こんにちは。えたばりゅです。
今回は、住む場所場所で必ず食物連鎖の頂点に立つ、孤高の獣王、トラの魅力を余すところなく、徹底的に、ふんだんに、ネップリと、タップリと!
ご紹介させていただきたいと思います。
トラがなぜ生息地の先々で最強を極めることができているのか、なぜ孤高の獣王と呼ばれるのか。いわゆる猛獣とよばれる動物ながら、なぜゆえにここまで人を惹きつける動物なのか。そのあたりにもバシッと迫っていきたいと思います。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
トラ 最強伝説とその裏に潜む意外な素顔
トラ。英名は「Tiger」、そして、学名は「Panthera tigris(パンティラ ティグリス)」という、食肉目ネコ科ヒョウ属に属する哺乳類の仲間で、真正の肉食。寿命は野生下でおよそ平均15年ほどと考えられています。
獲物となりうる動物はシカや水牛などの草食動物から、ワニやクマといった食物連鎖の高位に属する動物たちもトラの獲物となります。その狩りの方法はネコ科の類にもれず、獲物に忍び寄り、射程範囲に達すると一気にとびかかって相手をしとめる一撃必殺型です。
そして時には3倍以上体重がある水牛も打ち倒すほど。これだけ巨大な獲物を単独で狩る肉食哺乳類は現在のところトラだけなんですね。
いや~・・・それにしても、ワニやクマといった自然界における超強者まで獲物にするとは、オドロキですよね。それにしても、トラのこの最強っぷりは一体どこに秘密があるのでしょうか。
そのあたりの秘密に迫っていきましょう。
トラ 食物連鎖の頂点を極める王獣たる所以1.ネコ科最大級の巨体
まずは何と言っても、これではないでしょうか。トラは世界数多存在するネコ科動物の中でもトップクラスの体格を誇り、亜種であるアムールトラは現生ネコ科動物の中で最大の巨体を誇っております。
体長約3m、体重約300kgのしなやかで強力な筋肉を携えた巨体から繰り出される一撃は強烈そのもので、獲物が倒れたバランスを崩したところに素早く獲物の喉元に食らい付き、器官を締め上げて仕留めます。
これには、鹿などの草食動物はひとたまりもなく、分厚い皮膚を持つワニや強力な筋肉を持つクマでさえも打ち倒されてしまうんですね。
ただ、もちろんワニやクマといった相手はトラにとっても難攻不落の強敵であり、自ら傷を負ったり逆に返り討ちに遭う危険もあるので、積極的には襲いません。
トラ 食物連鎖の頂点を極める王獣たる所以2.周りに見事に溶け込むステルス機能
そしてトラを食物連鎖の頂点にとどめているのがトラの代名詞ともいえる、茶色に黒の縞模様。これが見事なカムフラージュを果たし、周りの森や茂みに絶妙に溶け込みます。
先ほど申し上げた通り、トラ現生ネコ科動物の中でも最大クラスの巨体を誇るのですが、茂みに隠れたその姿はほんの数メートル離れると、全く気付かないほど。
いうなれば、鋭い牙と爪を持った生きるステルス戦闘機。
獲物が気づいたときには、トラはもうガッツリ射程圏内に入っているというわけです。この見事に周りに溶け込む体の模様もその狩りをより一層確実なものとしています。
ではでは、そんなアジアが誇る最強の王獣トラの亜種たちを紹介していきましょう。
現在生息しているトラの仲間たち
とはいうものの、その生息状況は明るいものではなくてですね。かつては、シベリアからインドにかけて幅広く8亜種が生息しておりましたが、現在生息しているのは5種、野生下では、4種が生息しているのみとなっております。
アムールトラ(シベリアタイガー)
アムールトラは、別名シベリアタイガー、チョウセントラなどとも呼ばれるトラの仲間で、トラの仲間の中ではもちろん、現生ネコ科動物の中でも最大の体格を誇り、体長はオスで最大約3m(尻尾を含めると4mに迫る)、体重約300kgにまで成長します。
その特徴としては、体長の他、亜種の中では生息地が一番北に位置しているため、体毛が4亜種の中で一番長く、現地の極寒の環境に見事に適応しております。
かつてはシベリアから中東にかけて幅広く生息しておりましたが、現在ではロシアの沿海地方、ハバロフスク地方の一部にのみ生息しております。
