こんにちは。えたばりゅです。
今回は海の最強捕食者シャチが持つ、私たちヒトと同じ特徴をご紹介しようと思います。この特徴は私たちヒトからすれば、特に特別な感じがしないことなんですが、生き物全体としてみると、非常に珍しい特徴なんですね。
ではでは、そのあたりをご紹介しながら、海の最強捕食者シャチに隠されたもう一つの一面をご紹介していきましょう。
おばあちゃんの知恵が脈々と受け継ぐシャチ 閉経後も長く生きる数少ない動物
シャチといえば、このブログでも度々ご紹介しておりますが、海の食物連鎖の頂点に君臨し、時にはあのホホジロザメさえ獲物にしている海の最強生物。
そんなシャチの強さの秘密は力強いアゴや鋭い歯もさることながら、シャチの強さを支えている一番の要因はやはりその高い知能。この高い知能を活かし、獲物によって狩りの手段を巧みに変え、獲物の虚をつくことを真骨頂としております。
また、シャチは群れを作って生活する社会性動物としても知られており、個々でもかなりの能力を持つのですが、群れの強みが更にシャチの能力を向上させているといえます。
そんな海の最強生物、シャチなのですが、群れを作ること以外にも私たちヒトと非常に似通った性質を持っていることが明らかになっているんですね。
シャチは群れを率いる熟練のメスが孫の面倒を率先してみる
そうなんです。シャチは私たち人間と同じく、熟練のメス。いわゆる、おばあちゃんシャチが孫の面倒を率先してみていることが分かってきたんです。まぁ、孫の面倒を見るというのは、シャチだけではなく、他の群れを作る哺乳類である、ライオンもそうですし、ゾウも群れを率いるメスを筆頭に、他の捕食動物から子供を守る性質を持っています。
しかしながら、シャチは私たちヒトと同じで、ただ生物的にはとても珍しい特徴を持っているんですね。
シャチは閉経後も長生きする動物
シャチのメスの寿命は約60~80年ほどとされているのですが、この間生殖行動を行うのは、約40歳ごろまでということが分かってきたんですね。つまり、シャチは閉経後20年。長ければ、40~50年生きていることになります。ちなみにオスの寿命は約40~50年ほど。人間と同じく、シャチの世界でも、女性の方が長寿な傾向があるんです。
え・・・別に珍しくないんでは?
と思われたかもしれませんね。確かに私たち人間からしてみれば、これは極々常識なところであると思うんですが、生き物全体でみれば閉経後長く生きるというのは非常に珍しい特徴といえるんですね。
というのも、動物たちは基本的に自らの子孫を残すことを目的に生を営んでいるので、自分の子孫を残すことが年齢的に難しくなれば、その後あまり長く生きることはないんです。
現在のところ、閉経を迎えることが明確に分かっている動物は実はヒトとシャチ、ゴンドウクジラの一種、この3種だけなんです。
意外でしょ。
では、なぜゆえに私たちヒトやシャチは一見生物学的に矛盾するような特徴を持つようになったんでしょうか。
ヒトやシャチ、ゴンドウクジラが閉経後長寿になった理由
これは、現在有力視されているのが、閉経後、若い個体の世話に専念することで若い個体の生存率を大幅に上げることができることがその理由と考えられています。
年齢を重ねると、それだけたくさんの経験を積み、生きるための術もさらに磨きがかかってきます。そんな経験を活かし、孫のお世話をして面倒を見ることで、孫が無事に成長する手助けを行い、結果、個体の安定存続につなげているとされています。
事実、高齢のメスが死亡すると、シャチの孫の生存率がかなり落ち込むことが研究者の研究結果によって明らかになっているんですね。
なぜ、熟練のメスがお世話することにより、生存率が高まるのか、そのあたりはまだ明らかになっていないようですが、シャチは獲物の狩りの仕方も代々子々孫々に受け継ぐ性質を持っています。そのことを考えると、熟練のメスが、今まで培ってきた経験を存分に活かし、孫に危険が及びそうな事例を事前に察知して、回避している可能性も大いにあるといえそうですね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、海の最強捕食者シャチが持つ、人と同じ、そして生物的にはかなり珍しい特徴をご紹介させていただきました。おばあちゃんという存在は、本当にどこか安らぎをもらえるような存在ですが、シャチたちもそのような感情がひょっとしたらあるのかもしれませんね。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
出典、参考:NATIONALGEOGRAPHIC 日本版 シャチが閉経後に長生きするのは「孫のため」孫378頭の一生を分析、シャチにも「おばあちゃん効果」、研究