こんにちは。えたばりゅです。
サメというと、やはりホホジロザメやイタチザメ、オオメジロザメ、シュモクザメなどのように獲物を鋭い歯を用いて捕食する、徹底的な肉食魚っていうイメージが強いかと思いますが、実は雑食、つまり植物も摂取しているサメもいるんですね。
その一つが世界最大の魚類、ジンベエザメ。ジンベエザメは巨大な体が何と言っても、その特徴なのですが、食性についても、サメとしては珍しい特徴を持っているんです。
そこで今回は、ジンベエザメの食性について迫ってみたいと思います。ではでは、世界最大の巨大魚のもう一つの面白い特徴に迫っていきましょう。
巨大な体のヒミツには植物も貢献!?ジンベエザメのオドロキの食性に迫る
ジンベエザメといえば、言わずと知れた世界最大の巨体を誇る魚類で、最近ではジンベエザメの乱獲により、巨大なジンベエザメは非常に少なくなってしまっていますが、その体長は約10m、最大で18mを超えることもあります。
このような巨体ですが、性格は非常に穏やかな性格をしていて、遊泳速度も非常にゆっくりとしていることから、その雄大な姿を一目見ようと、ダイバーにも非常に人気の高い海の生き物の1種として知られています。
遊泳速度が非常にゆったりとしているのは、ジンベエザメの食性によるもので、ジンベエザメはヒゲクジラ類やマンタなどと同じく、海中に漂うプランクトンを主食としてるので、他のサメたちのように、獲物を追い回す必要がないというのも、その理由の一つとして考えられています。
ちなみに、同じような食性を持つ世界で2番目に大きいウバザメもジンベエザメと同じように海面をゆっくりと移動することで知られています。
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そんなジンベエザメ。主食はプランクトンで、他のサメたちのように魚類や海生哺乳類を食べることもないので、荒々しいイメージとはかけ離れていますが、それでもこれまでは、他のサメと同じく、肉食であると考えられていたんです。
ところが最近の研究によって、その定説が覆ろうとしているんです。
ジンベエザメは実は雑食で植物も超積極的に摂取していた!
これまではプランクトンをメインに摂取している濾過摂食者ではあるものの、肉食であると考えられていたジンベエザメ。ところが、最近の東京大学の研究によって、実はプランクトンだけでなく、超多量に植物も摂取していたことが分かってきているんです。
というのも、ジンベエザメの血液サンプルなどから、その植物由来となる成分が含まれていることが分かってきたんです。その量は実にジンベエザメの普段の食事の半分以上に上る可能性もあるんですね。
ジンベエザメの食事の摂り方としては、巨大な口を目いっぱいあけて、海面付近に漂っているプランクトンを海水ごと豪快に吸い込み、エラでプランクトンなど、エサになるものだけをこしとって食べているんですが、海藻類など植物由来のものも、これと同じ方法で摂取していると考えられています。
まだ、ジンベエザメが、プランクトンを摂取する過程で偶発的に海藻類を取り込んだ結果なのか、あるいは、意図をもって海藻類も摂取してるのか、そのあたりは今後の更なる研究結果を待つのみですが、ジンベエザメの知られざる秘密がもう一つ、明らかになろうとしているんですね。
ジンベエザメは現在急速に数を減らしつつあり、IUCN(国際自然保護連合)ではジンベエザメはEN(絶滅危惧 ⅠB類)に分類されており、非常に絶滅が心配されている種でもあります。
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ジンベエザメがどこでどのような移動経路をたどり、どのようなものを常食としているのか、個体や地域によって普段食べているエサに相違はあるのか、この辺りの解明もジンベエザメを保護するうえでは、非常に重要なところになってきますので、これから更なる結果が出るのを期待したいところですよね。
そしてジンベエザメは小魚も捕食する
そして、先ほど肉食と形容した理由がありまして、実はジンベエザメ。プランクトンや今回ご紹介した海藻類の他、イワシやアジなどの小魚も食べることがあるんです。ただ、これはほとんど人間の目に触れることは少なく、実際に目撃されたことはほとんどなかったんですが、最近数匹のジンベエザメがベイトボール(イワシなど小魚の群れ)に巨大な体を突進させて、イワシを捕食する姿が目撃され、その姿が映像に収められたんです。
普段大人しく、巨大な口を開けながらゆったりと水面を回遊し、その雄大な姿で私たちを魅了してくれるジンベエザメですが、この辺りはやはりサメらしいと言いますか、勇猛な一面といえそうですよね。
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他にもいる雑食のサメ ウチワシュモクザメ
ジンベエザメがサメとしては珍しく、植物由来の食物も摂取している雑食動物であるというのは、非常にオドロキの事実だったと思うのですが、実は雑食のサメはほかにもいるんですね。
それは、ウチワシュモクザメというシュモクザメの仲間。
シュモクザメはその頭の形状が何と言っても特徴的なサメで、水族館でもその姿を見ることができるサメですが、シュモクザメの仲間の中には、その体長が約4mを超えることもある、サメの中でも大型に分類されるサメの仲間として知られていますよね。
ところが、このウチワシュモクザメに関しては、シュモクザメの中では小型種で、成長してもその体長は、最大で約1.5mほど。
そして、このウチワシュモクザメもジンベエザメと同じく、雑食である事が分かったサメで、こちらのサメは、植物も意図をもって接触していることが分かっているんです。それは、ウチワシュモクザメの体内に植物を消化するための成分が存在していることが理由なのですが、この成分を持っているのは、既知の中ではウチワシュモクザメだけなんですね。
なので、同じような成分が今後ジンベエザメからも発見されると、ジンベエザメはもちろんのこと、他にも雑食のサメがいる可能性も出てくるというわけなんです。同じサメでも、ジンベエザメはテンジクザメ目、ウチワシュモクザメはメジロザメ目に属するので、違う種のサメが同じような成分を持っているとなると、他のメジロザメ科のサメはじめ、別のサメたちも実は雑食である可能性もあるので、この辺りも新しい発見に期待するところですよね。
最後に
いかがだったでしょう。今回は、世界最大のサメにして、世界最大の魚類、ジンベエザメの驚くべきもう1つの特徴をご紹介させていただきました。いや~・・・それにしても、あの巨体を支えているのに、植物も貢献しているとはオドロキでしたよね。
ただ、プランクトンを摂取しているということは、もちろん植物に属する植物プランクトンもそのメニューに入っていたはずなので、そう考えると、ジンベエザメの雑食の食性は必然だったということになるのかな。なんて考えてしまいますよね。
海の生き物たちにはまだまだ知られていないことがいっぱいというところでしょうか。
ではでは、今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。