その体格を生かし、鹿を主食としながら、鹿の最大種であるヘラジカやヒグマなども時折捕食することがあります。
ベンガルトラ
ベンガルトラはアムールトラに次いで大型になるトラの仲間で、他の亜種に比べ、縞模様が少なく、トラの仲間では一番知名度が高いトラともいえます。最大約2.5m(尻尾を含めると3m以上)体重約250kgにまで成長します。
インドやネパール、バングラデシュの森林地帯やマングローブ林などの湿地帯に生息しており、なかでもインドのスンダルバンス国立公園の広大なマングローブ地帯はベンガルトラの生息地として有名です。
ベンガルトラもアムールトラと同じく、鹿をよく捕食しておりますが、ワニやツキノワグマ、アジアゾウやインドサイの幼獣など、大型動物や強力な捕食動物をも時折襲うことがあり、頂点捕食者としての存在感やその美しい姿から、ロイヤルベンガルタイガーと称されることもあります。
インドシナトラ
インドシナトラはその名の通り、インドシナ半島を中心に生息しており、タイ、ミャンマー、ベトナム、中国の一部などの山間部、人が入ることが困難な森林地帯を生活の場としております。
体長は最大約2mと、トラの亜種としては中型になりますが、最大亜種のアムールトラとはかなり近い存在であり、共通のトラの始祖がそれぞれの生息地に移動、長期間生活していくうちに、各々の生活環境に順応、分化していったと考えられています。
獲物となる動物は、鹿やイノシシなどの中型動物が多いですが、時にヤギュウなどの大型草食動物やヤマアラシといった反撃のリスクを伴う相手にも襲い掛かることがあります。
スマトラトラ
スマトラトラは絶滅が危ぶまれる他の亜種のトラの仲間でも最も絶滅が心配されているトラで、スマトラ島の一部の地域のみ生息しております。
野生個体は絶滅してしまったアモイトラ含め、全ての亜種の中で一番小型の種類になり、体長は最大約1.8m(尻尾を含めると約2.7m)と最大亜種のアムールトラと比較すると約半分ほどの大きさ。
ゆえにスマトラ島にもスマトラサイ、スマトラゾウといった大型の草食動物は生息しているものの、狙う獲物はシカやイノシシがほとんどです。
トラは現在全ての亜種が絶滅危惧種に指定されている
現在置かれているトラに対する状況は非常に厳しく、その美しい毛皮目的や漢方目的、生息地域の破壊、そして、家畜や人間を襲う害獣として人間に敵対視され、世界的に生息数が減少。現在生息する全てのトラは絶滅危惧種に指定されています。
先ほどご紹介した、アムールトラ、ベンガルトラ、インドシナトラはIUCN(国際自然保護連合)が定めるレッドリストでは絶滅危惧Ⅰ B類に指定されております。
そして、野生下に現存している、4亜種のうちスマトラトラはもっと深刻な状況下にあり、他の3亜種よりも危険度が高い、絶滅危惧Ⅰ A類(CR)に指定されており、生息地であるインドネシアでは国を挙げての保護政策が進められているんですね。
もちろん、自国の野生動物の生息が危ぶまれている状況を打開すべく取り組んでいるのはインドネシアのみではなく、インドはじめ、国を挙げての保護政策を施行している素晴らしい国々もあり、そのおかげで2016年4月発表の調査結果で、トラの野生個体が回復傾向にあるという、嬉しいニュースも報じられました。
ナショナルジオグラフィック日本版 ニュース記事 2016.4.13
世界の野生トラが回復。過去5年で20%増
まぁ、アレです。この20%は四捨五入が反映されており、もう少し精密に言えば17.7%というところですが、国を挙げての保護活動というところが何とも嬉しい取り組みではないでしょうか。とはいっても、トラという種全体の野生での生息数が、地球上でたった3,900頭と予断を許さない状況であることには変わりません。ただ、一筋の光が差し込んでいることには間違いないので、このまま順調に回復してくれるのを祈るばかりですね。
トラという動物が希少性が高く、絶滅が心配されているというのは、私たちのような一般人にも浸透しつつあるのですが、トラと一口に言っても意外と種類がいるんだなと驚かれたのではないでしょうか。
でも、あなたの
あれ、ホワイトタイガー忘れてるんじゃないの??
