こんにちは。えたばりゅです。
今回は、あの超個性的な「T」の形をした頭を持つことで知られるシュモクザメにスポットを当てて、その魅力に迫っていきたいと思います。実はあの超特徴的な頭には捕食者としてかなり有効な武器が2つも隠されていたんですね。
その他にも、シュモクザメにはかなり意外ともいえる特徴があって、その魅力は世界中の人々を恐怖に陥れながらも、同時に人々を魅了し続けているダークスター、ホホジロザメに引けを取らないほど。ではでは、早速そんなシュモクザメの魅力に迫っていきましょう。
驚愕のシュモクザメ 超個性的なその頭には驚くべき役割と武器が隠されていた!
では、まずシュモクザメのご紹介を簡単にさせていただくと、英名では「Hammerhead shark」と呼ばれているメジロザメ目シュモクザメ科(Sphyrnidae)に属する、サメの仲間で、現在シュモクザメの仲間は、9種類いることが確認されています。
世界の温暖な海に生息しているのですが、特に大陸や島々に沿った沿岸域を好んで生活の場としており、イカや魚類を捕食する捕食性のサメとして知られています。また、サメは単独で生活する種が多い中、シュモクザメは群れを作る性質があり、時には300を超えるような大規模な群れになることもあります。ちなみに日本近海でも数種のシュモクザメが暮らしています。
ただ、生息地域が沿岸地域ということもあって、フカヒレ目的の乱獲や、密猟や漁業での混獲の影響をかなり受けやすく、現在ほとんどの種類のシュモクザメは絶滅が心配されており、中にはアカシュモクザメのようにCR(絶滅危惧 ⅠA類)にランクされている種もいます。そのようなこともあり、最近では特に絶滅が危惧されている3種のシュモクザメに取引規制がかけられましたが、密猟が後を絶たず、保護状況は残念ながらあまり芳しくありません。
そして、シュモクザメといえば、その超絶個性的なその頭。この頭は、和名でも英名でもその名前の由来となっていて、和名の「シュモク」は、鐘などを馴らす時に用いる、アルファベットの「T」の形をした、撞木という道具が由来となっています。英名はそのままですが、ちょっと長いので単に「Hammerhead(金槌頭)」と呼ばれることも多いですね。
このように、シュモクザメは名前の由来にまでなる、その超個性的な頭部がその代名詞ですが、実はこの頭部は伊達にこんな形をしているんではなく、ちゃんとした役割があって、その中にはシュモクザメの超有能な捕食者っぷりをガッチリと支えている超絶優れた武器が2つ隠されているんですね。
シュモクザメの超個性的な頭に隠された役割1.対象を精密に立体視出来る視野を実現
この「T」字の両端に目が付いているのも、シュモクザメの特徴なんですが、このような形状をしていることで、シュモクザメは他のサメよりも、正確に奥行きなどを認識できる視野を持っているんですね。立体視出来るというのは、私たち哺乳類ではそんなに珍しい事ではないものの、魚類では珍しく、そんな中でもシュモクザメのその立体視各能力は、両目が前についている、肉食哺乳類や人間にも引けを取らないほどの優れた立体視野ということが分かっています。
ただ、両目がかなり離れた位置についているので、真正面の対象を見ることは苦手で、シュモクザメは正面にかなりの死角範囲があるんですね。なので、それを賄うためにシュモクザメは頻繁に頭を振って、見える範囲を補っていると考えられています。
シュモクザメの超個性的な頭に隠された役割2.獲物を発見するための器官が他のサメよりも拡充
サメたちには、ロレンチーニ器官という、電気を感じる器官が頭部に備わっていて、鋭い嗅覚と共に、この器官を用いて獲物を発見しやすくしているんです。なんで、獲物の発見と電気が関係あるのか、ちょっと不思議に思ってしまいますが、実は私たち人間含め、生物は体を動かすことなどによって生じる、微弱な電流を常に発しているんですね。
サメたちはそんな対象から発せられる超微弱な電流をこのロレンチーニ器官を使って、巧みにキャッチして、獲物を探していてですね、シュモクザメは他のサメよりも頭部の幅が広く、このロレンチーニ器官が非常に発達しているので、より効率的に獲物の居場所を特定することができるんです。
