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【異名は半裂(ハンザキ)】清流の主オオサンショウウオ 実は超獰猛だった!

こんにちは。えたばりゅです。

今回は清流の主、オオサンショウウオをご紹介したいと思います。オオサンショウウオといえば、日本の固有種にして天然記念物、そして現在非常に生息数が心配されている絶滅危惧種として心配な面でもよく知られているのですが、実はその性格を知る人はあまりいなく、おっとりしたイメージとは裏腹にけっこう獰猛だったりするんです。

今回はそのあたりも含めて、オオサンショウウオの魅力に迫っていきたいと思います。

オオサンショウウオ おっとりイメージとは正反対の実は荒ぶる性格だった!?

オオサンショウウオは英語名を「Japanese giant salamander」、学名を「Andrias japonicus」という、有尾目オオサンショウウオ科オオサンショウウオ属に属する両生類で、岐阜県から西の本州と、四国、そして大分県の一部地域に生息しており、通常は河川の水が澄んで冷たい上流域を好んで生活の場としています。

言わずと知れた世界最大級の両生類で、その体長は約50cm~80cmほどにまで成長し、大型の個体であれば1mを超えることもあり、最大では1.5mにまで成長することもあります。通常サンショウウオの仲間は大体が約10~20cmほどですので、これはサンショウウオの仲間では、群を抜いて巨大といえますよね。

オオサンショウウオの親戚希少チュウゴクオオサンショウウオ

オオサンショウウオは日本の固有種ということは間違いない事実なんですが、実は中国にも日本に生息してるオオサンショウウオの近縁種、チュウゴクオオサンショウウオなるサンショウウオが生息していて、こちらは中国に生息しているのですが、近年人為的に持ち込まれたこのチュウゴクオオサンショウウオが日本でも生息域を拡大しており、日本のオオサンショウウオと交配も可能であることもあって、日本のオオサンショウウオと、人為的理由で持ち込まれてしまったチュウゴクオオサンショウウオの交雑種が増えてきており、生息域の破壊に加え、こういった交雑種の誕生で、純血のオオサンショウウオの数がかなり減ってきております。

ただ、このチュウゴクオオサンショウウオ、実はIUCN(国際自然保護連合)が定めるレットリストの分類ではCR(絶滅危惧 ⅠA類)に分類されていて、中国でもかなり激減しており、日本のオオサンショウウオのNT(準絶滅危惧)のランクよりも危急性が高い為、日本でも外来種として対処することも難しく、その対応がかなり困難になってしまっているんです。

IUCNが定めるチュウゴクオオサンショウウオのレッドリスト区分

IUCNが定めるオオサンショウウオのレッドリスト

ちなみに日本の環境省では、独自にオオサンショウウオをIUCNよりも危急性の高いVU(絶滅危惧 Ⅱ類)にランクして、保護に取り組んでいますが、チュウゴクオオサンショウウオの交雑の件も重なって、その保護対策の状況は難しいところにあります。

日本の環境省が定めるオオサンショウウオのレッドブック区分

何とか問題を打開して、両種共々、安定数になるよう絶賛応援しなければですよね。

このように生息数も減っており、そのイメージとしても、どこか儚いイメージがあるオオサンショウウオなんですが、実はその性格は儚いそのイメージとは正反対。結構荒ぶる性格をしているんです。

実は獰猛なオオサンショウウオ

オオサンショウウオと聞くと、大きくて絶滅の危機に瀕している天然記念物というところはよく知られているのですが、その性格や食性はあまり知られていませんよね。

大きくてどこかおっとりしてるイメージもあったりして、食べ物も岩に付いている藻や苔などを食べている大人しい生き物という感じがします。

ですが。ところがです。実はオオサンショウウオの食性は肉食。しかも結構な獰猛具合で、岩陰に隠れながら獲物を待ち伏せして、獲物が射程距離に入ると、その巨大な口で一気に襲い掛かるんですね。

獲物となる動物は魚やカエル、サワガニなどの小動物はもちろん、ヘビなどを襲うこともあり、また同種同士で共食いすることもあるんですね。なので、オオサンショウウオが生息している場所ではオオサンショウウオが食物連鎖の頂点を統べる動物としてその役割を担っているんです。

・・・けっこう、意外でしょ。

また、オオサンショウウオの歯は小さいながらも、かみそり状になった鋭い歯がずらりと並んでおり、面白がって掴んだりすると、鋭い歯の一撃を喰らい、人間でも大けがをすることがあるんです。

・・・けっこう、超意外でしょ。

なので、お互いのためにもし見かけても不用意に触らないようにしましょうね。

オオサンショウウオのもう一つの名、それはハンザキ

オオサンショウウオには実はもう一つの別名があって、ハンザキという名前で呼ばれていたりもするんですね。オオサンショウウオ(大山椒魚)の名前の由来は、サンショウウオの仲間が山椒のような香りを発するといわれていることからこの名前が付いたと伝えられているんですが、ハンザキの名前の由来ははっきりしておらず、

  • 体を半分に裂いても生きていそうな異形の生き物
  • 体を上下に半分に裂いたような巨大な口をしているサンショウウオ
  • 山椒の古語「はじかみ」が「はんざき」に変化した
  • オオサンショウウオの体表の模様が、花が咲いたようなもようから「花咲き」が「はんざき」に変化した

などいった説があります。その性格のとおり、どう猛なものから、オオサンショウウオの持つ特徴まで、様々な説がありますが、なんかどれもそれっぽいですよね。

僭越ながら、個人的に推したいのはオオサンショウウオの口の由来かな。なんて思ったりしています。

こちらオオサンショウウオの骨格標本。いかがです?骨格からして口が大きく開く感じが伝わってきますよね。ハンザキという名前の由来の可能性の一部となっているのもうなずける気がします。

撮影:兵庫県立人と自然の博物館

最後に

いかがだったでしょう。今回は、日本の清流の主、オオサンショウウオをご紹介させていただきました。北日本の清流の主といえば、やはり鹿をも飲み込んでしまうという伝説が残されているイトウの名が浮かびますが、中日本、西日本の清流の主といえば、このオオサンショウウオが浮かびますよね。

どちらも甲乙つけるには超難しい魅力的な生き物。是非ゼヒ、これから先も日本の主の両翼として、頑張ってもらうべく、私たちも絶賛応援していかねばですよね。ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

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