こんにちは。えたばりゅです。
今回は、在来種と固有種の違いをバッチリ分かりやすく解説しつつ、それぞれの定義づけにも迫っていきたいと思います。在来種とは、一体どれくらい前からその地域にいれば在来となるのか。固有種が多くみられる種は一体どういった生物たちなのか。なぜ、その生物によって固有種の多い種、少ない種が分かれるのか。
こちらの記事をご覧いただければ、バッチリそのあたりも解決できるかと思いますので、是非ぜひ今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。
在来種と固有種の違いとは?それぞれの定義づけなどもバッチリご解説!
最近は日本でも環境問題や、動物保護の問題も少し前までと比較すると飛躍的に一般にも認知されてきて、都市部の緑地、ビオトープの設置や、河川にアユなどの清流域に生息する種を呼び戻そうとするプロジェクト、イヌワシ、そしてその生息地の保護プロジェクトなど、それぞれに対する取り組みも進んできつつありますよね。
かたや、ペットビジネスにより、持ち込まれた諸外国の野生動物たちが飼育放棄により遺棄され、その種がその地域で繁殖し、元々その場にいた種の生物群の存在を脅かす、いわゆる外来種問題も明るみになりつつあります。
そんな時、必ずと言っていいほど出てくるワードが外来種、そして在来種と固有種。
外来種と在来種、固有種が対義語関係にあるというのは、そのニュアンスでなんとなくわかるのですが、在来種と固有種の違いってあるのか。この辺りがちょっと曖昧だったりしますよね。
では、早速この在来種と固有種の違いについて解説していきたいと思います。
在来種と固有種の違いとは
なんか同じような位置づけにあるイメージがある在来種と固有種ですが、両者には少し違いがあるんですね。
まず、在来種とは、その地域に古くから存在している種のことで、人間の影響を受けることなく、その地域で自然繁殖が可能な生物たちをいいます。英語では「native species」と表現されていますね。これに対して、固有種とはその国やその地域にしか生息していない種のことで、英語では「endemic species」といいます。
要するに、在来種はその地域に古くからいるけれども、他の地域にもいる種の生物。固有種はそんな在来種の中でも、その国や地域にしかいない生物のことなので他の国や地域にはいない種なんですね。
例えば昆虫たち、オオカマキリやオオスズメバチ、ヘイケボタルなどは古来より日本で生息している在来の生物ですが、これらの種は朝鮮半島や中国などの日本国外でも生息しています。それに対して、ゲンジボタルやヒメカマキリなどは日本に古来より生息していて、且つ日本にしか生息していない固有の生物というわけなんですね。
ちなみに日本のように国土が海で隔たれている国などでは、国内外来種という問題もあったりするんです。例えば、本来本州にしか生息していない種が人為的な問題などで、北海道や四国、九州などに住むようになり、それが繁殖し、その地にいた在来種を脅かすといったものです。
イノシシやテンなどがその具体例ですね。
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って言ってもやっぱりなんか、在来種と固有種って曖昧な感じがしますよね。というのも、在来種っていう言葉自体が外来種問題が徐々に取沙汰されるようになり、その対義語というニュアンスで用いられることが多くて、実は在来種においても「この時期(年代)から日本に生息している種」という明確な定義づけはないんです。
ちなみに環境省では「その地域に従来生息している固有の生物たち」という定義をしていますので、こういったことから日本では在来種と固有種は同意語という解釈をしていることがうかがい知れます。そもそも在来種の定義自体も「古くから生息している種」なので、古くからって一体どれくらいなの?って感じがするのではないでしょうか。
在来種とは一体どれくらい前からいる生物種なのか
では日本では一般的にどれくらい前からその地域に存在していれば、在来種とみなされるのか。この辺りは明治時代以前から生息していれば、在来種であるとみなされることが多いようですね。
おそらく外交が飛躍的に発展・拡大し始めたのがこの時代からなので、このように定義づけされることが多いのですが、ただ、外交は頻繁ではないにしろ、明治はおろか、その遥か昔の邪馬台国の時代からすでに行われてきたとされており、この時に船舶に紛れ込んで当時の日本の地に降り立った生物たちも少なからずいるはず。
今ほど検疫などは発達していなかった・・・いや、むしろそういった環境への影響など全く意に介していなかった可能性も高いといえます。つまりちょっと極端な言い方で申し訳ないのですが、国外の生き物たちが入り放題という感じですね。
通常で考えれば、こういった種は外来種ということになりますが、この定義でいくと、在来種っていうことになるんです。もっといえば、この時期に来日されて、その地で交配を繰り返すうち、元の遺伝子とは少し違った形態を持つようになり、その地の固有の亜種となった生き物もいるかもしれませんしね。在来種の定義が「この地層から化石が発見されているので、在来種である」ってな感じの明確な定義ではないんで、致し方ないところかもしれません。
固有種が発生しやすい種の動物たちっているの?
固有種は在来種よりも定義づけははっきりされていて、その国や地域にしかいない種の生物となっています。
日本では、イリオモテヤマネコやヤンバルクイナ、ニホンカモシカ、二ホンザリガニなどが有名どころですよね。
日本のような島国ではこういった固有種が多いのですが、これには訳があるんです。日本のように海などで隔てられた環境下にいる種の生物たちは、移動範囲が限られてくるんですね。
固有種はその地域でのみ生息している種という定義に加え、人間の移動や行動に影響されず、自然分布しているという定義があります。
なので、翼を持っていなかったり、海のように諸外国と繋がっていない環境下であれば、自然と行動範囲が制限され、その地域近郊で繁殖することにより、徐々に遺伝子に独自性が見られるようになってくるんですね。
こういった種がその生物種の個体群から徐々に派生して、新種となり、固有種になっていきやすいんです。
なので、翼を持った鳥や海水性で尚且つ回遊性の高い生き物たちは、元々その行動範囲も広いので、固有種が比較的少なく、移動範囲が限られる陸生の哺乳類や爬虫類、両生類などほど固有種が発生しやすいといえます。もっと言えば、より体の小さな生き物。陸生の昆虫や元々あまり移動しない性質を持った生物たちほど固有種が生まれやすいんですね。
こういう理由から、日本と同じく外海に隔てられたオーストラリア大陸、ニュージーランド、マダガスカル島、ガラパゴス諸島なども日本と同じく固有種が多いんです。有袋類などはその典型的好例といえそうですよね。
ただ、現在は道路や人間の生活区域などにより、大陸地続きのエリアでも動物たちは生活区域が分断され、容易に行き来ができなくなりつつあります。こういったことは遺伝上の多様性が失われてリスクが高まってしまいますが、同時に遺伝的に多地域よ差異が生まれやすいともいえ、近い将来そのエリアの固有種ってのは増えるかもしれません。
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最後に
いかがだったでしょう。今回は在来種と固有種の違いについて解説しつつ、それぞれの定義にも迫ってみました。私たち日本人が暮らす日本になんで固有種が多いのか、こうしてみるとわかるような気がしますよね。
今日ふと見た小さな虫もひょっとしたら固有種っていう可能性も・・・
やはり生き物たちの命は大事にしていかないとですよね。ではでは、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。