こんにちは。えたばりゅです。
今回はオサガメというウミガメの仲間をご紹介したいと思います。ウミガメといえば、水族館などでも人気のあるアカウミガメやアオウミガメなどが有名ですが、オサガメは少しマイナーな立ち位置ではあるものの、現生のカメの中では最大種という魅力あふれる肩書を持ったカメなんですね。
そのあたりも踏まえつつ、オサガメの魅力と生態に迫ってみたいと思います。
最大3m!現生最大オサガメの驚異の生態と太古の巨大ガメ、アーケロンとの関係に迫る!
オサガメは英語名を「Leatherback turtle」、学名を「Dermochelys coriacea」という、カメ目潜頸亜目ウミガメ上科オサガメ科オサガメ属に属するウミガメの仲間で、北極圏、亜南極圏など極端に寒い海域を除けば、ほぼ全世界の海域に広く生息しております。日本でも、沖縄県や高知県、千葉や神奈川県など、太平洋に面した海域で稀に見ることができる種のウミガメで、鹿児島県の奄美大島では産卵例もあるんですね。
食性は肉食傾向の雑食性で、主にクラゲを好んで食べるほか、魚類、タコやイカといった頭足類、ウニや海藻類も食べることがあり、オサガメの口の先端はクラゲやイカをとらえやすいよう先端がかぎ状に鋭くなっていて、口の中には捕えた獲物を逃がさないために針状の突起が無数に生えております。
深海1000m以上も軽々!オサガメは潜水の達人
ウミガメの仲間は潜水が得意なことでも知られていますが、ことオサガメに関してはウミガメの中でもそれが顕著で、かなりの潜水名人。息継ぎなしで30分以上海中で過ごすことができ、水深1000mは朝飯前、時には1200mもの深海まで達することがあります。
そんな生活に順応すべく、深海の激しい水圧に対応できるよう、オサガメの甲羅はかなり柔らかくできていて、プニプニとまではいきませんが、触ると結構弾力があったりするんですね。
オサガメ 現生最大種の威風
ウミガメの仲間も比較的大きいものの、巨大なカメといえば、やはりガラパゴスゾウガメなどのゾウガメっていうイメージがありますよね。ところが、このオサガメはそんなゾウガメたちよりも巨大で、甲羅の長さは約1.5mから1.8m、体長になると約2m以上、最大で約3mに達することもあるとされており、体重は約900kgと、もう少しで1tにも達するような巨大さ。
ゾウガメの仲間は大きいものでも約300kgなので、それを考えると、オサガメの巨大さがよくおわかりいただけるのではないでしょうか。
そして、オサガメはウミガメの仲間なので、足がひれ状になっているのですが、そのヒレもかなり長く、前ヒレの左右の先の幅はなんと2.5mを超えることもあるんです。
そんな巨大で長いヒレを巧みに操り、オサガメは約24kmほどの速さで泳ぐことができます。これはウミガメの中では最速の速さで、その重い体重も、トップスピードに乗った時の推進力を支えているといえそうですね。
重量は加速の面ではマイナス要素ですが、一度スピードに乗ってしまうと、その重量が推進力に大きくプラスに作用したりしますもんね。
太古に生息していた史上最大のウミガメ、アーケロンはオサガメの遠い親戚
巨大ウミガメといえば、やはり連想されるのが太古に生息していたアーケロンという古代のウミガメ。白亜紀後期という、恐竜時代を締めくくる時代を生きた現在既知の中では史上最大とされているウミガメで、なんと体長は4m、体重は最大のオサガメの2倍以上にもなる2tに達したと考えられています。
オサガメはアーケロンの直接の子孫ではないんですが、オサガメのルーツは現生のウミガメたちの中では一番古く、オサガメが属するオサガメ属はアーケロンが属していた絶滅種系統のプロトステガ科のウミガメと一番近縁であるとされていて、遠い親戚の様な関係とされています。
