こんにちは。えたばりゅです。
今回は北極圏に生息する巨大な動物、ジャコウウシをご紹介したいと思います。牛のような巨大な体を持ち、厳寒の地で生き抜くため、超長い体毛に覆われたジャコウウシ。実は、この名前にもちょっと面白い2つの要素が隠されていたりするんです。
ではでは、そのあたりを踏まえつつ、ジャコウウシの魅力に迫っていきましょう。
ジャコウウシは牛ではないし、麝香も持っていない!その名前に隠された面白い2つの事
では、まずジャコウウシのご紹介を軽くさせていただくと、英語名を「Muskox」、学名を「Ovibos moschatus」というウシ科ジャコウウシ属に属する哺乳類の仲間で、カナダの東部地域やグリーンランドといった北極圏を生活の場としています。
厳寒の地で生活していることもあって、その寒さに対応するため、2種類の体毛に覆われており、内側には密集した比較的柔らかい体毛、そして外側には固く長い体毛があり、この長く固い体毛がジャコウウシのトレードマークにもなっていますよね。
また、オス、メスともに角が生えているんですが、特にオスの頭部にはかなり頑丈で幅広い角が備わっていて、繁殖期にはオス同士がこの角を突き合わせて激しく頭突きを繰り返し、繁殖権をかけて激しく争うんです。
頭突きをするときは、お互い距離を取ってから、猛突進して激しくぶつかり合うんですが、ジャコウウシは走ると50km/hほどのスピードを出せることに加え、500kgを超える体重も相まって、その衝撃はすさまじいものになり、私たち人間がもし激突されると、当たりどころが悪ければ死亡することもあるほど強力なものなんですね。
そんな衝撃を生み出すチカラが備わっているならば、ジャコウウシ自体も無事では済まない気がしますが、ジャコウウシのオスの角は厚さ10cmにもなり、また頭蓋骨の厚さは6cmを超える分厚い層があるので、その衝撃をかなり和らげることができるんですね。
また、脊椎の構造などもその衝撃を和らげる手助けをしており、人間ならば致命傷になるような衝撃力でも、大事には至らないようになっているんです。
また、オスほど巨大なものではありませんが、メスにもこの角は備わっていて、この角を活かして、ホッキョクグマやオオカミなどの外敵に襲われた際には幼獣を後ろに隠し、成獣が角を前に出す形で対抗したりするんですね。
そんな、ジャコウウシなんですが、その名前がちょっとなんて言うか、紛らわしいというか、面白い要素があったりするんです。
ジャコウウシはヤギの仲間
ジャコウウシは「ウシ」という名前を冠しているんですが、どちらかというと、ヤギに近い仲間。分類もウシ科ヤギ亜科ジャコウウシ属という分類に属していて、私たちがよく知るヤギに近い分類なんです。まぁ、ヤギも牛の仲間に属する動物なので、間違いではないんですが、この辺りがちょっと紛らわしい名前になってしまっているんです。
体格もヤギの仲間にしてはかなり頑強で力強いですし、角の生え方も牛のような感じなんで、牛っていう名前になってしまうのも無理はないというところでしょうか。
そんな、ヤギ科に属するジャコウウシなんですが、その歴史は古く、マンモスが生息していた氷河期にはすでにジャコウウシも存在していたことが分かっているんですね。そして、日本に生息しているニホンカモシカとも比較的近縁で、ニホンカモシカはジャコウウシから派生したと考えられているんです。
ジャコウウシは麝香を出さない
ジャコウウシは漢字で書くと「麝香牛」という名前で、いかにも麝香を出す麝香腺を持っていそうな感じですが、実はジャコウウシはジャコウジカのように麝香腺は持っていないんです。
ではなんで、麝香腺がないにもかかわらずジャコウウシという名前が付いたかというところなんですが、実はジャコウウシのオスは繁殖期に興奮状態になると、眼下腺というところから強い匂いのする液体を分泌するんです。この分泌液は繁殖期にメスを惹きつけるフェロモンの役割を果たしているんですが、この分泌液が比較的麝香に似た匂いをしていることから、ジャコウウシという名前が付いたと考えられているんです。
ちなみに、この麝香。以前はジャコウジカというシカのオスを殺して採取していて、年間約5万頭ものオスのジャコウジカが殺されていたという、凄惨な歴史があるんですが、現在はワシントン条約でジャコウジカの国際取引は原則禁止となっていて、現在は麝香を主成分とした製品はほとんどなくなっています。
最後に
いかがだったでしょう。今回はジャコウウシの魅力に迫りつつ、ジャコウウシの名前から分かるちょっと面白い2つの雑学をご紹介しました。2つの要素も興味深いですが、ジャコウウシとニホンカモシカの関係性も意外でしたよね。
以前はユーラシア大陸にも生息していたんですが、乱獲が要因で残念ながら絶滅してしまったジャコウウシ。現在の生息地であるカナダでは捕獲量が制限されたこともあり、現在では安定した生息数になっているようで一安心といったところでしょうか。ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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