そういうわけでもあったり、なかったり。
何とも歯切れの悪い感じで申し訳ないですが、コトの真相は記事をお読みいただけると嬉しいです。
バショウカジキの世界最速に暗雲!?近代研究で明らかになりつつある海の生き物たちの泳ぐ速度
では、まずバショウカジキのご紹介を軽くさせていただくと。英語名を「Sailfish」、もしくは「Indo-Pacific Sailfish、学名「Istiophorus platypterus」という、スズキ目マカジキ科に属するカジキの仲間で、アフリカ東部からハワイ近海周辺までの、暖かい海域に広く生息しております。日本でも、主に北陸から南の海域で見ることができるカジキで、カジキの仲間の例に漏れず、外洋を主に好んで生活の場としていますが、他のカジキと比べると、沿岸海域にも比較的近づくことが多い種でございます。
体つきは他のカジキたちと比べると比較的スリムであるものの、全長は3mを超えることもあり、バショウカジキ(芭蕉梶木)の名に相応しく、芭蕉の葉に似た巨大な背びれを有しています。この大きな背びれは狩りの時に大いに役立っており、普段は折りたたんでいますが、獲物となるイワシやアジ、サバやカツオなどを発見すると、この背びれを一気に広げて獲物をかく乱させ、狩りをします。英語名の「seilfish」も、この背びれが船の帆のように見えることから、その名前が付いているんですね。
カジキとマグロとは違う種類
ところで、カジキはよく「カジキマグロ」という呼ばれ方をしていますよね。なので、カジキはマグロの仲間と思ってしまいがちなんですが、実は違う種類で、カジキはスズキ目カジキ亜目メカジキ亜科、もしくはマカジキ亜科。マグロはスズキ目サバ亜目サバ科に属しますので一応親戚関係ではあるものの、それぞれ別の分類をされている種なんですね。
ちなみに両種をサバ目サバ亜目として括る説もあります。
バショウカジキは世界最速のスピードを誇るスイマー!・・・のはずなんですが・・・
冒頭でも少し触れたとおり、バショウカジキはその泳ぐ早さは世界最速を誇り、魚類・海生哺乳類など海に住む動物達全てをひっくるめても最速のスイマーで、その最高速度は、時速にして100kmを超えることもあります。
ちなみにバショウカジキに迫るスイマーの名を少し連ねると、
- マカジキ:約80km/h
- クロマグロ:約80km/h
- シャチ:約70km/h
- イワシクジラ:約60km/h
- アオザメ:約55km/h
- イルカ:約50km/h
などがいます。ちなみに人間が泳ぐ速度は大体3~4kmとされておりますので、この数値は海の生き物たちが本気を出すと、バショウカジキはじめ、かなり速いスピードで泳ぐことができるのがわかりますね。
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・・・とまぁ、これが今まで当然とされてきた海の猛者たちの泳ぐスピードなんですが、実はこれが最近の研究でかなり洗い直されつつあるんです。
実は意外に遅かった!?バショウカジキの泳ぐスピード
実は最近になって、より正確に海の生き物たちの泳ぐスピードを計測する技術が発達してきたことによって、海の生き物たちの泳ぐスピードが思ったより遅いことが分かってきているです。
バショウカジキもその例に漏れず、今までは時速に換算して、100km/h以上のスピードで獲物を追い回す、世界最速の海のハンターというのが定説だったのですが、実際にその泳ぐスピードはなんと通常の遊泳速度で約2km/h程度ということが分かってきているんです。
そして、バショウカジキにアニマルカムのような装置を取り付けた追跡調査でも、期間内に計測された最速の数値は約8km/hほどなんです。
そう。2km/hというと、ご年配の方がゆっくりと散歩を楽しむくらいの速度。今のところ100km/hとは程遠い結果となっているんですね。
今回は水棲最速と謡われるバショウカジキにフォーカスしておりますが、これはバショウカジキに限ったことではなくて、80km/hほどのスピードで泳ぐとされているクロマグロも最高で18km/hほど。シャチも約5km/hほどと、軒並み上記で挙げたようなスピードとは全く違う結果となっているんです。
