個性あふれる日本在来種たち

【クマタカ】空ではなく森の王者と称されるその理由とは!?

こんにちは。えたばりゅです。

今回は、日本古来より森の王者として君臨するクマタカの生態に迫っていきたいと思います。

多くの猛禽類が暮らす中で、ニホンイヌワシと並び、日本での空と森の生態系の頂点に君臨するその所以はどこにあるのか。

ではでは、今回も最後までお付き合いいただけましたらと思います。

クマタカ 空ではなく「森」の王者と称されるその実力の髄に迫る!

まずクマタカの紹介をさらっとさせていただくと、英名を「Mountain Hawk Eagle」、学名を「Nisaetus nipalensis」という、タカ目タカ科クマタカ属に属する猛禽類で、現在2つの亜種が確認おりましてですね、

基亜種である「Nisaetus nipalensis nipalensis」はインドネシア、ネパール、台湾、タイなどに生息しているのですが、日本で見られるクマタカは亜種「Nisaetus nipalensis orientalis」と他のアジア圏に生息するクマタカとは亜種レベルで分かれており、基亜種と比較して大型であること、身体的特徴にも差異がみられることなどから日本の固有の亜種と考えられております。

クマタカ(熊鷹)という和名、「Hawk Eagle」という英名からイメージされる通り、タカと呼ばれている猛禽類の中では非常に大型で、翼開長は約1.7mに達することがあり、タカ科の中で大型種の多いワシに引けを取らない大きさを誇っております。

~ワシとタカの違いを綴った目からウロコの記事はこちら~

ワシ(鷲)とタカ(鷹)の違いとは?その疑問をバシッと解決!

こんにちは。えたばりゅです。 今回は猛禽類の2大巨頭ともいえる「ワシ(鷲)」と「タカ(鷹)」の違いについてご紹介したいと思います。 以前、ハゲワシとハゲタカの違いについてご紹介した時、ハゲタカという超 ...

続きを見る

またその風貌もとても勇猛な姿をしており

  • 前を鋭く見据える大きな目
  • 鋭く曲がったクチバシ
  • どんな獲物もガッチリつかんで離さない強靭な鉤爪
  • 少しやんちゃさを彷彿させる頭部の羽毛(冠羽)
  • ワシの仲間にも勝るとも劣らない立派な翼

などを併せ持っております。

まさに食物連鎖の頂点に君臨するにふさわしい風貌というところですよね。

そしてこのような風貌から、インドネシアなどに生息する近縁種のジャワクマタカは、その姿が神鳥ガルーダを彷彿とさせるということで、インドネシアの国鳥に認定されていたりするんですね。

クマタカはこれらの自慢の武器をふんだんに使い、他の鳥類や、ウサギ、ヘビ、アナグマ、ニホンザルなど多種多様な獲物を捕らえて生活しており、様々な獲物を狩ることから森の王者と言われております。

でも、猛禽類ならば森ではなく「空の王者」と呼ばれそうなものですよね。実際に他の鳥類も獲物としていますし、なんか森というよりも空のほうが肩書的に見しっくりくる気がしますし。

それにもかかわらず、なぜクマタカは空ではなく、森の王者と呼ばれるようになったのか。そのあたりについてご紹介していきましょう。

クマタカが森の王者と称されるその理由

クマタカが森の王者と呼ばれている理由としては、クマタカの狩りの手法と、それに基づいた進化にあるんですね。

クマタカはハヤブサのように、飛翔しながら獲物を捕らえるというよりは、樹上で獲物を探したり、上空を旋回しながら地上にいる獲物探します。

そして、獲物を見つけると、その獲物めがけて猛然と急降下し、襲い掛かるんです。その急降下の様子をバッチリ撮影されている動画がありましたので、共有させていただきます。

すごいでしょ。こんな感じに翼をたたんで、加速力を生み出しながら急降下していくんですね。

主にこの方法で、地上にいるウサギなどの小動物を狙いますが、稀に樹上にいるニホンザルを狙ったりもします。

なので、クマタカの翼は大型猛禽類のそれと比べると、比較的短く進化しているんですね。これは木々が生い茂る狭い森の中を巧みに飛翔するのに適した進化といえます。

ただ、翼長は短いものの、その面積は広く、これは上空で風を捕え旋回(ソアリング)しやすい形状をしており、どちらからも獲物を探すことができる優れた進化といえます。

そしてこの翼を巧みに使い、地上にいる獲物だけでなく、樹上にいるニホンザルやリスなどを捕えたりもするんです。

この狩りの手法は、以前お伝えした、強烈な力を生み出す鉤爪でナマケモノなど樹上性の獲物を捕らえる南米の世界最大クラスのワシ、オウギワシによく似ているといえますよね。

こういったところがクマタカが森の王者といわれる所以とされております。

森の王者 クマタカ その繁栄の雲行きは明るくない

クマタカはこのように、ニホンイヌワシと並び、食物連鎖の頂点の地位を手に入れておりますが、基亜種の生息状況は現在のところ低懸念とされているのですが、日本で暮らす亜種のその繁栄はニホンイヌワシと同じく、現在のところ、あまり明るいものではありません。

クマタカの生息場所である森林が開発により、失われているのに加えて、クマタカの自然下での繁殖がなかなか進んでおらず、現在日本では絶滅危惧ⅠB類(EN)に分類されているんですね。

国際自然保護連合が種としてのクマタカをLC(軽度懸念)ランクに位置付けている中、日本亜種のクマタカは絶滅の危機に瀕しているというのは、日本の野生動物の現状を物語っているといえます。

ニホンイヌワシもそうですが、このように頂点捕食者たちがこういった生息地域の破壊の影響をもろに受けてしまうその理由としては、頂点捕食者たちは食物連鎖の関係上、その絶対数が元々少なく、一度に誕生する幼獣、雛の数も少ないんですね。

ですので、一度数が減ってしまうと、中々その生息数は回復しません。

また、生息地域が開発で失われるということは、自分たちの住処だけでなく、エサとなる動物たちもいなくなってしまい、こういった複合的要因が重なりやすい動物たちなんです。

日本はもちろん、世界に暮らす頂点捕食者たちに絶滅危惧種が多いのはこの為なんですね。

最後に

いかがだったでしょう。今回は、森の王者クマタカの森の王者といわれる所以など、その生態に迫ってみました。

古来よりクマタカはオオタカと並び、鷹狩りのパートナーとして親しまれてきました。そんな古き良きパートナーが今後の日本でもバッチリ繁栄できるよう、絶賛応援していかねばですよね。

では、今回はこの辺りで。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。

-個性あふれる日本在来種たち
-, , ,