これだけ巨大なウミガメならば天敵などいなさそうですが、この時期の海には、かの有名なモササウルスやクレトキシリナなど、超屈強な海生爬虫類や巨大サメもひしめいており、如何なアーケロンといえど、襲われれば無事では済まなかったようで、化石にはヒレが欠損しているものも多く見つかっているようなんです。
オサガメに天敵は存在するのか
アーケロンが生息していた古代の海では、モササウルスはじめ今では想像もつかないような巨大で獰猛な海洋性爬虫類が生息していましたが、現在の海ではそういった動物はおらず、オサガメも成体となればかなり巨大になるので、成長しきってしまえば、あまり襲われることは無くなるものの、決して安心はできないんです。
というのも、現在の海には、モササウルスほど巨大ではないにせよ、ある意味モササウルよりも恐ろしいと言える、チカラに加え、知力もかなり発達したシャチがおりまして、現生の海ではこのシャチが海を支配しているといえます。
あまり積極的に襲われることはないので、天敵と呼ぶにはちょっと微妙な立ち位置ではございますが、稀にシャチに襲われることもあり、また、イタチザメは比較的ウミガメを襲うサメでもありますので、大型のイタチザメには襲われてしまう可能性もあるといえます。
そして、捕食とはまた違った意味では、オサガメのホームではない、陸上に天敵といえる種がいてですね。ある意味、そちらの方がオサガメを脅かしてしまっていると言えるんです。
オサガメやウミガメを追いやるプラスチック投棄
オサガメなど、ウミガメの仲間たちがクラゲを主食としていることは度々このブログでもお伝えさせていただいておりますが、そんな食性とセットになっているといってもいい問題がレジ袋などプラスチックごみの投棄問題。最近は世界レベルで問題となっており、日本でも最近そういった環境問題の観点から、レジ袋が有料化されましたよね。
なぜ、ウミガメの食性とこのプラスチックごみ問題が関係があるかというと、ウミガメの主食であるクラゲとプラスチックごみが似ているということ。レジ袋などが海中を漂っていると、ウミガメが餌のクラゲと間違って飲み込んでしまうんですね。
そんなプラスチックごみをのどに詰まらせて窒息死するウミガメもかなり増えてきており、漁網の混獲や生息地の汚染なども相まって、ウミガメたちはじめ、水生生物たちを追いやっているんです。
オサガメも他のウミガメと同じく、現在絶滅が心配されており、IUCN(国際自然保護連合)ではオサガメはVU(絶滅危惧 Ⅱ類)にランクして、その保全の重要性を訴えております。また、生息地域によっては、かなり絶滅の危険性が高いCR(絶滅危惧 ⅠA類)にランクされてしまっているいる海域もあるんですね。
オサガメ全体の保全ランク
オサガメのインド洋南西部、大西洋南西部、太平洋東部、太平洋西部個体群の保全ランク。
また、オサガメはじめ、ウミガメが卵から孵った際、砂浜の岸辺にある街灯の光やネオンなどに惹きつけられてしまい、海とは真逆の方向に進み、海にたどり着けず、死んでしまうケースも少なくないんです。
私たちも一層その認識を強め、出来る限りのことをして行かねばですよね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は現生で最大のカメ、オサガメというウミガメの仲間をご紹介させていただきました。オサガメはウミガメの中でもその性質上、飼育がかなり困難で、水族館では見ることができなく、且つ日本近海ではあまり見られない種なので、私たちも普段接する機会はあまりないウミガメといえますが、その巨大さには目を見張るものがあったのではないでしょうか。
中でも史上最大のアーケロンとちょっと近い関係に位置するというのはオドロキでしたよね。やはり巨大種の血は脈々と受け継がれているというところでしょうか。
そんなオサガメがこれから先もしっかり安定して生きていくことができるよう、私たちも出来る限りのことをして行かねばですよね。ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。