っていう声が聞こえてきそうですね。ではでは、ホワイトタイガーはじめ、変わった毛色をもつ美しいトラたちをご紹介していきましょう。
こんな毛色のトラもいるの!?その美しさに驚嘆
実は変わった毛色を持つトラはホワイトタイガーだけではなくて、未確認の毛色も含めると、4色の経路を持つトラがいるとされております。そして、これらのトラは独立した種類ではなく、ベンガルトラなどの変色種なんですね。では、まず一番の有名どころのホワイトタイガーからご紹介していきたいと思います。
ホワイトタイガー
ホワイトタイガーは白化型とよばれる、トラの白変種というもので、よく他の生物でも見受けられるアルビノではありません。また、現状ではベンガルトラにのみ見られる状態で、ホワイトタイガーの正式名称はベンガルトラ白化型といわれております。
かつてはインドでホワイトタイガーの野生個体も確認されておりましたが、トラ自体の絶対数が減ってしまったため、ただでさえ希少なホワイトタイガーの野生化での生息は現在は確認されておらず、飼育下でのみその姿を見ることができます。
ちなみにアムールトラでもこの白化型の目撃情報があることはあるのですが、確かな記録でなく、アムールトラの生息場所が雪深い場所なので、単に何らかの原因で雪を被った状態のアムールトラを、ホワイトタイガーと誤認した可能性もあり、アムールトラのホワイトタイガーは現在のところ確かな根拠はありません。
ゴールデンタイガー(ゴールデンタビー)
通常の黒い縦じまが濃い茶色、茶色い部分が薄い茶色をしている毛質を持つトラのことで、光の具合で黄金色に輝いて見えることから、ゴールデンタイガーとも呼ばれており、通常のトラよりも大型化する傾向があります。
ゴールデンタイガーはホワイトタイガーと通常のトラが交配し、偶発的に誕生する毛質のトラで、近親交配が成す遺伝子異常の結果とも考えられています。
ですので、ゴールデンタイガーもホワイトタイガーと同じく、ベンガルトラの変色種になり、自然界では確認されておりません。
ブラックタイガー
1700年代から目撃情報があるクロヒョウのごとき漆黒の体をしたトラで、その多くの目撃情報は大型のクロヒョウやツキノワグマを誤認したものではありますが、現在ではごくごく少数ながらその存在が動物園でも確認、記録に残っているトラです。
ブラックタイガーが誕生する起因としては、近親交配などの遺伝子異常が原因となり、縦じまの黒い部分が以上に多くなり、オレンジの部分がほとんど見られなくなる、いわゆる疑似メラニンからくるものと考えられております。
・・・とココまでは飼育下ではありますが、実際に生息が立証、または確認されている毛質のトラ。次にご紹介する毛質のトラは目撃情報などはあるものの、その存在が科学的に立証されたものではありません。
マルチーズタイガー(マルタタイガー)
ブルータイガーとも呼ばれ、その毛質は、青みがかった灰色。マルチーズタイガーの由来は、ロシアンブルーなど、灰色がかった青色の毛質を持つ猫たちがマルチーズキャットと呼ばれることに由来しております。
中国南部に生息しているアモイトラの亜種とされており、韓国でも目撃情報があるのですが、このアモイトラは確認不十分ながら現在はすでに絶滅した亜種と考えられているので、マルチーズタイガーが現存する確率は残念ながら少ないといえそうですね。
では次に意外と知られていないトラの魅力あふれる特徴と生態をご紹介していきましょう。
意外と知られていないトラの生態と特徴
トラといえば、知らない人はいないといっても過言ではないくらい超有名な動物ですが、そのネームバリューとは裏腹に意外と知られていない特徴や生態がありましてですね。
