こんにちは。えたばりゅです。
突然ですが、サソリと聞くとどのようなイメージをお持ちでしょうか。
大きなはさみと尻尾には針、そしてその尻尾には猛毒が仕込まれており、刺されると命に関わる・・・。やはりこういったイメージが強いですよね。しかし、こうも思っているはず。
・・・といっても外国の熱帯雨林や砂漠地帯に行かない限りは、出会うこともないだろう・・・。
・・・
いえ、それがね。いるんですよ日本にも。もちろん、飼育個体ではなく、日本に生息し、自然繁殖しているサソリが・・・。
今回はそんな日本に住むサソリについて、ご紹介したいと思います。ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
日本にも2種類のサソリが生息していた!
日本には2種類のサソリが生息しており、いずれも外来種や飼育個体の逃げだした例などではなく、日本で自然繁殖している種になります。では、その2種のサソリをご紹介したいと思います。
日本に生息するサソリ1.ヤエヤマサソリ
ヤエヤマサソリは英名を「Dwarf Wood Scorpion」学名を「Liocheles australasiae」という、サソリ目コガネサソリ科に属するサソリの一種で、大きさは約3cmほど。僭越ながら私も実物のヤエヤマサソリを拝見できる機会があったのですが、想像してたよりもかなり小さいという印象でした。「ヤエヤマ」という名前の通り、日本では八重山諸島の森林区域にのみ生息しているサソリでございます。
このサソリは、日本に住んでいるというほかに、もう一つ。サソリとしては珍しい特徴を持っています。
ヤエヤマサソリは単為生殖できるサソリ
単為生殖とは、オスとの交尾を行わずとも子孫を残すことができる能力のことを言い、まぁ・・・平たく言えばオスが要らないというような能力になります。
他に単為生殖が可能な生物は、
- ハチ
- アリ
- ミジンコ
- コモドドラゴン
- シュモクザメ
などがあげられます。もちろん上記に挙げた生物は、通常の交尾を行い生殖する、いわゆる有性生殖もする生物も含まれます。植物ではセイヨウタンポポが有名ですよね。
また、ヤエヤマサソリは卵ではなく、私たち人間のごとく、直接子どもを産むいわゆる胎生のサソリとしても有名で、サソリ界の中でも珍しい習性を持ったサソリといえます。
そして、気になるヤエヤマサソリの毒性は・・・
針自体もかなり小さく、その毒も人体にはほぼ影響なしなのです。いわば、かなり安全なサソリ氏だといえます。
では、もう一種類のサソリはどうでしょう。
日本に生息するサソリ2.マダラサソリ
マダラサソリは、学名を Isometrus maculatus という、サソリ目キョクトウサソリ科に属するサソリの仲間で、日本では小笠原諸島、そして八重山諸島に生息しています。「キョクトウサソリ科」といえば、強烈な毒を持つあの有名なデスストーカー(オブトサソリ)もキョクトウサソリ科に属します。
体長は約5~6cmほどとサソリとしては中型になり、ヤエヤマサソリに比べるとスリムでほっそりとした体形をしています。鋏が細いほど、毒性が強いなんてことを聞いたこともおありだと思いますが、このマダラサソリの毒性はというと・・・
ヤエヤマサソリに比べると、毒性は若干強いものの。刺されても数分間痛みが続き、患部が腫れる程度とされており、それほど危険な種ではありません。
ということは・・・
日本に生息するサソリは、万が一刺されたとしてもそんなに気にするようなことでもない。
ということがお分かりかと思います。また日本といいましても、その生息地域はかなり限定的であり、多くの方が普段生活する上では、この2種類のサソリに遭遇することもないですよね。
それにしても、海外のサソリたちはかなり強烈な毒を持っていることが多いのに、日本のサソリたちの毒性が弱いのはなぜなんでしょうか。
日本のサソリの毒が人体にほぼ影響がないその理由
もともとサソリの毒は、毒蛇と同じく、獲物を確実に仕留めるために進化させてきた経緯があり、その獲物となる動物に有効に作用するように進化してきました。要はその獲物に効きさえすれば他の生物にも作用させる必要があまりないことが理由といえます。
また、毒性が強いサソリは獲物が少ない、砂漠など土地的に環境が厳しい場所に生息していることが多く、それだけ獲物にありつけるチャンスも少なくなります。ですので、狙った獲物はできる限り確実に仕留めることができるよう、その毒を強力なものにしていったと考えられているんですね。
もともと環境がよく、獲物探しにさして困らない日本ではそんなに毒を強烈にする必要がなかったこともヤエヤマサソリとマダラサソリの毒性が弱い理由の一つとして挙げることができます。
ですので、人間が万が一刺されても、少しチクッとする程度。その毒の作用は、ほぼないといっていいでしょう。また、民家などに入り込むこともほとんどなく、人目につくことすらあまりないため、刺されたという話もほぼありません。
ですので、日本に住んでいるサソリはそんなに危険な動物ではないということで・・・
・・・
え??さっきのデスストーカーが気になると??
なるほど。では、サソリのご紹介をさせていただいたので、ついでといっては何ですが、デスストーカーの方もご紹介させていただきたいと思います。
オブトサソリ(デスストーカー)
オブトサソリは、英名を「Deathstalker」という、サソリ目キョクトウサソリ科に属するサソリの総称で、日本でも英名そのままにデスストーカーと呼ばれることもあります。・・・といいますか、デスストーカーの方が認知度は高いのではないでしょうか。デスストーカー。すなわち「死の案内人」。その名前の通り、毒性は非常に強く、
サソリの中では、最凶ともいわれます。
性格は超攻撃型で、捕食の時、自衛の時問わず、その毒針を積極的に相手に振るいます。
砂漠という獲物に出会う確率がかなり制限される地域に生息する中、出会った獲物を確実に仕留めるため、その毒性を進化させてきました。よってその毒は人間でも死に至らしめるほどに強烈なものとなります。
そんな、名前からしておどろおどろしい、デスストーカー。気になるその生息地なのですが、生息地は、中東地域からヨーロッパにかけて。ですので、日本には生息していません。もちろん飼育目的の輸入も厳しく制限されております。
ですので、通常日本で暮らしているのであれば、出会うことはまずないといってよいでしょう。
ただし、
セアカゴケグモ、そしてヒアリといったお名前を聞くと、いかがでしょう。100%はあり得ないということがお分かりかと思います。まぁ・・・この2種に比べるとデスストーカーは体も大きく、危険度も両名に比べ段違いですので、監視体制もそれだけ注意されているといえます。ですので、おいそれと日本に入ってくるということはできないと思いますが、一応念のため・・・。
最後に
いかがだったでしょう。今回は日本に住むサソリについてご紹介させていただきました。日本にサソリが自然生息している。。。これは、ちょっと意外だったのではないでしょうか。もっとも、マダラサソリに関しては、江戸時代に日本に入ってきたという説もありますので、今でいう外来種の可能性もありますが・・・
でも、100%の可能性はないとはいえ、デスストーカーのような強烈なヤツが日本にいなくて良かったですね。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。