このように、シュモクザメの頭は形状的にはかなりユニークな形をしていますが、捕食者としての能力を支えるだけの、かなり重要な役割を担っているといえます。
また、この他にもシュモクザメには意外な特徴があるんですね。では、次にあまり知られていないシュモクザメの特徴をご紹介していきましょう。
シュモクザメの意外な特徴1.実は結構デカい
巨大ザメといえば、その体長が10mを超える、ジンベエザメやウバザメ、そして捕食性のサメとしては世界最大級のホホジロザメやイタチザメなどが有名ですが、実はシュモクザメもその種類によっては、かなり大きくなるんですね。
シュモクザメは、先ほど申し上げた通り、現在9種いることが分かっているんですが、その体長は種類によって様々で、ウチワシュモクザメや、ナミシュモクザメなど小型種はその体長は約1m~1.5mほどなのですが、中には5mを超えるまで成長するシュモクザメもいて、中でもヒラシュモクザメはシュモクザメの中でも最大種で、時には6mを超えるほどの巨体を誇ります。
6mというと、ホホジロザメでもかなりの大型個体。シュモクザメは実はホホジロザメに匹敵するような巨体を持っている種類もいるんです。
体長3mを超えるようなシュモクザメの大型種は3種いて、
- アカシュモクザメ:体長3~4m
- シロシュモクザメ:体長3~5m
- ヒラシュモクザメ:体長3~6m
が知られていて、この3種、いずれも日本近海に生息しています。
シュモクザメは人を襲うのか
このように巨大な体と鋭い歯というと、私たちが気になるのは人を襲う可能性があるかということですよね。実際シュモクザメが人を襲ったという確証事例はほとんどなく、またホホジロザメやイタチザメ、オオメジロザメのように接触事故によって人が死亡した例は今までありません。
ただ、ダイバーに突進してきたり、潜水者が獲った魚を奪い取ったりするなど、結構性格的には荒いところがあって、また体もでっかく、歯も鋭いので、万が一襲われれば致命的なダメージを負う可能性もあり、潜在的に危険なサメとして、警戒はされています。
シュモクザメの意外な特徴2.エイの毒もどんとこい
シュモクザメはイカや魚類を捕食する捕食性のサメなのですが、その中でもアカエイを好んで食べることで知られて、砂地に潜んでいるアカエイを嗅覚や先ほどご紹介したロレンチーニ器官を使って、巧みに発見して捕食するんです。
ただ、アカエイといえば、やはりその尾に猛毒がタップリ仕込まれたトゲを持っていますよね。このトゲの一撃を受けると、人間も時には死亡することもあるようなかなりの猛毒。そんな猛毒を持っているアカエイですが、実はこの毒はシュモクザメにはほとんど効かないようで、シュモクザメはアカエイの尾を使った必至の防衛をよそに、全く気にせず食べてしまうんです。
毒の影響を受けないっていうのは、本当にすごいですよね。また、シュモクザメはエイを襲う時、そのトレードマークの頭を使ってエイを押さえつけ、逃げられないようにしていることも分かっています。
このように、シュモクザメはその頭の役割意外にも、非常に捕食者として優れた特徴を兼ね備えているんです。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、頭の形が特徴的なシュモクザメに隠された超絶優れた武器等を紹介しつつ、その魅力に迫ってみました。このフォルムから水族館でもよく出会える種類のサメですが、結構面白い特徴があるでしょ。
中でも、ホホジロザメに負けないくらい巨大な体のシュモクザメがいることや、エイの毒が効かないっていうのはオドロキだったのではないでしょうか。その多くが絶滅の危機に瀕しているというのは、非常に心配なところですが、なんとか持ち直してくれるよう、絶賛応援して、私たちもできることをやってかなければですよね。
では、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。