トラの意外な生態と特徴1.トラは水が大好きな有能なスイマー
まず、ニャンコと共に暮らしている方はご存知だと思うのですが、ネコ科の動物というのは長じて、水を嫌がり、好んで自分から水に入るようなことはしません。ですが、トラはかなりの優れたスイマーで、水の中から陸で日光浴しているワニをハントすることもあるほどです。また、潜水も可能で潜水時には鼻に水が入らないよう、鼻腔を閉じるのでそれはそれは、鬼神というか、般若というか・・・スンバらしく恐ろしい形相をしています。
ちなみに他に泳ぎが得意なネコ科動物にアマゾンなどに生息しているジャガーや日本に生息するイリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコなどのベンガルヤマネコの仲間がいます。
トラの意外な生態と特徴2.トラにも実はタテガミがある
たてがみって、雄ライオンの専売特許的な感じがしますが、雄のトラにも、実はたてがみが存在するんです。もっともライオンほどボリューミーではないですが。
トラのたてがみもライオンと同じく年齢を重ねるとともに長くなり、立派になる傾向があります。
他にたてがみがある種として、オオヤマネコなどいます。
トラの意外な生態と特徴3.他のネコ科動物と交配が可能
例に挙げれば、ライオンとの交配。ライガーと呼ばれていますが、オオカミとコヨーテやオオカミとイエイヌほどお互いの遺伝子に親和性があるわけではなく、子孫を残す能力は備わっていません。そのようなことや、生息地域・生息環境の違いにより、飼育下でのみ起こりうることで、野生下ではこのような報告例はありません。
トラの意外な生態と特徴4.太古の王獣サーベルタイガーとは無関係
サーベルタイガーは古代に生息していた大型ネコ科動物で、何といってもその大きな特徴は、まるで空想動物のような立派な犬歯が有名ですよね。
そして、タイガーの名前がついていますので、トラの仲間であったりとか、トラの祖先と思われがちなんですが、スミロドンをはじめとする、サーベルタイガーの仲間はトラとは系統が違い、トラやライオン、ヒョウが属するヒョウ属ではなく、マカイドゥス亜科という種に属しており、現生のネコ科動物たちとは違う系統であることが分かっています。
いかがでしょう。トラっていう、超メジャー級にもやはり意外に知られていないことがあったのではないでしょうか。灯台下暗しといいますか、よく知る存在ほど、知らないことって意外とあるものなんですね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は食物連鎖の頂点に君臨するトラの魅力をたっぷりと、ネップリと、ガッツリとご紹介してみました。
まだまだお伝えしたいことはあるんですが、さすがにこの辺りでとどめておかないと、もうお腹いっぱいですよねw
また機会を見つけてここではお伝え出来なかったトラの別の魅力をお伝えしたいと思いますので、お楽しみにお待ち下さい。
いや~・・・それにしても、やっぱり虎って強者の象徴という感じですね。ライオンやオオカミたちのように仲間と協力をすることもなく、己の力のみで自然を生き抜く、孤高の存在。獣王と呼ぶにふさわしい存在と思います。
余談ですが、アニマルプラネットでも好きな動物第1位に見事選ばれたのだとか。やはり、人間と正反対の生き方をしている動物で各地の食物連鎖の頂点に君臨する王者だからこそ、その姿にあこがれを持つのかもしれませんね。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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