魅惑の野生動物たち

【フィリピンワシ】サルクイワシの異名を持つ世界最大のワシの意外な特徴とは?

こんにちは。えたばりゅです。

今回は、ワシの中では最大の巨大さを誇る猛禽類、フィリピンワシをご紹介したいと思います。

ではでは、世界最大の巨体を誇りながらもその生態が謎に包まれている神秘のワシに迫っていきましょう。

フィリピンワシ 巨大な体でサルをも喰らうサルクイワシの異名を持つ鳥の王

フィリピンワシは学名を「Pithecophaga jefferyi」、英名を「Philippine eagle」もしくはその巨大で雄大な姿にちなみ、「Great Philippine Eagle」などと呼ばれているタカ目タカ科に属する猛禽類で、その全長は1mを超え、体重は時に8kgにも達し、ワシの中では最大の巨体を誇ります。

その名前の通り、フィリピンの標高が比較的低い原生林に生息しており、フィリピンの固有種として、なんと国鳥にも認定されておりましてですね。その巨大な姿から鳥の王とも呼ばれているんですね。

ただ、人が容易に踏み入ることができない密林地帯に生息していることや、食物連鎖の頂点に位置する動物の為、その絶対数も少なく、その生態は未だ謎に包まれているんです。

フィリピンワシ サルクイワシの異名を持つフィリピンの森林の頂点捕食者

それにしても見た目からして強そうですよね。その勇猛な姿に加え、目に飛び込むのは、いかにも頑丈そうな太いクチバシではないでしょうか。フィリピンワシはこの巨体とこの鋭く強靭なクチバシを用いて、他の鳥類やコウモリ、ヘビやトカゲなどの爬虫類、そしてジャコウネコといった哺乳類の他、マカク類のサルなどを捕食しております。

マカク属とは日本にいるニホンザルが属している猿の仲間。ニホンザルは私たち日本人にもなじみ深いサルですが、間近で見ると結構大きいですよね。

フィリピンワシはこのような大きなサルも捕食することから、サルクイワシ「Monkey-eating Eagle」という異名も持っており、フィリピンの森林の頂点捕食者として君臨しております。

フィリピンワシ 世界最大の巨体にしては比較的短い翼長

フィリピンワシは時に体重8kgに達する世界最大のワシであることは先ほどお伝えさせていただいたのですが、翼を広げた翼開長は約2m弱と、世界最大の巨体を持つ種としては比較的短いんですね。

まぁ・・・2m近くになる時点で、決して小さくはなく、間違いなく大型である事は確かなんですが、日本に生息しているニホンイヌワシなどは全長はフィリピンワシに及ばないものの、翼開長は約2.5mに達することもあり、オオワシやイヌワシ、オジロワシなど他の大型猛禽類と比較すると、その翼開長は短いといえます。

実はこれは、同じくワシの中では最大クラスの巨体を誇り、フィリピンワシと同じく森林を主な生息の場としているオウギワシにも言える特徴で、日本に生息しているクマタカも同じような特徴を兼ね備えております。

フィリピンワシの翼開長が他の大型猛禽類と比較して短い理由

では、なぜフィリピンワシやオウギワシ、クマタカといった猛禽類の翼開長が体の大きさの割に比較的短いのか、それはこの3種に共通している特徴にあると考えることができます。

フィリピンワシは先ほどお伝えした通り、森林地帯を生活の場にしており、そこで様々な動物たちを捕食して暮らしております。これは、オウギワシやクマタカにも共通した生態なんですね。

その中には、ムササビやサルなど、樹上性のものも多く、こういった動物たちは巧みに木々の間をすり抜けながら、フィリピンワシの攻撃を避けようとします。

フィリピンワシが大型猛禽類にもかかわらず、その翼開長が比較的短いのは、こういった獲物を追跡し、確実にとらえるため、自らも狭い密林の中を飛びやすいよう進化したためなんです。

ただ、翼開長こそ短いものの、翼の面積自体は広く、大きな体でも問題なく風を捕え、力強く飛翔することが可能になっております。

フィリピンワシはこれらの自らの武器を存分に駆使し、樹上にいる獲物もその強靭な脚と鉤爪で木から文字通り鷲掴みにし、捕食してしまうんですね。ちなみに、オウギワシやクマタカもホエザルやニホンザルといったサルたちを獲物としております。

こちら、フィリピンワシが力強く飛翔する様子や鳴き声、子育てをする様子が納められておりますので、良ければご覧になってみて下さい。(ナレーションは英語になります。)

いかがでしょう。頭部の冠羽が凪いでいるときは、どこか優雅でなんとなく、ヘビクイワシを彷彿とさせますが、それが逆立った時には一気に精悍さが増す感じがしますよね。

現在非常に絶滅が心配されているフィリピンワシ

先ほどの動画でも少し触れられていましたが、フィリピンワシは、元々の数が少ないうえ、違法伐採などでその生息地帯の大部分が失われてしまい、現在はかなり絶滅が心配されているんですね。

IUCN(国際自然保護連合)が定めるレッドリストでは現在残念ながら、CR(絶滅危惧Ⅰ A類)にランクされ、その保全が急がれる種になっております。

また、昨今のコロナ禍により、人々が職を失い、それが基でフィリピンワシにも思わぬ弊害が出てしまっているようなんです。

NATIONALGEOGRAPHIC日本版 残り400組、“鳥の王”フィリピンワシの保護がコロナ禍で急増
フィリピンの国鳥、経済活動の停滞で保護区が無防備に

何としても守っていかないとですよね。

最後に

いかがだったでしょう。今回は、フィリピンに生息する世界最大のワシ、フィリピンワシをご紹介させていただきました。絶滅が危惧されているのは、非常に心配されるところですが、鳥の王がこれからもその王座に君臨し続けられるよう、絶賛応援していきたいところですよね。

それにしても、体が大きいからといって、必ずしもそのほかのパーツも比例して大きくなるわけでないってところは、進化の奥深さを感じてしまいます。

2020年3月現在では日本の動物園や、サファリなどではフィリピンワシには会うことはできないのですが、フィリピンに行った際には、是非とも会いたいワシといえます。

いや、むしろフィリピンワシに会いにフィリピンに行きたいかもw

ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

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