こんにちは。えたばりゅです。
今回は、猛禽類最強クラスの実力を持つと名高い鳥、オウギワシをご紹介したいと思います。自分とほぼ同じ体重であるナマケモノを、木から一瞬で引き剥がし、軽々と空中へと連れ去るその驚異の捕食動物としての実力をぜひご堪能下さい。
オウギワシ 自身と体重同格のナマケモノを一撃で空中へ!猛禽類最強と名高い南米の空の覇者
オウギワシは英名を「Harpy Eagle」、もしくは「American Harpy Eagle」。学名を「Harpia harpyja」という、タカ目タカ科オウギワシ属に属する猛禽類で、コスタリカなど中央アメリカからブラジルなどの南アメリカにかけて生息しており、主に熱帯雨林を生活の場としております。
高い木々の間を縫うように華麗に飛行し、霊長類やナマケモノ、シカなどの小型から中型の哺乳類、そして他の鳥類やイグアナなどの爬虫類を捕食して生活しています。
冒頭に述べたとおり、勇猛な猛禽類の中でも最大クラスの巨躯を誇り、翼を広げた翼長は約2m、さらに体重は約7kg、最大ではなんと約11kgにもなる、飛翔する鳥の中では最重量クラスの猛禽類でございます。
そして猛禽類最強と噂される理由には、こういったオウギワシの体格の他にもう1つ、体のある部分とその力が関係しております。
その威力はライフルに匹敵!最強オウギワシの必殺の武器
オウギワシなどの猛禽類が持つ武器といえば、やはり鋭く曲がった嘴がイメージされやすいですが、このオウギワシはその嘴はもちろんのこと、獲物には恐怖以外の何ものでもない鋭い鉤爪を具えた大きな脚と、その脚から繰り出される強烈な握力が最大の武器となっております。
その鋭い鉤爪で、獲物に空中から約80km/hのスピードで猛然と襲い掛かる時の対象に与える衝撃は、何とライフルで受ける衝撃に相当するというから驚きですよね。
オウギワシの爪の長さは約10cmを超え、これは北米最強と謳われるの生物の一角、体長約2.5m、体重500kgにも及ぶグリズリーに匹敵する長さで、その握力は約140kgと、たった7kgしかない体重の動物からは想像もつかないような驚異的な握力を誇り、オウギワシの爪の長さは猛禽類の中では最大を誇ると考えられてます。
平均的な成人男性の握力が約40~50kgとされておりますので、平均的な成人男性の約3倍近い握力になりますね。
このような力強いワシなので、パナマ共和国ではオウギワシを国のシンボルとなる国鳥としており、その国章にもオウギワシの姿が描かれています。
でも正面から見るとちょっと可愛らしいでしょw
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ちなみに余談ですが、りんごを片手で握りつぶすのに必要な握力は約80kgとされておりますので、オウギワシからしてみれば、リンゴを握りつぶすなんてのは朝飯前。その力強い翼を駆使し、約80kmのスピードでライフル銃から放たれる弾丸のごとき衝撃を与えられるのは、獲物からしてみれば恐怖以外の何物でもありませんよね。
さらに余談で申し訳ないのですが、最大クラスの握力を誇るのは私たち霊長類のホープ、ゴリさんで約500kg。人間で最大クラスはスウェーデンの御仁がたたき出した192kgというのが最大のようですね。
ではそんな強力な脚を生かしたオウギワシの狩りの様子が動画にございましたのでよければご覧下さい。
いかがでしょう。ナマケモノも決して小さな獲物ではなく、体長が約50cmほどあり、その体重も約4~6kgほどありますので、体重約7kgほどのオウギワシにしてみればかなりの大物。
そして、ナマケモノも鋭い爪を持っており、普段から木から落ちないよう、しっかりその爪で木をホールドし捕まっているのですが、それを一瞬で引きはがし、空へと連れ去るチカラはもう驚愕としか言えませんよね。
人間が手や足の力だけで自分よりも少し体重が軽いものを持ち運ぶと考えると、その力強さが分かります。
南米にはジャガー、そしてオオアナコンダ、クロカイマンなど屈強な捕食動物が君臨しておりますが、まさに陸のジャガー、空のオウギワシ、そして水辺にはオオアナコンダ、そしてクロカイマンという感じでそれぞれがその地の王座に君臨しているといえますよね。
こういった力強さ、そして体の巨大さもあってか英名の「Harpy Eagle」という名前は、ギリシャ神話に登場する伝説の怪鳥、ハーピー(ハルピュア)から由来されております。
ハーピーという怪鳥を簡単に説明すると、頭部から上半身が人間の女性の姿をしており、下半身は鳥の姿で人間の腕の部分は翼になっております。ゲームなどでも、よく敵キャラ的立ち位置で登場しているのをお見受けしますので、ご存知かもしれませんね。
そんな猛禽類最強のオウギワシ。生息地域の熱帯雨林の破壊などによりやはり数は減少傾向にあります。
オウギワシの保全状況
IUCN(世界自然保護連合)のオウギワシにおける保全状況は以下のようになります。
少し前までは、NT(準絶滅危惧)だったのですが、そのランクは残念ながら引き上げられ、現時点ではVU(絶滅危惧 Ⅱ類)としてその危急性が訴えられております。現状の熱帯雨林の消失率などがやはり歯止めがかかっていない状況といえそうです。
イヌワシ然り、このような猛禽類は狩場に広い縄張りを有することが多いもの。そして、頂点捕食者というのは、えてして元々の絶対数が少ないうえ、環境の変化の影響をモロに受けやすい種でもあります。
強い、強靭というそのイメージとは裏腹に食物連鎖の頂点を統べる種は実はデリケートな種が多いんです。故にしっかりと私たちもその認識をしてできる限りのことをしていかねばですね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は猛禽類最強の実力を持つと噂されるオウギワシをご紹介させていただきました。
体の色は少し地味ながらもその力強さ、体格は最強の猛禽類に恥じない勇姿ですよね。
このオウギワシをご紹介するとなると、同じく猛禽類最大にして最強クラス、そしてオウギワシと生態がよく似たフィリピンに生息するフィリピンワシ(サルクイワシ)もご紹介しないわけにはいきませんよね。フィリピンワシについてはこちらの記事でバッチリご紹介しておりますので、是非ぜひこちらの記事も併せてお読みいただければ幸いです。
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僭越ながら私もこの両雄が力強く息づく姿を是非、現地で観察したいと思う今日この頃。やはり野生動物たちには言い知れない魅力を持っているといえますよね。
ではでは今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。