こんにちは。えたばりゅです。
今回は、IUCN(国際自然保護連合)が定めているレッドリストのカテゴリ基準のうち、NE(未評価)とDD(情報不足)の違いについて分かりやすくご紹介してみようと思います。
どちらも似たようなカテゴリに思えますが、実は両者には決定的な違いがあったんです。ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
IUCN(国際自然保護連合)が定めるカテゴリ「NE(未評価)」と「DD(情報不足)」の違いをバッチリ分かりやすくご説明!
IUCN(国際自然保護連合)はスイスを拠点として、活動・活躍されている国際自然保護団体で日本にも、IUCN JAPAN(国際自然保護連合日本委員会)という支局がありまして、その活動の一環として、生物種を独自の評価カテゴリに分類し、個々の生物群が現在どれくらいの危険度で絶滅が心配されているかを分かりやすく分類されており、僭越ながら、私もこのブログで動物たちをご紹介するときに、IUCNが定めておられる評価基準をよく利用させていただいておりましてですね。
では、早速NE(未評価)とDD(情報不足)の違いについてご紹介していきましょう。
IUCNの評価カテゴリ「NE」と「DD」とは
では、まず「NE」と「DD」とは何かというところを簡単にご紹介させていただくと、IUCN(国際自然保護連合)が定めている生物の絶滅の危険度を示す9つの分類カテゴリのうちの一部で、「NE」は「Not Evaluated(未評価)」、「DD」は「Data Deficient(データ不足)」という基準で位置づけられています。
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では、次にこのカテゴリ基準にはどういう意味合いがあるのか、そのあたりについてご紹介していきましょう。
DD(データ不足)とNE(未評価)のカテゴリ基準について
まず、DD(データ不足)とは
十分な情報がないため,分布状況や個体群の状況にもとづいて絶滅のリスクを直接的に も間接的にも評価できない分類群は「データ不足」である。
それに対して、
NE(未評価)とは
現行の基準に照らして査定が行われたことのない分類群は「未評価」である。
とされています。
※いずれの引用もIUCNレッドリストカテゴリーと基準 3.1版 改訂2版より一部抜粋
ということは、どちらの基準もデータがないという点では共通していますよね。ではいったいこの2つの基準はどういった違いがあるのか。
NEとDDの基準の違いとは?
実は一見同じような分類に見えるこの2つの基準には明確な違いがあったんです。それは評価済みかそうではないかというところ。
つまり、NE(未評価)に関しては、その生物の存在は確認されているものの、その詳細がほぼ不明で評価するまでに至っていない。要するに現段階では「評価していない。」という意味を示しています。
それに対し、DD(情報不足)に関しては、その生物に関して、一定の研究データはあるものの、生息状況やその生物の生息域など絶滅の危険度を表す指標となるデータが不足しているので、「現段階では絶滅の危険性を表すには情報不足」として評価しているということになります。
ようするにNE(未評価)については、その名前の通り評価がまだ行われていないということになります。
ちなみに、私もこの2つの違いについて、明確に説明できる自信がなかったので、国際自然保護連合日本委員会に問い合わせてみたんです。
すると、忙しい最中にもかかわらずこのように非常にありがたいご回答をいただきました。
とても分かりやすく解釈して下さり、ありがとうございます。
誤解されがちな「NE(未評価)」「DD(情報不足)」の基準
この分類基準、以前ご紹介した、LC(軽度懸念)~EX(絶滅)の評価基準に比べると、なんかそんなに危急性がないんで、後回しにされているような印象を持ってしまうかもしれませんが、決してそんなことはないんですね。
というのも、こういった評価基準を出すまでに、過去10年間(あるいはその生物群3世代のいずれか長期期間のデータ)の生息状況など、かなり膨大な研究データを用いて、その生物群の危急性を評価しているんです。
なので、一口に評価基準を示すといっても並大抵のことではなくて、情報が不足している、あるいはまだ評価するに至っていないような、「DD」や「NE」に分類されている生物群も決して絶滅が全く心配されていないということではなくて、ひょっとすると既にCR(深刻な危機)やEW(野生絶滅)に相当するような危険性をはらんでいる可能性もあるんです。
IUCNでもDDのカテゴリ説明の一部に
このカテゴリーに該当する分 類群はよく研究され,生物学的には理解されているかもしれないが,個体数や分布に関 する適切なデータが欠けている。「データ不足」はしたがって,「絶滅危惧」のカテゴリー ではない。分類群をこのカテゴリーに掲載することは,より多くの情報を必要としている ことを意味し,将来の調査研究が進めば「絶滅危惧」に分類されるのが適当かもしれな いという可能性があることを示している。どんなデータでも利用できるものがあれば積 極的にそれを活用することが重要である。多くの場合,「データ不足」と「絶滅危惧」のど ちらかの選択に当たっては,十二分な注意を払うことが必要である。分類群の分布域が比 較的限られている疑いのある場合や,分類群が最後に記録されて以後かなりの期間が経 過してしまっている場合には,「絶滅危惧」状態と判断する方がよいだろう。
という注意書きを添えています。
こういったことから、NE(未評価)やDD(情報不足)として分類されている生物群も決して予断を許さないというか、むしろ情報や研究データがない分、かなり危険な状態といえるのかもしれませんね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、IUCN(国際自然保護連合)が定める評価基準の一部である、NE(未評価)とDD(情報不足)の2つの違いについて分かりやすくご説明させていただきました。
その生物たちに、信頼できる生息データなど、評価に最適なデータがいち早く集まり、最善の保全活動に繋がるよう、僭越ながら私も絶賛応援していかねばです。では、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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