こんにちは。えたばりゅです。
今回は、収斂進化(しゅうれんしんか)とはいったいどのような進化形態なのか、その意味をバッチリ分かりやすくご説明し、収斂進化を遂げた動物たちの実例をご紹介したいと思います。
言葉自体はなんか取っ付きにくいですが、その意味は非常にシンプルで、とても面白い進化形態ですので、是非ぜひその進化の凄さに驚嘆していただければと思います。
進化の面白さと合理性の象徴収斂進化!驚きの進化を遂げた動物たち
私たち人間含め、現在地球上に生存する生物たちに関する全生命の起源についてはこれだけ科学が発達した現在にもかかわらず、その明確な起源は明らかになっておりません。
しかしながら、いきなり今いる動物たちが生まれたのではなく、先祖たちが様々な進化を繰り返し、種を生存させるためにその環境にどんどん適応していった結果、今いる私たち人間やクジラ、カブトムシなどよく知られる生物たちが誕生しましたよね。
そして、その中にはびっくりするような進化を遂げた動物たちもおりまして、その進化形態の一つに収斂進化があるんです。
収斂進化とは
収斂進化とは、それぞれ違った分類に属する生物が生息している地域、時代などが全く違うにもかかわらず、生態系において同じような地位に置かれたとき、同じような外見や生態を持つ進化のことを言います。
こういった進化はそれぞれた過ごした環境や時代において、生存していくために同じような環境に適応したり、同じような獲物を摂取するために体を変化させてきて起こると考えられております。
収斂進化を遂げた動物たち
収斂進化を遂げた動物たちは世界に様々な種が存在するんですが、その中でも代表的な例をいくつかご紹介していきましょう。
収斂進化を遂げた動物たち1.アリクイとフクロアリクイ
こちらがアリクイの仲間であるヒメアリクイの仲間
アリクイは動物園やサファリパークなどでも出会うこともでき、テレビなどでもよく紹介されている動物ですので、よくご存じのことと思いますが、南米を中心に生息している動物たちです。
そしてこちらがフクロアリクイ。姿はアリクイとリスを融合させたようなフォルムですよね。
フクロアリクイはオーストラリアの固有種で有袋類で大きさは全長で約50cmほどとアリクイの仲間でも小型の姫アリクイの仲間とほぼ同じ大きさになります。
アリクイもフクロアリクイも同じようにアリを主食としていて、その食性からかなり長く細い舌を持っており、長さは体の半分以上になることもあるんですね。
ただ、分類に関してはどちらも同じ哺乳類であるものの
- アリクイは有毛目アリクイ亜科
- フクロアリクイはフクロネコ目フクロアリクイ属
にそれぞれ分類されていて、フォルムはほとんど同じながらも分類上は全く違った動物になります。
収斂進化を遂げた動物たち2.モモンガとフクロモモンガ
では有袋類の例をもう一つご紹介しましょう。モモンガとフクロモモンガです。
こちらがモモンガ。日本にもホンドモモンガ(二ホンモモンガ)というモモンガの仲間が生息しておりますので、こちらもよくご存じかと思いますが、その外見的特徴は何と言っても前脚と後ろ脚の間にある立派な膜。
モモンガはこの膜を利用して木から木の間を滑空して移動して生活しております。
こちらがフクロモモンガ。どちらもよくっていうか、ほぼほぼ同じでですよね。フクロモモンガはオーストラリアやパプアニューギニアに生息しており、モモンガと同じように前脚と後ろ脚の間に立派な飛膜を持っていて、これを利用して木から木の間を滑空して生活しております。
こちらもまるで双子の様なフォルムですが、
- モモンガはリス科モモンガ属に属するげっ歯類
- フクロモモンガはフクロモモンガ科フクロモモンガ属に属する有袋類
で、分類的には全く別の種になります。また、食性の違いもありモモンガは木の実や樹皮などを植物を主食としてますが、フクロモモンガはこれらの他に昆虫なども摂取している雑食動物になります。
ちなみに同じような飛膜を持った動物にムササビもいますが、ムササビはモモンガの近縁種ですね。
また現生動物たちの他にも収斂進化を遂げた有袋類がおり、それはティラコスミルスという有袋類。比較的最近絶滅してしまったフクロオオカミと同じく、他の動物を捕食する捕食動物として古代のアメリカ大陸に君臨していました。
その顔には巨大な犬歯を携えており、まさにサーベルタイガーの仲間たちと非常によく似たフォルムをしていたんですね。
あのサーベルタイガーにも収斂進化の例が当てはまるとはオドロキですよね。
では、哺乳類と昆虫という隔たりがありながら、同じような形態に進化した動物の例をご紹介しましょう。
収斂進化を遂げた動物たち3.モグラとケラ
どちらも地中を主な生活の場としているので、あまり目にすること自体はすくなのですが、モグラもケラは日本でも広く分布しているので、よくご存じのことと思います。
では、まずケラのご紹介から。
