こんにちは。えたばりゅです。
今回は、クロサイとウシツツキという鳥の奇妙な共生関係にスポットを当ててご紹介したいと思います。共生関係というと、お互いの利益目的がマッチして、違う種同士の動物たちが結果的に助け合う環境を形成している関係のことですが、このウシツツキという鳥は何と言ったらいいか、ちゃっかり者というか猟奇的というか。
ではでは、早速両者の奇妙な関係に迫っていきましょう。
クロサイの相棒ウシツツキ ちょっとチクッとする両者の関係とは!?
まず、ウシツツキのご紹介を軽くさせていただくと、英名を「Oxpecker」、学名を「Buphagus」という、スズメ目ウシツツキ科に属するアフリカ固有の鳥の仲間で、
- キバシウシツツキ(Yellow billed oxpecker):Buphagus africanus
- アカハシウシツツキ(Red billed oxpecker):Buphagus erythrorynchus
という、2種のウシツツキが生息しています。
そして、今回のもう1種の主役である、クロサイはご紹介するまでもないかと思いますが、アフリカに生息するサイの仲間で、約3mの巨体の頭部に生えた角が特徴的で、まるで重戦車を思わせる立派なフォルムをしていますよね。
そして、クロサイはその角が目的で乱獲され、現在非常に絶滅が非常に心配されている動物としてもよく知られていて、(IUCNのレッドリストランク:絶滅危惧 ⅠA類)絶滅に瀕している主な原因は、その立派な角を目的とする乱獲で、現在は世界各国で厳しい規制が敷かれていますが、需要は根強く、密猟が後を絶たない状況が続いております。
これは同じアフリカに生息しているシロサイについても同じ状況。
そんな絶滅の窮地を救うかもしれないのが、今回ご紹介するウシツツキという鳥なんです。
クロサイの窮地を救う小さな相棒ウシツツキ
ウシツツキは昆虫やダニなどを主食としていて、今回ご紹介しているサイの他、キリンやゾウ、カバやスイギュウなど大型哺乳類に付いているダニなどを食べて生活しています。
ウシツツキのほうは楽にエサにありつけ、巨大な動物たちの背中に乗ることによって、自身を襲うタカなどの捕食動物から身を守ることができる。サイやゾウなどは体についた寄生虫を取り除いてくれる、まさに典型的共生関係ともいうべき、良好な関係が両者には築かれているんですね。
そして、これだけではなく、最近の科学者の研究で、クロサイは自分の背中に留まっているウシツツキの特殊な鳴き声を察知して、自身に迫る危険を察知していることが分かってきたんです。
これは、ライオンのような捕食動物はもちろんのこと、私たち人間にも例外なくその効力が発揮されていて、背中にウシツツキが留まっているのと、留まっていないのではクロサイが人間の存在に気付くスピードに格段の差が生じることが分かっているんです。
というのも、クロサイは嗅覚は抜群に優れているのですが、視覚はかなり弱く、人間が風下から近づいたら、ほとんど気づくことができないんですね。それを突かれて密猟の犠牲になってしまうのですが、クロサイのこの致命的な弱点を補っているのがウシツツキというわけなんです。
出典、参考:NATHONALGEOGRAPHIC 日本版 サイは鳥の声を頼りに人間を避ける、研究成果
こうしてみると、ウシツツキはサイだけでなく、他の絶滅に瀕している動物たちを人間の驚異から守るヒーロー的存在に感じるのですが、実はこのウシツツキ、別の一面も持っていまして。
アフリカの絶滅危惧種を救うヒーロー ウシツツキはちゃっかり者で、ちょっと猟奇的
ウシツツキは、昆虫やダニなどの寄生生物を主食としているということは先ほどご紹介した通りなのですが、もう1つ。ウシツツキが好んで食べているものがありまして。それは、動物たちの体液。
ウシツツキは、動物たちの体に留まってダニなどの寄生生物を食べている一方、動物たちの粘液や鼻水まで摂取してるんです。体液ですので、もちろん血液も例外ではなく、時には嘴でシマウマやカバなど、動物たちの皮膚をつついて血を出し、それを美味しそうに摂取しているウシツツキの姿も現地ではよく目撃されております。
ちょっと猟奇的でしょ。
血を吸うと、今回獲物になっているダニや蚊などを思い浮かべますが、他の種の血液を意図的に摂取する鳥は他にもおりまして、ガラパゴス諸島に生息しているフィンチという鳥の仲間の一部が、このように血液を摂取することが知られております。
まぁ、血を摂取するといっても、ウシツツキはスズメサイズより若干大きいくらいの小鳥なので、そんなに多量の血液を摂取するというわけではなく、動物たちは突かれて血を吸われても気にも留めていないことが多いんです。
また、夜自分が寝るのにキリンの体を利用したりするんです。キリンの体をまるで自身の家のように扱うあたり、結構ちゃっかり者っていう感じがしますよね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、クロサイとウシツツキのちょっと猟奇的で奇妙な共生関係をご紹介させていただきました。とはいえ、小さなウシツツキがクロサイの命を守ることに貢献していることは事実。
そして、このウシツツキも人間が撒く殺虫剤の影響を受け、現在その数を大幅に減らしてしまっております。クロサイや他の絶滅危惧種を救ってくれているウシツツキ、何としても守っていかねばですね。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
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