こんにちは。えたばりゅです。
今回は、日本に生息する最強クラスの空の昆虫、オニヤンマをご紹介したいと思います。オニヤンマは日本に生息するトンボの中では、最大の大きさを誇っていることで有名ですが、その飛翔能力も非常に優れておりまして、そのスピードはもちろんのこと、可能飛行状態も超バリエーションに富んでるんですね。
今回はそのあたりも触れつつ、オニヤンマの魅力にバシッと迫っていきたいと思います。
最強昆虫の一角オニヤンマの飛翔能力は全生物中でもトップクラス!ホバリング、急旋回、超スピードどんとこい!
オニヤンマは、英語名を「Golden-ringed dragonfly」、学名を「Anotogaster sieboldii」という、トンボ目オニヤンマ科に属するトンボの仲間で、北海道から沖縄県の八重山諸島にかけて幅広く分布しており、特に山間部や澄んだ小川など、清流のほとりを好んで生活の場としています。
言わずと知れた日本に生息するトンボの中では最大の大きさを誇る種で、その体長は約12cmにも及ぶことがあるんですね。そして、口にはとんでもなく力強い大アゴが備わっており、飛翔しながらその必殺の武器大アゴを駆使して、蛾や蝶、ハチなどを捕食しています。
巨体で大きな顎も備わっているということもあり、日本に生息する捕食性の昆虫たちの中でも最強クラスに位置し、同じく国内屈指の強さを持ち、日本最強と謳われているオオスズメバチや、オオカマキリとは非常に均衡な力関係にありまして、これらを捕食したり、逆に捕食されたりしながら、最強の覇を競っております。
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ちなみに、経験談なのですがこの大アゴで咬まれると人間でもかなりイタイです。結構な確率で出血するんで、オニヤンマにむやみに指などを近づけるのはやめておきましょうね。
こんなふうに手に留まらせておくとオニヤンマ氏の機嫌によってはバクッといかれることも・・・
オニヤンマはヤゴの頃から周りが震え上がる暴れん坊
そんなオニヤンマ、幼虫の頃は他のトンボの幼虫と同じくヤゴと呼ばれているんですが、そのヤゴの頃から既に非常に貪欲な捕食者なんですね。生まれて初めの頃はボウフラなどの小さな水に住む昆虫などを捕食しているのですが、約10回の脱皮を経て終齢幼虫になる頃には約5cmほどに成長し、その頃になると小魚やカエルなどを捕食するようになるんですね。こちらはオニヤンマのヤゴが魚を捕えている動画。
動画には生き物が捕食されるシーンが含まれています。苦手な方はご視聴に十分ご注意くださいませ。
この動画では、ガッチリとヤゴの顎が小魚を捕えていますが、実はヤゴは秘密兵器を持っていて、この下にも顎があって、その顎が伸びる構造になっているんですね。そして、獲物が射程距離に入ってくると、その伸びる顎を瞬間的に伸ばして獲物を捕らえるというわけです。
いわば、カメレオンの舌が鋭いギザギザの大アゴになった感じですね。
そして、ヤゴの時期を約5年過ごした終齢幼虫は、成虫への羽化の準備のため、しきりに水から出て呼吸の練習などを行い、完全変態を遂げて成虫へと羽化します。ちなみにヤゴという名前の由来は諸説あるようですが、ヤンマの子→ヤゴ。というのが有力な説のようですね。
ただ、ヤンマではなく、アキアカネやシオカラトンボ、イトトンボの幼虫たちも、すべてヤゴと呼ぶところもあって、このあたりは面白いところですよね。
そして驚異の飛翔力と機動力を持つ最強昆虫の一角オニヤンマへと成長
そしてヤゴから変態を果たしたオニヤンマは日本のトンボで最大の巨体に成長します。そして、巨大な体に似合わず、かなり飛翔能力が長けているのもオニヤンマの特徴でして、普段は約8km/hほどのスピードで飛行していますが、そのトップスピードはなんと約70km/h以上にもなるとされているんですね。そしてそして、ただ単にスピードが速いだけではなく、ホバリングや急旋回も可能。極めつけはホバリングからすぐにトップスピードに乗ることもでき、その逆もまた然り。
この飛翔能力は昆虫界はもとより、鳥類も含めて全飛翔生物の中でも頂点クラスに位置します。ホバリングしていたかと思えば、いきなりのトップスピードへの超加速。そこからの急旋回、そして急停止しての再度のホバリング。例えるならば、瞬間移動するドーピングヘリコプターというところでしょか。
