こんにちは。えたばりゅです。
今回は、鳥類ではもちろんのこと、全生物に範囲を広げても、ほとんどの種が持っていない素晴らしい能力を持っているのに、色々不遇過ぎる猛禽類、エジプトハゲワシをご紹介したいと思います。
エジプトハゲワシが持つその素晴らしい能力をご紹介するのはもちろんなのですが、それに反して色々と不遇過ぎるその境遇も、とくとご紹介しようと思います。
こちらの記事を読み終えていただくころには、是非ともエジプトハゲワシに手を差し伸べたくなること請け合いですので、是非ゼヒ今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
エジプトハゲワシ 超画期的な能力を持っているのに、色々不遇過ぎる鳥
まず、エジプトハゲワシのことを軽くご紹介させていただくと、英名を「Egyptian vulture」、学名を「Neophron percnopterus」というタカ目タカ科エジプトハゲワシ属に属する猛禽類で、全長約0.7m、翼開長は約1.6mと、翼開長が2mを超える種類がたくさんいるハゲワシの中では小型な部類に入ります。
食性は他のハゲワシの仲間と同じく、主に動物の死肉を食べる、いわゆるスカベンジャーに当たる種で、自然界の衛生管理担当といったところになります。
ただ、エジプトハゲワシは死肉の他に、栄養満点な卵もよく食べるんですね。しかも、その食べるタマゴは世界最大の大きさに世界最高の強度を誇るダチョウの卵。
人間が乗っても割れないなんて言われている強度を誇るダチョウの卵を、全長70cm、体重たった2kg前後しかないエジプトハゲワシがどうやって割るのか。
気になるところですよね。
実はエジプトハゲワシは全生物がほとんど持っていない、ある能力を使ってダチョウの卵を割るんです。
エジプトハゲワシの素晴らしい能力 道具を使う能力
そうなんです。エジプトハゲワシには、ほとんどの種がまだ獲得していない能力、道具を使う能力が備わっているんです。
道具を使う能力を獲得しているのは、私たち人間はじめ、ごくごく一部の動物のみ。そんな極々一部の動物しか持ち得ていない能力をエジプトハゲワシは持っているんです。
エジプトハゲワシも他の猛禽類と同じく、鋭いくちばしや鉤爪が備わった脚は持っているのですが、ダチョウの卵が相手となると、残念ながらそれも歯が立ちません。そもそも体重が軽いので、クチバシを振り下ろしてもダチョウの卵を割る力は持っていないんです。
そこでエジプトハゲワシはどうするかというと、石を使うんですね。クチバシで器用に結構大きな石を加えて、ダチョウの卵めがけてぶつけます。
それでもダメなら上空に舞い上がって、より高い場所から石を落とすんです。また、その石で割れなかったら、他の石に持ち替えたりして起用にダチョウの卵を割って栄養がたっぷり詰まった中身を食べるというわけなんです。
ちょうどその能力を使って器用に卵を割るエジプトハゲワシの様子が収められている動画がありましたのでご紹介させていただきます。
いかがです?私たち人間は道具を普通に使う能力を獲得しているので、あまりピンときませんが、全生物でごくわずかの能力と考えると、エジプトハゲワシって凄い能力を持っているといえるのではないでしょうか。
そして、古代エジプトでは神の使いとして神聖視されていた鳥で、古代エジプトの神殿で手厚く飼育されていたりもしたんです。
ただ・・・ね。
冒頭で申し上げた通り、こんなすごい能力を持っているにもかかわらず、エジプトハゲワシは色々不遇過ぎる境遇に置かれている鳥なんですね。
ではどこがそんなに不遇なのか、そのあたりをご紹介していきましょう。
エジプトハゲワシの不遇1.剥げてないのにハゲって名前
まず第一はやはりこれではないでしょうか。剥げていないのに名前にハゲと高らかに掲げられている点。
え?剥げてるよ。
って思われました?よ~く見てみて下さい。
・・・いかがです?
お顔には羽毛はありませんが、頭部はしっかりフサフサでしょ。お顔に毛がなくてハゲなら、人類はみんな赤ちゃんの時からハゲということになってしまいますもんね。
ただ、鳥類に関してはこういったハゲワシの仲間、コンドルの仲間以外はほとんどの種が顔にもしっかり羽毛が生えております。このようにエジプトハゲワシは頭部はフサフサにも関わらず、他の鳥類たちとは少し羽毛の生え際が違ってしまっているばかりに、このような不遇な名前が付けられてしまっているんですね。
ちなみにコンドルやハゲワシの仲間の顔周りに羽毛がない理由はちゃんとした理由がありましてですね。そのあたりはこちらでバッチリ解説させていただいておりますので、良ければぜひこちらの記事も合わせてご覧いただければと思います。
エジプトハゲワシの不遇2.結構広い範囲に住んでるのになぜかエジプト限定
エジプトハゲワシ。こう聞くと、エジプトをメインにその周辺にのみ生息しているって感じがしますよね。
なんならエジプトの固有種?っていう雰囲気すら醸し出したりして。でも、このエジプトハゲワシ。
この名前とは裏腹に、結構広い地域を股に掛けておられてましてですね。
エジプトはもちろんなのですが、アフリカ大陸からヨーロッパ、中東、中国、ロシアに至るまでその生息地は広い範囲に及びます。
ではなんで、こんな名前になったのか。これについては、はっきりしたことが分かっていないので、憶測で申し訳ないのですが、おそらく英名で「Egyptian vulture」と呼ばれているものが、そのまま和名になったのかなと思います。
「vulture」はハゲワシを意味しますので、エジプトのハゲワシと英語圏で呼ばれていたものが日本にも伝わり、エジプトハゲワシとなったと。
エジプトハゲワシの不遇3.せっかく卵を割っても食べるのは一番最後
エジプトハゲワシは動物の死肉も食べますが、先ほどご紹介した通り、道具を駆使しして人間でも割るのに苦労するダチョウの卵を器用に割って食べるということはお伝えさせていただきました。
しかしながら、体が小さいばかりに、せっかく割った中身を食べている最中、あるいは今から「いただきます。」をして、まさに食べようかという時に自分より大きな動物たちに横取りされてしまうことが非常に多いんですね。
ですので、せっかく苦労して割ったのに食べる順番は一番最後になってしまう。あるいは、全部食べられてしまうなんてこともよくあるようで。
先ほどご紹介した動画でも最後のほうに、でっかいハゲワシに横取りされてたでしょ。
まぁ、体の大きな動物、あるいは群れを作って生活する動物が、他の動物の獲物を横取りするっていうのは自然界ではごくごく普通にあること(実際にハゲワシが数にモノを言わせてライオンの獲物を横取りすることも多々あります)で、エジプトハゲワシだけが横取りの嵐に遭っているっていうわけでは決してないのですが、なんとも骨折り損感が否めませんよね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は希少な能力を持ち合わせているにもかかわらず、人間に色々不遇な待遇を受けているエジプトハゲワシをご紹介させていただきました。
いかがです。結構な不遇具合でしたでしょ。そして、不遇なだけならばいいのですが、このエジプトハゲワシ、残念ながら現在は絶滅がかなり心配されている種で、IUCN(国際自然保護連合)が定めるレッドリストではER(絶滅危惧 ⅠB類)にランクされているんですね。
同じ道具を使う仲といってはアレですが、手を差し伸べて、手を取り合っていきたいところですよね。
ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。