ケラはその姿は見ないものの、その鳴き声は夏場を中心によく耳にすることができますよね。日本の他、世界の暖かい地域を中心に広く分布していて、分類としてはコオロギやバッタの仲間に属する昆虫になります。
ちょっと耳に響くので音量にはご注意ください。
いかがでしょう。けっこう身近でも聞いたことがあるのではないでしょうか。
私も幼少期によくばあちゃんから、ミミズが鳴く声って聴かされてたんですが、実はこの「ジ~~~‥‥」っていう鳴き声はケラが鳴いている声なんです。
では、モグラのご紹介に移ってきましょう。
まぁ、改めてご紹介するまでもなく地中生活を行ってほとんど人目に触れる機会がないにもかかわらず、このフォルムは超有名ですよね。
日本の他、中国やアメリカ、ヨーロッパなどに広く分布しております。ほとんどその生活の場を地中に置いているため、目は見受けられるもののほとんど見えておらず、明暗が分かる程度と考えられております。
食性は雑食で地中にいるミミズや昆虫、地に落ちた植物の種などを食べており、ちなみに収斂進化を遂げて同じようなフォルムを獲得したケラもモグラの食料の一部です。
モグラとケラの類似点
モグラとケラ、哺乳類と昆虫類ということもありその姿は上記でご紹介した動物たちと似ているということはないんですが、体のつくりなどは非常によく似ており、どちらも地中を掘り進んでいくに適した体の形状をしております。
特に両脚に関しては、モグラもケラもブルドーザーの掘削部のような形状をしており、この脚を使って巧みに地面を掘り進んでいきます。
またどちらも地中生活という特性上、新陳代謝が非常に膨大で、常に多くのエネルギー摂取を必要とします。
ですので、飢えにはどちらの種も非常に弱く、水分やエネルギーが接種できない期間が一定時間続いてしまうと、すぐに餓死してしまいます。
では次に異なる時代に栄えた(てる)動物にもかかわらず、収斂進化を遂げた動物たちの例をご紹介してきましょう。
収斂進化を遂げた動物たち4.魚竜の仲間とイルカ
僭越ながら、私も幼少の頃より恐竜が好きでよく恐竜図鑑を眺めていたのですが、その中で登場するイクチオサウルスという魚類の仲間が、めちゃくちゃイルカに似ている印象を受けたんですね。
イクチオサウルスはじめ、魚竜たちは恐竜たちとは異なった種類に分類される動物なのですが、恐竜と同じ爬虫類に属し、恐竜と同じ時代に栄えました。
こちらが魚竜の仲間であるイクチオサウルスの復元想像図。画像はウィキペディアさんにお借りしました。
こちらがイルカのフォルム。
いかがです?口吻の当たりといい、このフォルム本当にそっくりですよね。イクチオサウルスも今のイルカと同じく、魚や頭足類(イカやタコなど)を捕食して生活していたと考えられております。
イルカとイクチオサウルスの違い
非常に似通ったフォルムを持ち、異なる時代を生きて収斂進化を遂げた動物の代表的な例として知られるイルカとイクチオサウルスですが、哺乳類と爬虫類という違いの他、尾びれの形状も違っており、イクチオサウルスは今の魚類に似た尾びれを有しており、その尾びれを左右に振ることによって泳いでいたと考えられております。
方やイルカは、他のクジラ類と同じく尾びれを水平方向に上下させることにより推進力を得ており、両社はよく似た形状をしているものの、尾びれの形状に決定的な違いがあります。
魚竜はいわば、イルカとサメが融合したようなフォルムをしていたんですね。
また、魚竜が出現し、栄えた時代は今から2億5千万年前から9千万年前。イルカの祖先となる動物が誕生したのが、今から2000万年前と考えられているので、生存時代に大きな隔たりがあり、両者が一緒に海を泳いでいたということはないんです。
このような大きな隔たりがあるのにもかかわらず、似たようなフォルムになるのですから収斂進化っていうのは本当に面白いですよね。
この他にも、収斂進化の例として
- 翼竜、現生の鳥類、飛翔昆虫、コウモリ
- タヌキとアライグマ
- サイとトリケラトプスなど角竜に属する恐竜
- アルマジロとセンザンコウ、アンキロサウルスのような曲竜類(鎧竜)に属する恐竜
- カマキリとミズカマキリ、タイコウチ、タガメ
- エメラルドツリーボアとミドリニシキヘビ
などがあります。
最後に
いかがだったでしょう。今回は生物たちの驚きの進化、収斂進化というものについてご紹介させていただきました。それにしても、自らが置かれた環境への適応を突き詰めていくと違う種類の生物でも本当に似たようなフォルムに進化をたどるというのはオドロキですよね。
また、今回は動物たちにスポットを当てましたが、収斂進化は植物や微生物にも例があり、動物にとどまったことではないというのが分かっております。
収斂進化というのは、進化がたどる合理性を示した、いい例なのかもしれません。もしかしたら将来、別の種類の生物が私たち人間のように驚くほど脳、あるいはそれに酷似した役割の期間を進化させる種が現れるかも・・・。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。