ただ、これは長期で観測した結果ではないので、これがその種が出せる最高の速度かどうかはわからず、もしかすると従来通りの数値、あるいはそれ以上のスピード結果が今後出るかもしれないのですが、その可能性は現状低い方に傾いていそうですね。
水中の抵抗は陸上とはケタ違い
というのも、水中は陸上に比べ、水の抵抗がハンパなくて、進もうとすると、陸上と比べて数百倍の負荷がかかっているんですね。なので、水中で100km/hというスピードをたたき出そうとすると、これでもか。という程の水中抵抗を極限にまで低くする体の作りと、水の抵抗をものともしない筋力と、短時間であれ、それを持続する持久力、そして原動力である鉄の心臓が必要になります。
バショウカジキの体の作りは、非常にスピードに特化した体をしているのですが、この体と現在備わっている筋力で本気を出すと、果たして100km/hを超えるスピードを出せるか否かはまだ不明というところなんですが、普段2km/hほどのスピードで泳いでいるところを、その50倍もの数値を爆発的に生み出せるかどうか・・・。
もっとも、この海生動物たちの計測数値はいずれも何か測定器をつけて測ったものではないので、正確な数値というのはまだ測定はされていないようですね。そして、もちろん彼らは常にこの自身が持てる最大のスピードで泳いでいるわけでなく、最大速度は捕食者に追われたり、逆に獲物を追いかけたりする場合など有事に発生する瞬間的なスピードがほとんどで、普段の遊泳速度はせいぜい、8~10km位というところだといわれています。
ただ、カジキを釣る方法としてトローリング(釣竿につないだ疑似餌を船で巡航させながら魚を狙う)という漁法もあり、その巡航速度が約15km/h~18km/h(8~10ノット)とすると、これを追いかけて、尚且つ食いついてくるバショウカジキもそれくらいのスピードは出せてるっていうことになりますし・・・。
実際先ほど海の最速の猛者として名を挙げさせていただいた、アオザメもアニマルカムを装着して数日間その速度を実測したところ、約70km/hをマークしたことが分かっております。これは上記で挙げたスピードを上回っている速度なので、バショウカジキもやはりその従来の速度はホンモノだったなんて返り咲きの修正が入るってことも可能性としては無きにしものはず。
この辺りは、今後の研究が進むのを待つのみですね。
とはいえ、バショウカジキの優雅なフォルムはたまらない魅力
まぁ、バショウカジキの泳ぐスピードに関しては今後の研究が進むのを期待するとしてですね。その姿は優雅で美しい海の生物達の中でも屈指のフォルムを誇っているといえるのではないでしょうか。バショウカジキと言っても、カジキには10種類超の仲間がいて、どれがバショウカジキなのか、分かりにくいって思われるかもしれませんんね。ですので、百聞は一見にしかずということで、バショウカジキが泳いでいる姿をご覧いただきたいと思います。
いや~~・・・なんとも優雅なその姿ですね。やはり海の生物は海を颯爽と遊泳している姿が一番美しいですよね。
そして、こちらはバショウカジキの幼魚。成魚よりもその体のブルーが一段と映える体ですね。おそらく外洋の色と同じような色で捕食者達の目をそらしているのだと考えることができます。それにしても、立派な口吻と、背びれは子供の頃から有しているとはオドロキでした。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、海の最速のハンター、バショウカジキに立ち込める暗雲を含めて、バショウカジキが持つ魅力をお伝えさせていただきました。
まぁ、泳ぐスピードに関しては、他の海の域もを含めて、今後下方修正される可能性もありますが、数値がいくらであれ、バショウカジキが海のスピードハンターである事はバショウカジキが私たちにその雄姿を見せてくれる限り変わらない事実。
事実、バショウカジキはじめカジキ類は体も非常に大きく泳ぐスピードも早い種が多いため、飼育というのは難しいといわれております。やはり、雄大な生き物は自然のままの姿が似合うというところなのかもしれませんね。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございます。