こんにちは。
えたばりゅです。今回はとある蟻「アリ」の仲間をご紹介しようと思います。このアリがまたとんでもないアリでしてですね。
アリといえば、私たち日本人にも非常になじみ深い昆虫で、アリンコなどの愛称で親しまれておりますよね。ですが今回ご紹介するアリは、ある意味昨今日本をにぎわせているあのヒアリもビックリっていう感じの恐怖のアリなんです。
ではでは早速ご紹介に入っていきたいと思います。
敵アリの首を巣の周りに飾る恐怖の「首狩りアリ」がアメリカに生息していた!
タイトルを見て、さぞ仰天されたことと思いますが、そうなんです。今回ご紹介するアリは私たち人間には特に問題がないアリなんですが、一部のアリにとっては恐怖以外の何物でもないアリでしてですね。
なんと獲物となるアリの頭を切り取って、自分の巣の周りに飾るというとんでもない生態を持っているアリ。
その名は、「Formica archboldi」というアメリカのフロリダ州を中心に生息している体長約数ミリのヤマアリの仲間。ヤマアリの仲間は日本にも生息しており、クロヤマアリやクロオオアリがなじみ深いですよね。
地面をよく歩いている、あの黒いアリです。
もちろん、クロヤマアリやクロオオアリにはこのような習性はなく、これは「Formica archboldi」特有の性質として現在注目されております。
首狩りは古代中国や日本でも戦国時代に敵将の首を討ちとって「首級」として、手柄の証拠とする風習がありましたし、最近までは国外の密林地帯で首狩り族という部族が暮らしておりました。(現在でも奥地でその部族の末裔の方々が暮らされておりますが、ほぼその風習は消滅していると考えられております)
首狩りアリの獲物となるアリ
「Formica archboldi」に狙われるアリはアギトアリという、ハリアリの仲間。このアギトアリ、その仲間は日本でも鹿児島県の屋久島や種子島を中心に生息しているのですが、さぞかし弱いアリかと思いきや、このアギトアリは頭部には自分の頭よりも長いまるでクワガタのような大あごを持ち、その属名の名に恥じず、お尻には何と毒針まで持っているツワモノ。
こちらは、アギトアリの仲間の画像。Wikipediaさんにお借りしました。
そしてその体は約1.3cmと首狩りアリの倍ほどもあります。
このフォルムからご想像される通り、アリの仲間の中ではその攻撃力も相当なもの。
そんなアギトアリを仕留めてしまう「Formica archboldi」には、さぞ強烈な大アゴがあるのだろうと思いきや、アゴは日本に生息するクロヤマアリなどと大差なく、毒針も持っていません。
では、この首狩りアリは自分よりも大きく、強烈な武器を携えたアギトアリをどうやって仕留めて首を切り取っているのでしょうか。
自分よりも巨大な獲物を狩る首狩りアリの武器
これについては、現段階ではまだ確証といえるものがないのですが、首狩りアリは2つの武器を用いてアギトアリを獲物としていることが有力視されております。
その武器とは蟻酸(ギ酸)という毒液、そして匂い。
蟻酸はヤマアリ亜科などの一部のアリが、持っている武器でこの「Formica archboldi」も蟻酸を持っております。
ただ、相手は自分よりも攻撃力も体の大きさも段違いなアギトアリ。まともにいっては、蟻酸を吹きかける前にアギトアリの巨大なアゴで一撃されてしまいます。
では、どのようにしてアギトアリに蟻酸を吹き付ける準備をするかというと、自らの匂いをアギトアリそっくりに変えて、アギトアリの警戒心を無くして油断させるという戦術を使っているようなんです。
相手が油断しているところに、武器の蟻酸を吹き付け相手の動きを麻痺させ、そして首尾よく首級を上げてしまうようなんですね。
とはいえ、このようにアギトアリを獲物にして、首を巣の周りに飾るのは何のためなのか、詳しいことはまだまだ謎に包まれているアリで、今後の新しい発見を期待したいというところでしょうか。
首狩りアリ以外にもいる。匂いを用いて相手を奴隷化するサムライアリ
実はこの匂いを用いて、とんでもないことをしでかすのは首狩りアリだけではなくて、サムライアリと呼ばれるヤマアリの仲間は、サムライアリの女王アリが同じヤマアリの仲間である、クロヤマアリの巣に入り、見張りのクロヤマアリの目をかいくぐって、クロヤマアリの女王の部屋に忍び込み、クロヤマアリの女王をかみ殺してしまうんですね。
その際、クロヤマアリの女王から出た体液を浴びて自らの匂いとし、巣にいるクロヤマアリの働きアリに自らの正体を隠して、せっせと卵を産み始めるんです。
生まれた卵はこれまでいた本物の女王のものと思い込んでいるクロヤマアリの働きアリによって丹念にお世話されます。
そして、成長したサムライアリの働きアリが何をするかというと・・・
他のクロヤマアリの巣に出向き、奴隷として働かせるクロヤマアリやその蛹を奪ってくるんです。
いや~・・・なんとも・・・自然という世界は本当に厳しい世界ですよね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、とんでもない生態を持ったアリ、首狩りアリ(Formica archboldi)というアリの仲間をご紹介させていただきました。
恐怖のアリといえば、ヒアリの他、
アマゾンに生息し、周りにいる獲物を手当たり次第に狩りながら大群で移動するグンタイアリというアリもいたりと、本当に様々な性質を持ったアリが生息しております。
それにしても、首級を飾る首狩りとは・・・
なんとも、現代人からしてみれば目を覆いたくなるようなその習性も、やはり何かしらの意図の元行われているのでしょうね。
その意図が明らかになる日は来るのでしょうか。ではでは、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。