オニヤンマがホバリングしているのを見ていると、フッとまるで急に消えてしまったかのようにその場から居なくなるように見えるのは、この超飛翔能力の賜物なんです。
巨体なのに、この機動力。優れているのはその戦闘能力だけでないってのがよくわかりますよね。
やはり成虫になると儚いその命
このように空を飛ぶ昆虫の中では最強クラスのオニヤンマ。しかしながらヤゴ時代、約5年を経てオニヤンマに成長した後の寿命は他の多くの昆虫たちと同じく短命で、オニヤンマに変態したのち、捕食を繰り返しながら1~2か月の間に生殖機能を成熟させ、交尾を行い、その後は次世代にその命のバトンを引き渡し、その生涯を終えます。その戦闘力、飛翔力とは裏腹に、成虫になってからのその命はセミやカゲロウ、そしてホタルなどと同じく、やはり儚いといえるのではないでしょうか。
コオニヤンマとオニヤンマの違い
オニヤンマと非常によく似たトンボでその名もコオニヤンマというトンボがいるのですが、名前のようにオニヤンマの小型種ではなく種として違うトンボなんです。
オニヤンマはトンボ目オニヤンマ科オニヤンマ属
コオニヤンマはトンボ目サナエトンボ科コオニヤンマ属
っていう感じで、「科」という中間的分類系統から違いがあったりするんです。
また見た目や習性にも割と違いがあって、
一番わかりやすい見た目からの違いは目(複眼)の付き方。オニヤンマは左右の目の距離がほぼないのに対し、コオニヤンマの目は左右少し離れた位置についております。
また習性としてはオニヤンマは止まったとき、お尻のほうを下にして止まるのに対し、コオニヤンマは他のトンボと同様地面に対して水平に休むことが多いですね。
こちらがコオニヤンマの画像。
そしていま一度オニヤンマの顔がよくわかる画像。ご覧の通り複眼の左右の位置が違うのがお分かりいただけるのではないでしょうか。
体長約70cm!!オニヤンマをはるかに凌駕する古代に生息した巨大トンボ
オニヤンマは日本最大のトンボというのは先ほどご紹介させて頂いた通り。ではやはり気になるのは世界最大のトンボですよね。現生のヤンマの仲間で世界最大のヤンマは、主にオーストラリアに生息するトンボでテイオウムカシヤンマという種類のヤンマでございます。その大きさは約16cm、翼を広げた翼開長は18cmに達することもあります。日本最大のオニヤンマよりも、かなり大きいですよね。
ただ、このテイオウムカシヤンマはヤンマという名前ではあるものの、オニヤンマが属するオニヤンマ科、ギンヤンマなどが属するヤンマとも違い、ムカシヤンマ科という分類に属していて、日本にもムカシヤンマというテイオウムカシヤンマの仲間が暮らしております。ちなみに、ムカシヤンマは日本の固有種で、太古のトンボの特徴を残した原始的な種でその生息期間も長く生きた化石と呼ばれております。
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しかし、なんです。
上には上がいるってのはよく言ったものでして、古代には、虫嫌いの人であれば卒倒しそうな、巨大昆虫時代といわれた時代があり、その時期に生息していたメガネウラ属に属する古代トンボはなんと、約70cm!・・・いや、怪獣ですよ。。。実際あの日本が誇る世界的破壊神スター、ゴジラの敵怪獣として登場するメガギラスという飛翔怪獣がいるのですが、それはこのメガネウラがモデルとなっております。こんなのが飛んでいたら・・・やっぱり軽く恐怖ですよね。
ちなみにこのメガネウラ。昆虫という枠組みの中では、既知の中では現在のところ、地球史上最大の昆虫とされておりますが、メガネウラが属する系統群は残念ながら現代では絶滅してしまったとされております。また、飛翔能力はそんなに高くなかったことが分かっており、これについては現在のオニヤンマに軍配というところでしょうか。
最後に
いかがだったでしょう。オニヤンマ。オオスズメバチやオオカマキリとやり合えるだけで、とんでもない強さというのが分かりますよね。そして、超カッコいいフォルムに巨大な体、抜群の機動力、そして、英名の「Golden-ringed dragonfly(ゴールデン・リングド・ドラゴンフライ)」・・・英名、和名共々最強感がにじみ出ている昆虫と言えるのではないでしょうか。そんなオニヤンマに迫る勢いのギンヤンマ。こちらはトップスピード、なんと100kmなんだとか。。。いや~~・・・ヤンマ、おそるべしですよね。ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。